【2017/11/18~2018/4/1/】 インスタ映え?不思議な レアンドロ・エルリッヒ展
レアンドロ・エルリッヒ 《建物》2004年 展示風景:104-パリ、2011年
国際的に活躍するアルゼンチン出身の現代アーティスト、レアンドロ・エルリッヒの個展「レアンドロ・エルリッヒ展 みることのリアル」が、東京・森美術館で、2018年4月1日まで開催されている。
今、最もインスタ映えするアーティスト!?
一瞬ドキッとする上の写真、タネ明かしをするとこうである。
レアンドロ・エルリッヒ《建物》2004年 展示風景:ニュイ・ブランシュ、パリ、2004年
床に再現された建物の壁を、巨大な鏡で反射させたものを私たちは見ている。ポーズ次第で建物に張り付いたり、落ちたりする様子や、重力に逆らって指1本で壁にぶら下がったり、”インスタ映え”するトリッキーな写真を撮れてしまう楽しいアート作品である。
レアンドロ・エルリッヒは日本では、金沢21世紀美術館に恒久設置された《スイミング・プール》の作家として知られている。
レアンドロ・エルリッヒ 《スイミング・プール》 2004年 所蔵:金沢21世紀美術館 撮影:木奥惠三 画像提供:金沢21世紀美術館
地上と地下を隔てる水面を通して、地上からは水中で動き回る人々が眺められ、地下からは水中世界から地上を見る体験ができる面白さから、老若男女問わず親しまれている。
常識の基盤が揺らぐ展示!?
見慣れた風景にわずかでも認識のずれが生じると、人は突如として違和感を覚える。レアンドロ・エルリッヒは、私たちが”当たり前”として疑いもせず受け止めている現実の中に、不思議で奇妙な空間を提示することで、私たちに”現実や常識とは何か”を再考させる。
展覧会を通して、習慣や既成概念がいかに私たちの認識に影響を与えているかに気づくことで、私たちの生きている世界が今までとは違って見えることになるかもしれない。
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ビジターが参加してはじめて作品が完成するアート
人の”常識”に働きかけるトリック《反射する港》
レアンドロ・エルリッヒ《反射する港》
会場に足を踏み入れると、出くわすのが《反射する港》である。
真っ暗な空間にいく艘かのボートが揺れている。柵に囲まれたその周りを私たちは、無意識のうちに水に落ちないようにと気をつけて歩いている。
レアンドロ・エルリッヒ 《反射する港》 2014年 展示風景:「ハンジン・シッピング・ザ・ボックス・プロジェクト2014」韓国国立現代美術館、ソウル、2014年 Courtesy: National Museum of Modern and Contemporary Art, Korea; Art Front Gallery; Galleria Continua
しかし実は水など何もない。手漕ぎ式ボートが揺れている様子から私たちの認識は水があると思い込んでしまうのだ。水面に映っているようにみえる反射イメージも、上部のボートと同じ素材でできた立体物なのである。
迷路を彷徨い、自分の輪郭さえもぼやける《試着室》
《試着室》という作品は、まるで迷路のようなインスタレーションだ。試着室の中に入ると、前方と左右に姿見がある。しかし、自分の姿は映っておらず、どこまでも試着室が続いている。鏡の中に自分が現れたり、他のビジターが現れたり、永久に続いていたり……。試着室から試着室へと彷徨いながら、自分が鏡の内にいるのか外にいるのか、自分と他者の区別さえも曖昧になっていく。
レアンドロ・エルリッヒ 《試着室》 2008年 展示風景:イグアテミ・ショッピングモール、サンパウロ、2016年 撮影: Luciana Prezia Courtesy: Iguatemi Shopping Mall
8割が日本初公開
今回の展示は、1995年に制作された初期の作品から新作まで、作家の四半世紀にわたる活動の全容に迫る、過去最大規模の個展である。出展作44点のうち、8割が日本初公開の作品で構成されている。
驚きと不思議さに溢れた、好奇心を刺激するレアンドロ・エルリッヒの作品は、観客自らが参加し体験することで完成される。現代アートに馴染みがなくても、子どもから大人まで誰もが楽しめる彼の作品世界にぜひとも触れてほしい。
- レアンドロ・エルリッヒ展 見ることのリアル
- 【会期】
- 2017年11月18日(土)~2018年4月1日(日)
- 【開館時間】
- 10:00~22:00 火 10:00~17:00 *いずれも入館は閉館時間の30分前まで
- *会期中無休
- 【会場】
- 森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
- 【アクセス】
- ・東京メトロ日比谷線「六本木駅」1C出口徒歩0分
- ・都営地下鉄大江戸線「六本木駅」3出口徒歩4分
- ・都営地下鉄大江戸線「麻布十番駅」7出口徒歩5分
- ・東京メトロ南北線「麻布十番駅」4出口徒歩8分
- 【入場料】
- 一般 1,800(1,500)円 / 学生(高校・大学生) 1,200円 / 子ども(4歳~中学生) 600円 / シニア(65歳以上)1,500円
- ※表示料金は消費税込み ※展望台 東京シティビューも入館可。※屋上スカイデッキへは、別途追加料金がかかります。※森アーツセンターギャラリーへの入館は別料金になります。※学生、シニアは身分証等をご提示ください。※()は前売りチケット(一般のみ)
- 【ミュージアムHP】
- https://www.mori.art.museum/jp/
「レアンドロ・エルリッヒ展 見ることのリアル」招待券プレゼント応募は終了しました。
賞品は抽選の上、2018年1月15日(月)に発送しました。
たくさんのご応募ありがとうございました!
2017年12月20日(JAFメディアワークス IT Media部 荒井 剛)