国交省、タクシー初乗り運賃の値下げに向けて調整中
今回の料金改定で、タクシーをより近距離で利用しやすくなるはずだ。
国土交通省は7月5日、東京のタクシー運賃変更申請に関して、7月4日の申請受付期間終了時点で、最終的に8割以上の申請(申請した事業者の車両数割合)があったことを発表した。
東京のタクシー運賃については国交省関東運輸局が上下限を設定している。ただし、運賃変更の申請が最初の事業者からなされた日から、3か月以内に地域の総車両台数の7割を超える事業者から同様の申請がなされた場合、上下限の幅の変更手続きに入るという取り決めになっている。
今回の申請地域は、東京都特別区(23区)と三鷹市と武蔵野市で、最初の申請があったのが2016年4月5日。
同地区の法人事業者数は342者で、事業者の総車両数は2万3312両(ただし、同地区の総車両数は2万7655両)。3か月間で申請率は84.30%となった。
最も安い初乗り運賃は410円で申請中
今回の申請では、最も安いもので初乗り運賃が1.059~1.105kmまでで410円という設定((1)~(6))。高いものでも、1.284~1.317kmまでで490円((9)~(13))。加算は、224~280mごとに80~90円という具合だ。
また時速10km以下の場合は渋滞扱いとなり、時間距離併用制となる。その場合は、85~105秒で80~90円を加算という具合。詳しくは、左の画像をご覧いただきたい。
なお、現在の同地区におけるタクシーの初乗り運賃は2kmで730円、その後280mごとに90円の加算となっている。
現行と新料金体系とどちらがお得か比較!
ピッタリ2kmまでいくらかかるのかを比較した場合、渋滞が全く発生しないという理想の状態で計算すると、(8)以外はすべて現行と同じ730円で一緒。ただし厳密には、730円で走れる距離は(9)の2.001kmから(14)の2.169kmまですべて2km以上走れるのでお得ではある。
ちなみに(8)は別格で、どこまで行っても現行より必ず30円安くなる設定なので例外的にお得である。また、若干短いが(14)は1.946kmまでなら640円。
なお、今回の新たな料金設定のほとんどが、距離が延びると現行よりも高くつくのが特徴。例えば3kmピッタリの場合は、(14)だけが現行と同じ1090円だが、それ以外は1130円と40円ほど高くなる。(8)の次にお得な料金体系の(14)も、3kmを超えると現行より高くなる計算だ。
ただし3km付近の場合、わずか手前、2.84kmを超えて2.897~2.992kmまでのピンポイントな距離なら(14)以外も1050円なので、お得にはなる。
ともかく、近距離の1.16kmまで初乗り430円で、その後も280mごとに90円が加算される(8)の案が多くの事業者で採用されることが望ましいのはいうまでもない。
今回の申請は約2か月経った6月3日の時点で7割を超えたことから、国交省はすでに運賃改定にかかわる審査手続きに着手しており、今後、すみやかに運賃改定手続きを行っていくという。処理にかかる期間は、申請受付期間終了日からおおよそ6か月としている。
2016年7月14日(JAFメディアワークス IT Media部 日高 保)