菰田潔のなるほど運転レッスン(第5回)|ハンドル操作
こんにちは、菰田清です。私と一緒に『今さら人に聞けない運転の基本』を動画でおさらいしてみませんか? ひとつひとつチェックしていけば、きっといまより運転がうまくなりますよ! 連載第5回は、ハンドル操作について解説します。
ハンドルは「9時」と「3時」の位置を持ちましょう
ハンドルはただ回せばいいというわけではありません。ハンドルは強く握るとスムーズな操作ができないので、無駄な力が入らないようにリラックスして運転しましょう。ポイントは「押しながら」回すことです。その訳は動画をご覧ください。
今回は、正しいハンドル操作について説明をしたいと思います。まず、ハンドルを持つ位置ですが、時計の文字盤で表した時「9時」と「3時」になる位置を持ちましょう。その際、親指付け根にあるてのひらのふくらみ部分の少し内側にステアリングリム(ハンドルの輪っか部分)があたるように持ちましょう。ハンドルは、前に押し出すように持ってください。
次に、親指は軽くステアリングスポーク(※)に掛けます。残り4本の指は、ステアリングリムの裏側に絡ませておきましょう。この状態でハンドルを切っていきますが、ふたつの条件があります。ひとつは、ハンドルの下部分、時計の文字盤でいうと「5時~7時」の位置に手が入らないようにするということです。もうひとつは、手を持ち換えてハンドルを切る時でも、常にハンドルの同じ場所を持つということです。
※ハンドルの外枠を支える支柱
3つのアクションで最後まで切ることができます
では、実際にハンドルを切っていきましょう。まず右に切っていきます。両手でスーッと切っていって、5時の位置まで来たところで、右手がそれ以上中に入らないように手を滑らせます。右に切りますが、左手で切っていきます。この時に、左手の親指はリムの外側に出して、小指と薬指でしっかりとリムを持って切っていくと切りやすいです。そうして、5時の位置まで切ったら、ここまでがアクション1です。
さらにハンドルを切る時には、直進走行をしていた時にリムを持っていた位置を右手で持ちます。これがアクション2です。
アクション3で、左手をさっき持っていた9時の位置に置いてハンドルを切ります。ほとんどのクルマがこのアクション3で、ハンドルを一杯まで切ることができます。
次に戻します。3アクションで切ったら、3アクションで戻す。切ったのとは逆方向に、ビデオの逆再生のようにハンドルを動かして戻します。これで真っ直ぐになりますね。
こうしたハンドルの切り方の目的は何かというと、どちらにどれぐらいハンドルを切っているのか正しく把握すること。そして、いつでも自分の力で直進状態に戻すことができる。これが最大の目的です。
正しいハンドル操作は、路面のグリップ状態を把握することができます
メリットもたくさんあります。ハンドルを押し上げるようにして切っていくことで、カーブを曲がる時に体がシートにもたれかかる姿勢になるので安定感が増すのです。それから、一度に沢山切ることができるので、ほとんどの大きな交差点やカーブを曲がることができます。つまり、少ないアクションで正確に運転できるというメリットがあるのです。
色々なメリットがある中で、特に滑りやすい路面で重要なのが、ステアリングインフォメーション(※)ですね。ハンドルを切る時には、引っ張って切る方が楽なのですが、押し上げて操作することでステアリングインフォメーション、つまり路面のグリップ状態を手ごたえとして感じることができるのです。
皆さんも、このステアリングワークをマスターしていい運転をしてください。
<プロフィール>
菰田潔(こもだ・きよし)
多くの運転講習会で講師を務めるモータージャーナリスト。その理論的で分かりやすい教え方から “プロフェッサーこもだ” と呼ばれることも。
※この記事は2012年3月に公開した動画を元に再編集したものです。