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ライフスタイル最終更新日:2017.04.03 公開日:2017.04.03

その5/犬や猫の気持ちがスマホで分かる、ペット用ウェアラブル端末「しらせるアム」&「バイタルスーツ」

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この犬猫用ウェアラブル端末のブースで愛想を振りまいていたコンパニオンキャット。

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犬も猫もウェアラブル端末が取り付けられていることがちっとも気にならない様子。

さまざまな業界関係者向け展示会・見本市という花園でひっそり咲く、関係者相手に展示される製品の数々。これらの中から専門的という不思議さがなぜか心くすぐるものを毎回ピックアップして、白日の下に紹介してしまおうというこの企画。

第5回は、東京・有明の東京ビッグサイトで行われた「第3回ウェアラブルEXPO」(2017年1月18日~20日開催)に出かけて、展示品を物色してきました。
ちなみにこの「ウェアラブル」って「身につけて持ち歩くことができる情報端末」のことだそうです。

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シェパードよ、君の気持ちが分からなかった!

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ブースの中は犬猫たちが元気に動き回っていた。

その昔、昭和40年代のこと、うちの近所(東京の下町)に洋服直しの店があって、そこにオスのシェパード犬が飼われておりました。
体が大きくて、顔が黒くて、威圧感のある奴だったが、むやみに吠えたりしない点のみに好感が持てる犬だった。
僕はそのシェパードに不用意に近づかないよう警戒しながら、いつも店の前を通るようにしていた。
でも奴はその店のある四つ角の奥から機会を狙っていたのです。
学校帰りのある日、友人のカワハラくんと前夜のジャイアンツvsホエールズ(当時)戦の話につい夢中になってしまって、洋服直しの店の角を通り過ぎようとしている(店の敷地にやや入り込んでいた)ことに注意が向いていなかった。まったく迂闊(うかつ)だった。
「熱ッ!」 お尻が熱いぞ、エッ何で?
後ろを振り返ると僕の尻を噛んだままのシェパードと目が合った。
「ドゥワヮーーッ!!」 道の真ん中に大声をあげながら飛び出す僕。
つながれた紐の長さが限界だったのか、僕の大声に圧倒されたのか、シェパードは噛んでいた尻を離した。
恐怖と痛さで大声をあげていた僕(カワハラくんはその時の僕を道の真ん中で阿波踊りを踊っているようだったと表現)は、すぐに近くのA外科に直行。
尻に犬の歯型が残ったものの、不幸中の幸いで大ケガには至らなかった。

で、この一件から、僕は以下の2点のことを学んだのでした。
1.人間の脳は、突然の「痛み」を「熱さ」と勘違いすることがある。
2.動物(とくにシェパード)の気持ちはホント分からない。

ああ、動物の気持ちが分かれば、こんな厄災に遭わずに済んだのに・・・。
ウェアラブル業界の門外漢であり、犬の気持ちが分かったらいいなあと長年感じていた、私の目が、この犬や猫の気持ちが読み取れるという、ペット用ウェアラブル端末に止まるのはごく当然のことと言えましょう。

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今のペットの気持ち、「ルンルン」度は何点くらい?

犬猫用ウェアラブル端末の、1つ目は「しらせるアム」。
中に地磁気計と加速度計、それにBluetoothの通信機能が組み込まれている。モジュールは首輪に仕込まれている。地磁気計でペットの姿勢を、加速度計でペットの動きを感知、そこから得られたデータを人工知能エンジンで解析し、その結果をスマホのアプリによって表示する。
「たとえば、留守番しているときにペットがどういう活動をしていたかが分かるし、いつも活動量がこのくらいあるのにそれがいきなり下がったとすれば、病気とかケガをしているんじゃないかということなどが推測できるわけです」と、この端末を開発する㈱Anicallの朝井さんは解説する。
実際にスマホでは、ペットの気持ちが、以下のように4つに分類されて表される。

1. 「リラックス」 2.「ルンルン」(興奮の度合い) 3.「遊んで」(欲求の度合い) 4.「うざい」(興味のない度合い)。

それぞれ点数評価され、総合判定もイラスト化された顔で表示される。
「たとえば、食事をしたときにいつも高い点数の出るフードがなぜか今日はルンルン度が落ちていた。じゃあ体に何か問題があるんじゃないかとかいうような判断に応用ができます」(朝井さん)。
スマホによって、ペットの気持ちはおろか、健康状態までが判断できるようになるなんて・・・。

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猫につけた「しらせるアム」。この薄いベージュの首輪部分にモジュールが取り付けられている。その評価結果はスマホで見られる。

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犬猫の気持ちが、手軽にスマホでわかる点が便利だ。

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下が「しらせるアム」のモジュール部分。これを首輪の中に仕込む。

→次ページ:馬で使われていた心拍センサーを、犬猫にも応用!?

馬で使われていた心拍センサーを、犬猫にも応用!?

犬猫用ウェアラブル端末の、2つ目は「バイタルスーツ」。
こちらは、地磁気計、加速度計に、GPSや通信端末、そして心拍センサーが組み込まれたもの。こちらのモジュールはジャケットの中に組み込まれている。
「馬で使っていた心拍センサーを犬猫用に応用したものなんです、これ。心拍を測るとより詳細なモニタリングができることが特徴です。たとえば寝ている時などは、地磁気計で、姿勢を読み取るので寝ていることは分かるんです。だけどそれが疲れて寝ているのか、周りがうざくてちょっとふて寝しているのか、それとも本当にリラックスしていて休息しているのかは、姿勢からだけでは読み取れません。心拍のセンサーをつけることで、拍動の状態からストレスがたまっているのかとか、本当にリラックスしているのかどうかを比較から分析できるんです。2つ合わせることで、より詳細なモニタリングが可能になりました」(朝井さん)

日々の散歩やダイエットトレーニング、興奮や落ち着きの状態、体調把握、指示されたことへの反応の解析・判定も可能だという。

スマホによって、ペットの気持ちはおろか、健康状態までが判断できるようになる時代がくるなんて・・・。
昭和40年代にシェパードの気持ちを知りえず不幸に見舞われた当時の少年は、歯型が刻印されていた尻をなでながら、「あのシェパード、僕の何が気に入らなかったんだろう」と呟くのでした。
ちなみに、「しらせるアム」は9,800円(予定価格)、「バイタルスーツ」は25,000円(予定価格)で、今年中の発売を予定しているとのことでした。

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大型犬用の「バイタルスーツ」。モジュールはこのジャケットの中に仕込まれている。

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小型犬用の「バイタルスーツ」。

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ペットの心拍数がリアルタイムで把握できる。

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こちらは、心拍センサーが内蔵された競走馬用のウェアラブル端末と競走馬用の鞍。中央下側のオレンジ色の帯状の部分にモジュールが仕込まれている。

2017年4月3日(JAFメディアワークス IT Media部 上條 謙二)※2017年1月20日取材

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