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クルマ最終更新日:2019.03.04 公開日:2019.03.04

クオリティは本物以上! 新車で買える究極のランチア・ストラトスはいかが?

これまでにないハイレベルなクオリティで、ヨーロッパの自動車ファンを驚かせた「ランチア・ストラトス」のレプリカ車両「the STR」が、ついに日本に上陸。イギリス・メイドのイタリアン・スーパーカーは一体何がスゴイのか?

70年代のラリー界を席巻した伝説のマシン「ランチア・ストラトスHF」。この「the STR」はイギリスの職人によってつくられた精巧なレプリカ車だ。

ラリーで勝つために生まれたクルマ

 誕生から間もなく半世紀。ストラトスが初めて世に登場したのは、1970年のトリノ・ショーでのことだった。「ストラトス・ゼロ」と呼ばれたそのコンセプトカーは、いまでこそカーデザインに革命を起こした1台として捉えられているが、その型破りな見た目から当時は賛否両論だったという。

 翌年には、そのストラトス・ゼロの設計思想をベースに、ラリー専用モデルとして仕立て直した「ストラトスHFプロトタイプ」が登場。そして1973年末、ついに生産を開始。センターモノコック+サブフレームからなるシャシーに、FRP製のボディ、そしてフェラーリが「ディーノ246GT」用に設計したフィアット製2.4リッターV6エンジンをミッドにマウントし、それはまさにラリーで勝つことだけを目標にしたスーパーマシン誕生の瞬間であった。

 いずれもデザインを手がけたのはイタリアのカロツェリア、ベルトーネ社によるもの。ランボルギーニ・ミウラや、カウンタックなど今日のスーパーカーの礎を築いたマルチェロ・ガンディーニ氏が担当している。ストラトス・ゼロと比べるとより現実的なデザインとなってはいるが、ウェッジシェイプ(くさび形)のスタイリングは、2019年の現代でもまったく色褪せておらず、当時どれほどの衝撃をもって受け入れたれたのか、想像するに難くない。

ストラトスといえば、このアリタリア・カラー。

ストラトスの価値

 ストラトスHFの生産台数はベルトーネの公式記録によれば、僅か502台とされている。当時、FIAグループ4のホモロゲーション(認証)を獲得するためには「連続する12か月に400 台以上の生産が必要」というレギュレーションがあり、それをクリアするために必要台数分のストラダーレ(市販車)が組み立てられたというわけだ。

 その後のストラトスHFの活躍は、みなさんご存知の通り。世界ラリー選手権(WRC)に参戦するやいなや圧倒的戦闘力を発揮し、1974年、1975年、1976年と3年連続でコンストラクターズ・チャンピオンに輝くこととなる。

 さて、そんなストラトスHFだが、オリジナルのストラダーレをいま購入しようとすると、どれぐらいの価格になるのだろうか。2018年夏にアメリカ・カリフォルニアで開催されたRMサザビーズ・オークションには、1974年に製造された良コンディションの1台が出品され、予想落札額には6700~7500万円が提示されていた。当日は残念ながら最低落札額に届かず流れてしまったが、その希少性から価格は今後さらに上がる可能性だってあるだろう。

 

なぜイギリスでつくるのか

 ではもうストラトスは、ほとんどの人にとって手に入れることのできないコレクターズ・アイテムになってしまったのだろうか。答えはノーだ。どうしてもストラトスを自在にドライブしたいと願うならば、イギリス・メイドのストラトス「the STR」という選択がある。

 もちろん、ストラトスのレプリカをつくる会社はこれまでにいくつもあった。だが、このthe STRが他と大きく違うのは、オリジナルをも超える高い走行性能を有していることだ。イギリスには、かつてロータスやTVRなどがそうだったように、自動車黎明期の頃から大手自動車メーカーに属さず、自動車修理業やキットカーの開発からスタートした会社がいくつも存在する。the STRを製作するLister Bell Automotive社もそのひとつで、徹底的に走りにこだわったオーナーがハンドビルドで仕上げる。

 ルックスだけを真似る安価なモデルの場合、鋼板構成フロア+ 丸型パイプフレームという組み合わせになるところ、the STRではロールケージを持つ鋼管スペースフレームとして独自開発。実際のラリーに参戦可能なレベルにまで剛性を高めたというのだから驚きだ。

 パワーユニットには、アルファロメオ166に搭載されていた3リッターないし3.2リッターのV6エンジンを、ミッドに横置きで搭載。リアフードを開けると、見事なまでにピッタリと収まっていた。オーダー次第では、フェラーリのV8ユニットを積むことも可能だ。

これは2019年式のストラトスだ!

「もしストラトスの生産が中止されることなく、現在でも販売されていたら?」という仮定のもと、開発がはじまったというthe STR。そのパフォーマンスの高さは、辛口批評で有名なイギリスの自動車ジャーナリスト、スティーブ・サトクリフ氏も「Absolutely fantastic!」と絶賛するほどだ(上動画にインプレッションを収録)。

 さて、気になる価格だが、日本円で1200万円ほど。国内では早くも2台がオーダー済だという。決して安くはないが、オークションプライスの差額とthe STRの性能の高さに鑑みれば、もはやバーゲン価格という見方もできるのではないだろうか。かつての名車を最新のテクノロジーでリメイクする。the STRはクルマ好きの夢を形にした究極の1台だ。

日本では「UK Classic Factory(https://www.ukclassicfactory.com/)」が「the STR」の取り扱うを行う。

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