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最終更新日:2019.12.09 公開日:2019.12.09

冬特有のクルマの危険

冬は雪が降ったり路面が凍結したりするので、滑って危ない。もちろんそうです。ですが、これ以外にも気を付けたいポイントや、クルマに一工夫するだけで冬をもっと快適に過ごせるテクニックがあります。ここでは、過去の「JAFユーザーテスト」の結果から、冬特有の危険をクローズアップ。合わせて快適・安全に過ごすためのノウハウもご紹介します。

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危険!CO(一酸化炭素)中毒にご注意

 スキー場の駐車場でゲレンデオープンまでの間に仮眠したり、大雪の際に天候の回復を待ったりする場合、エンジンをかけたまま車内で過ごすことがあります。

 そんな時に注意したいのが、車内での一酸化炭素中毒です。これは、排気ガスが車内に入り込むことで起きる事故で、そうなった場合、死に至る危険性さえあります。

 こうした事故を検証したテストがあります。まったく対策しないまま雪に埋もれたクルマと、排気ガスが出るマフラー周辺を除雪したクルマを比較しました。結果、雪に埋もれたままのクルマの車内は、エンジン始動後16分でCO濃度が人体に危険を及ぼすレベルに達したのです。マフラーから出た排気ガスが車体の下に溜まり、そこから外気取り入れ口などを経由して車内に入り込んだものとみられます。

 一方で、マフラー周辺を除雪したクルマの車内のCO濃度はほとんど上がりませんでした。排気ガスが車内に入ることなく大気中に拡散したものと思われます。

窓を開ければ安全?

 なお、5cmほど窓を開けた場合には、初めはあまり車内のCO濃度が上昇しなかったものの、約40分後には危険なレベルに。風が止んだのを境に上昇したことから、5cm程度の窓開けでは十分な換気にはならなかったようです。

 有識者によると、COの怖いところは、無色無臭で気が付かないうちに車内に入って中毒になってしまうところだとしています。ですから、降雪地域で、エンジンをかけたまま仮眠するときは特に注意が必要です。仮眠をすることがあらかじめ分かっている場合は防寒着や毛布を用意して、できるだけエンジンを切るようにしましょう。

 また、閉め切った車庫等でも同様の危険がありますので、合わせて注意が必要です。

雪国ドライバーも恐れる「ブラックアイスバーン」

 ブラックアイスバーンをご存じでしょうか。路面に薄く氷が張った凍結路面のことで、ただ濡れているだけの状態の路面と見分けがつきにくいため、雪国のベテランドライバーでも(だからこそ)「怖い」といいます。このブラックアイスバーン上を走っているとき、ブレーキをかけてからどのくらいで止まれるかテストしました。

ブラックアイスバーンの制動距離はウェット路面の約6倍!

 すると、圧雪路では時速40kmから20mほどで停止できたクルマが、ブラックアイスバーンでは止まるまでに69.5mもかかりました。このテストでは、表面がスケートリンクのように磨かれた「氷盤路」でも制動テストをしています。氷盤路では時速40kmから84.1mもかかって止まりましたが、このテストを担当したテストドライバーによると、「ブレーキを踏んだ時の印象は氷盤路もブラックアイスバーンも同じ。ブレーキペダルを強く踏み込まなくても、すぐにタイヤがロックしそうになってABSが作動した。どちらも゛いつまでも減速できずに止まらない″という印象だった」とのことでした。

 この車は、凍っていない濡れた路面の場合は、時速40kmからたった11mで止まれています。実際に、見た目にはほとんど変わらないブラックアイスバーンに遭遇したら、ブレーキペダルを踏んでいるのにまったく止まれないと感じることでしょう。

 これらの結果から分かるように、スタッドレスタイヤが得意とするのは圧雪路です。最近は氷上性能も高くなってはいますが、それでも制動距離の差は歴然で、凍結路面に特に注意が必要なことは変わりありません。気温が低い場所を走る場合、雪がないからといって路面が凍結していないとは限りません。加えて路面が黒く濡れているだけに見える路面であっても、「ブラックアイスバーン」かもしれないと警戒し、速度を抑え十分な車間距離をとって走りましょう。

轍の凍結にも注意

 なお、ブラックアイスバーンは道路の轍にできることもあります。写真のように轍に雪がなくても、昼間に周囲の雪や氷が解けて轍に流れ込み、夜間に気温が下がって凍ることがあるので、合わせて注意しましょう。

 

どうすればフロントガラスの凍結を防げる?

 寒冷地で駐車した際や冷え込んだ日の朝などに、車のフロントガラスに霜が降って真っ白に凍るのは珍しくありません。そして、ウインドーウォッシャー液を噴射してワイパーを動かしても、なかなか霜が除去できないことがあります。もしワイパーブレードがガラス面に凍り付いていると、無理にワイパーを動かすことでワイパーブレードやモーターを傷める可能性もあります。

 そこで、気温が低い場所にクルマを止める場合の、ガラスの凍結を防ぐための有効な対策を調べました。

 比較したのは、対策しないクルマと撥水剤を塗ったクルマ、カバーをかけたクルマの3つ。結果、対策しなかったクルマは凍結し、スノーブラシのへらを使っても、凍結を完全に落とすことができませんでした。撥水剤を塗ったクルマは、表面が凍結はしたものの、へらを使って簡単に取り除くことができました。カバーをかけたクルマにおいては凍結がなく、カバーさえ外せばすぐに走り出すことが可能な状態でした。

ガラスの凍結を早く解かす方法は?

 フロントガラスの凍結を解かすテストでは、デフロスターを使用した場合と解氷剤を使用した場合を比較しました。デフロスター(内気循環、設定温度最大)を使用した場合は、視界が確保できるようになるまで10分かかったのに対し、解氷剤では1分ほどで解凍できました。なお、ガラスが凍結した際にお湯をかける人がいますが、温度差でガラスが割れたり、走り出してすぐ凍り付き視界が奪われたりと危険なので注意しましょう。

ドアが凍って開かないことも

 寒冷地ではドアが凍結して開かなくなることがあります。これは、ドアの内側にあるウェザーストリップというゴムが凍結して張り付いてしまうことが原因です。一度凍り付いたドアを開けるのに要した力は20kgf。通常は5kgf程度の力で開けられるので、凍結の強力さが分かります。無理に開けるとウェザーストリップが損傷する恐れがあるので、濡れた場合は放置せずに水気を拭き取ったり、凍結防止剤を塗布しておくとよいでしょう。

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