2022年05月26日 17:20 掲載

交通安全・防災 雨でも滑りにくい横断歩道の秘密。スジ入りトラフィックペイント

雨や雪が降ると、横断歩道や車線などの路面標示の接地面は、アスファルトに比べて滑りやすくなる。しかし近年、路面標示用の塗料であるトラフィックペイントの表面処理の技術が進み、滑りにくいものが登場しているという。そんなトラフィックペイントについて紹介。

くるくら編集部 小林 祐史

スジの入った路面標示

表面に縦スジが入ったトラフィックペイント

表面にスジが入ったトラフィックペイントを使った東京都新宿区の横断歩道 写真=小林祐史

 横断歩道を渡りながら足元の白線を見ると、細かいスジ(グルービング)が入っていた。スジの役割について疑問が湧いてきた。そこで、道路標識や路面標示、防護柵などの設置に必要な技術を調査・研究を行っている(一社)全国道路標識・標示業協会に取材してみた。

JIS規格で定められた塗料

路面標示に使われるトラフィックペイント

路面標示に使われるトラフィックペイントは、車の通行が多いなどの環境によって激しく摩耗している箇所も散見するが、一定以上の耐摩耗性がJIS規格によって定められている ©Masaharu Shirosuna - stock.adobe.com

 道路交通の安全と円滑のために道路に塗装されるものは、一般に「路面標示」と呼ばれている。それらに使われる塗料は、JIS(日本産業規格)で定められた規格JIS K 5665に合致したトラフィックペイントを使用しなくてはならない。

 このトラフィックペイントに求められる性能は、反射輝度(mcd/m2lx)、耐摩耗性(mg)、濡れた状態での滑り抵抗値(BPN値)などがある。反射輝度は、夜間の乾燥時、湿潤時での反射具合と、施工の直後、1か月、3か月、6か月、1年後という時間経過による反射具合の変化を数値化したものだ。耐摩耗性は、規格JIS K 5665で定められた試験方法でどれくらいトラフィックペイントが摩耗するかを数値化したものになる。

 そして滑り抵抗値(BPN値)は、滑り抵抗器(ポータブルスキッドレンジテスター)という試験機器で測定して、数値化したものである。滑り抵抗値は、数字が大きいほど滑りにくいという評価方法となっており、規格JIS K 5665では濡れた状態で40BPN以上が望ましいと規定されている。ちなみにアスファルト舗装が濡れた状態での滑り抵抗値は40から70BPNなのに対して、トラフィックペイントは40から50BPN。このように数値で見ると、やはり路面標示はアスファルト舗装より滑りやすいということになる。ちなみに雨で滑りやすいもののもう1つの代表格であるマンホールは、20から40BPNと路面標示よりも滑りやすいのだ。

 一方で全国道路標識・標示業協会が作成した路面標示の滑り具合に関する資料によると「湿潤時(濡れた状態)において、四輪では走行やブレーキに与える影響は少ない」「二輪は急ハンドルや急ブレーキなどで滑りやすい」「歩行者はゴムサンダルのようなもので滑りやすいが、一般的な靴では影響が少ない」としている。つまり荒っぽい運転や、特定の履物だと滑りやすさを感じるという程度のようだ。だが、横断歩道などはではやむを得ず急ハンドルや急ブレーキで危険を回避する状況も発生する。そのような状況でも安全を確保するためにも、滑りにくいトラフィックペイントの開発は行われている。

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