2021年02月28日 00:00 掲載

次世代技術 自動運転の現在地(前編)|清水和夫が徹底解説「クルマの未来」<新連載>第1回

自動運転のレベル2、レベル3ってなに?一体なにがスゴイの? モータージャーナリスト清水和夫が次世代モビリティについて優しくひも解く新連載。第1回は「自動運転の現在地」と称して、今、日本の自動運転はどこにいるのかを解説します。

文・清水和夫

日本は法整備で世界をリード

自動運転の現在地(前編)|清水和夫が徹底解説「車の未来」<新連載>第1回

世界で初めてレベル3の自動運転車として型式認定を取得したホンダ・レジェンド

 2020年11月11日に、ホンダのレジェンドがレベル3の自動運転車として、正式に型式認定を取得した。同年の4月1日に、道路交通法と道路運送車両法(道路運送車両の保安基準)が改正され、自動運転レベル3を可能とする法令が施行されていた。これは国際法(WP29)よりも約8か月先行したので、日本の法改正は世界初の出来事だった。

 このように自動運転車を公道で走らせるには、法令の整備が必要となり、特に安全に係るクルマの技術は、保安基準に合致するべく開発が進められてきた。自動運転は世界的に法令も技術も初めてのことなので、従来からのルールを改正することで、ドライバーのルールや技術基準が議論されてきた。

 私は2014年より設置されたSIP-adus(自動走行委員会)のメンバーとして、さまざまな議論に参加してきた経験を踏まえて、今回は自動運転の現在地を分かりやすく説明したいと思う。

 さて自動運転といっても、現在政府の目標は、大きく分けて4つの領域がある。まず、オーナーカーの自動運転。そして、地域社会の移動サービスを目的とした自動運転車。3つめは、持続可能な物流サービスを考え、高速道路のコンボイ走行(隊列走行)の一部自動化。最後に、コロナ禍で話題となった食材などを配送するロボットカーである。

自動運転のレベルの定義

 自動運転を考えるとき、専門家はレベル0~5の6段階の定義を使うが、これはアメリカの自動車技術学会SAEが定義したものである。つまりレベルの定義は自動化のカテゴリーに過ぎないので、クルマという製品の優劣を示すものではない。

 ということで、高度な運転支援機能を持ったレベル2よりも、レベル3が製品として優れているとは言いにくい。レベル2でも、レベル3でも、どんな機能が使え、ユーザーが安心して使えるかどうかが重要なポイントである。交通環境もユーザーのクルマの使い方もさまざまなので、いろいろな交通のユースケースの中で、便利だと思われる機能を選択するのが、正しい認識である。

 しかし、システムが高度で複雑になることもあり、ユーザーから見て正しく理解することは非常に難しいのが現状だ。

自動運転と呼べるのはレベル3以上から

自動運転の現在地(前編)|清水和夫が徹底解説「車の未来」<新連載>第1回

自動運転車の定義及び政府目標(国土交通省のウェブサイトより)

 ここではまず、米国SAEが定義したレベリングを説明すると、レベル0は加速・減速・操舵のすべてで自動化がないものを指し、レベル1は加速と減速の自動化。最近話題となるサポカーの自動ブレーキはこのレベル1に相当する。

 レベル2はこれにハンドル操作を自動化するシステムであるが、過信しやすいのはハンドルが自動で動くと、人は「自動運転」と勘違いしやすい。さらに、レベル2ではハンドルから手を離すことが合法的に可能なので(ハンズオフと呼ぶ)、ますます自動運転と過信してしまう。しかし、レベル2がどんなに高度に行われても、ドライバーは前方をしっかりと監視し、とっさの時にはすみやかに対応する安全運転の義務があるわけだ。

 私は高度に進化するレベル2は「過信リスク」が心配だ。自動車線変更やハンズオフはレベル2でも可能であるが、過信による事故も起きていることから、米国SAEでは「過信を避けるために高度なレベル2でも自動運転とは呼ばない」ということが決まった。レベル2までは運転支援、レベル3以上で初めて自動運転と定めておきたい。

 では次回は、日本政府が世界初のレベル3の自動運転車として認可した、ホンダ・レジェンドについて解説したい。レベル3になると、レベル2とはなにが違うのか?一体どんな機能を持っているのだろうか?

【後編へつづく】

清水和夫
武蔵工業大学電子通信工学卒
1981年からプロのレースドライバーに転向
1988年本格的なジャーナリスト活動開始

日本自動車ジャーナリスト協会会員(AJAJ)
日本科学技術ジャーナリスト会議 会員(JASTJ)
NHK出版「クルマ安全学」「水素燃料電池とはなにか」「ITSの思想」「ディーゼルは地球を救う」など

国家公安委員会速度取締り見なおし検討委員(終了)
NEXCO東道路懇談委員・継続中
国土交通省車両安全対策委員・継続中
内閣府SIP自動走行推進委員(2014~2019/6)
経済産業省・国土交通省 自動走行ビジネス検討会委員
経済産業省・国土交通省 自動走行の民事上の責任及び社会受容性に関する研究
検討会・継続中

清水和夫主宰 無料動画サイト ダイナミックセイフティテストなど
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

清水和夫監修 政府系自動運転のYouTube。
https://sip-cafe.media/

ライターお勧めの関連記事はこちら