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ライフスタイル最終更新日:2017.04.26 公開日:2017.04.26

「騎士団長が現れます」

18歳。名前はムラカミです。

みなさんは村上春樹の新作『騎士団長殺し』をお読みになりましたか?
ぼくは昔から村上春樹さんのファンなので、発売後すぐに読みました。
騎士団長という登場人物が出てきますが、
実は、ぼくには、昔から騎士団長みたいなのが見えます。

ぼくが見る騎士団長みたいなものは、
「夢ではあらない」
みたいなしゃべりかたはしません。
騎士団長のような服装でも体型でもないのですが、
雰囲気は同じです。

中学生の終わりごろから、自分の部屋に現れます。

村上春樹の書くように「イデア」なるものかもしれません。
間違いなく、夢でもなければ、幽霊でもありません。

ときどき現れて、ぼくと話します。
たわいない話ばかりですが……。

そのことを友人をふくめ誰かに話したことはありません。
ぜったい「頭がおかしい」と言われるに決まっているからです。

ぼくは、ほんとに、頭がおかしいのでしょうか。

ちなみに、その「騎士団長みたいなもの」が現れることで、
ぼくにとって不利益は、いまのところ、なにもありません。
もちろん利益もないのですが……。

そんな「騎士団長みたいなもの」をどうすればいいでしょうか。
たぶんこのままほっとけばいいと思うのですが、
なにかアドバイスありましたら、よろしくお願いします。


山田一郎

うらやましいです

ムラカミさん。
正直、うらやましいです。
ぼくはいま『騎士団長殺し』の第1部の後半あたりを読んでいるのですが、
ああいうのが部屋に現れるなんて、まったくもって、うらやましい。

いいんじゃないですか。

不利益もないけど、利益もないって書いてありますが、
話し相手になってくれるだけでいいじゃないですか。

と、ぼくの場合、うらやむことしかできませんが、
きっと、天空さんならもっと的確なアドバイスをくれると思います。

そうそう、そうなんですよ。
天空さんが宇宙人とUFOに乗って宇宙を駆けまわっているのと同じくらい、
ぼくは、うらやましい話と思うんですよ。

あ。
でも、松尾さんが同じようなこと言いはじめたら、
「馬鹿じゃないですか」
って、言っちゃいそうです。
ひとによるってことかもしれませんね。

まぁ、それにしても、ほんとにうらやましい。

今度、私にそっと会わせてくださいよ。

ところで、
『騎士団長殺し』おもしろいですね。
ムラカミさんのように実際に会ってるひともいることを
頭に浮かべると、より楽しく読めるような気がします。

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恵子

天空

天空

わりと大変だってこと

山田がおれのところに行けって?
おれなら的確なアドバイスができるって?

まぁね。
おれも宇宙人に会って、UFOに乗って、世界中、次元を超えて旅してるからね。

だから、いいんだと思うよ。
騎士団長でもアリスでも白ウサギでもチェシャ猫でも、なんでもさ。
いるんだろうよ、きみのそばには。

おれは、宇宙人とかUFOのことをカミングアウトっていうか、
他人さまに話して、
どっちかというとそれで商売しているクチだから、
偉そうなことは言わないけど、
まぁひとことだけ言わせてもらうと、
そういうのとつきあいながら、この世のなかを渡っていくのは、
わりと大変だってことは、あるかもね。

「他人とは違うものが見える」
「他人とは違うものを体験する」
それは、だいたいにおいて「不思議な体験」ってことなんだけど、
そのことと、現実世界の折り合いをどうつけるかっていうのが、
実際問題、わりと大変。

うまくバランスを取らないと、
精神的に参っちゃって、ときとして精神科の領域の病気になりがち。

村上春樹の場合は、そこの折り合いこそが「文学」なんだろうね。

ムラカミくんの場合は、
「いまのところ利益も不利益もない」ってことらしいけど、
そのうち、
「利益があったり」するようになる。
そいつが存在するせいで「いいことが起こる」ってこともあるんだ。

もちろん、逆もあるよ。

そうなってきたときに、どうするか。

そこからが、実は、あれやこれやと試されるようになる。
なんて、いま脅しても仕方ないから、
そうなったら、また、おれのところにおいで。

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山田一郎

恵子

恵子

なにそれ?

私さぁ、村上春樹って好きじゃないし、
『騎士団長殺し』も読んでないから、
思わず、松尾さんに「なにそれ?」って聞いたわよ。

イデア?
観念とか想念がかたちを持って現れるの?
なんなの、それ……。

要するに実在しないもの、よね。
そりゃね、愛とか恋とかも実在しないわよ。
でも「地球を救う」ほどのパワーもあるらしいわよ。

でも、それは「かたちを持たない」って前提があるじゃん?

かたちを持たないからこそのパワーっていうのも、あるんじゃない?

利益も不利益もないってことだから、私が言うことはないけど、
あんまり、そういう、
「他人に言えないけど、自分には見えているもの」って、
信じないほうがいいわよ。
子どもが「将来を夢見る」とか「愛に生きるべし」とか、
そういうことは否定しない。
私も子育ての真っ最中だから。

でも、ムラカミさん、18歳でしょ。
「騎士団長みたいなもの」とくっちゃべってるのもいいけど、
現実の世界ってものを否定しないで、
きちんと生き抜く覚悟を持たないとだめよ。

子どものときからずっと縫いぐるみを抱っこしている18歳を、
私は否定しない。
夜ひとりで、縫いぐるみに話しかけて、人生相談するのもいい。
けど、あなたが社会に出れば、
縫いぐるみを抱っこしたままではいられないっことは、わかっといてね。

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山田一郎

天空

ライター・松尾の右往左往

村上春樹の『騎士団長殺し』に登場する騎士団長は、
小説のなかでは「イデアがかたちを持って出現した」
というふうに表現されています。

本来、目に見えるものではないが、
主人公には見える、というものです。

幽霊とか幻覚でもなさそうです。

で。
今回の〈お悩み〉をくれたムラカミくんは、
「騎士団長みたいなもの」が昔から見えるのだというわけですね。

そんなものが見えて、ほんとに悩んでいるなら、
こんなところで人生相談っていうより、
お医者さんのところに行ったほうがいい気がしますが、
われらがキャラクターたちは、
そんなふうには考えていないようです。

山田一郎は「うらやましい」とまで言ってます。
しかし、私が同じこと言ったら「馬鹿」って思うらしく、腹立ちますね。
だいたい、山田一郎自身が、
幻想のようにリアリティのない男なんですよ。けっ。

なんて、回答者を罵倒してはいけまませんね。

どちらかというと、
今回は私、恵子の意見に近いかも、です。
見えないものが見えること、または、それ自体に
あまり深入りすると、いいことがなさそうな気がします。

うまい距離感っていうのが、大切かもね、です。

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