再現度がスゴイ!劇中車のレプリカカー特集【前編】ブラックインターセプター、ハチロクなど。
映画やTVドラマ、マンガなどで活躍した劇中車は、その作品が発表されてから時が経っていても熱狂的なファンが存在する。そんなファンたちの熱い思いによって製作された、劇中車を忠実に再現した「レプリカカー」を紹介しよう。
ブラック・インターセプター 映画:『マッドマックス』
「ブラック・インターセプター」は、1979年に公開されたバイオレンスカーアクション映画『マッドマックス』に登場する劇中車。同作は、暴走族による凶悪事件が多発する荒廃した近未来のオーストラリアを舞台とした物語。残虐な暴走族により同僚や息子の命を奪われた主人公・マックスが復讐のために乗り込んだのがこの車両である。
劇中では、暴走族専門の特殊警察「M.F.P(Main Force Patrol)」が、追跡用にチューンナップした、スーパーチャージャー付きV8エンジンを搭載し、600馬力を誇るという当時としては驚異的なスペックを持ったクルマであった。
ブラック・インターセプターのベース車両は、フォード・オーストラリアが独自に開発して生産した「フォード・ファルコン」の3代目。その中期型の2ドアハードトップモデル「XB GT」の1973年式だといわれている。
このレプリカカーでは、ブラック・インターセプターの最大の特徴であるボンネットから突き出したスーパーチャージャーを忠実に再現。劇中車が積んでいたものと同じウェイアンド社製のスーパーチャージャーを搭載している。また、左右に4本ずつ突き出したマフラーや、劇中車と同じBFグッドリッチ製のタイヤを装着するなど、こだわりを感じる再現がなされている。
藤原とうふ店号(ハチロク) アニメ:『頭文字D』
累計発行部数5500万部(2021年4月現在)を突破した大人気コミック『頭文字D』は、峠道で高速走行をする走り屋たちが対戦する様子を描いた作品。同作品の主人公・藤原拓海の愛車として活躍したのが「ハチロク」こと、トヨタ・スプリンター トレノ AE86型である。主人公の父が営む「藤原とうふ店」のロゴが書かれているのが特徴だ。
このハチロクのレプリカカーは、2014年に公開されたアニメ新劇場版において、オフィシャルカーとして監督からの公認を受けた車両。単にドアに「藤原とうふ店」のロゴが書いてあるレベルではなく、車内外のありとあらゆる部分を徹底的なまでに原作通りに忠実に再現した1台だという。
グレードは3ドアのボディタイプで、最上位の「1600 GT APEX」。車両型式は「E-AE86-FCMVF」だ。名機といわれる1587ccの水冷直4DOHCエンジン「4A-GEU」を搭載している。
このレプリカカーでは、作品のストーリーや作者の勘違いまでも再現されているとことがポイントだ。ハンドル左側のドリンクホルダーに入れられた紙コップは、劇中で主人公がドライビングテクニックを磨くために用いた手法を再現。紙コップいっぱいに入れた水をこぼさないよう、とうふ配達で山道を上り下りすることで滑らかなコーナリングを身に付けたというストーリーをもとにしている。
また、主人公の持つハチロクの型式ではサンルーフはないはずだが、このレプリカカーにはサンルーフが内側だけ装備されている。これは原作者のしげの秀一氏がかつて、サンルーフ仕様のハチロクに乗っていたことから、原作で勘違いして車内にサンルーフを描いてしまったことに由来する。車内から天井を見上げるとサンルーフがあるのに、外側から見るとないという謎仕様。それこそがファン注目のポイントなのだ。
ウルトラ警備隊・ポインター 特撮ドラマ『ウルトラセブン』
こちらは、円谷プロの特撮ヒーローシリーズの第2弾として1967~68年に放映された『ウルトラセブン』に登場する劇中車「ポインター」。宇宙の侵略者から地球を守る地球防衛軍の精鋭部隊「ウルトラ警備隊」に配備された戦闘用の車両である。
このレプリカカーは、劇中車と同じく「クライスラー・インペリアル・クラウン」の1957年式をベースとして制作されたもの。車検を通すために後方のテールフィンなどを短くしているが、それ以外の部分は劇中車を忠実に再現しているという。
ヘッドランプの下に設置された筒状のモノは、攻撃用のマシンガン。オーナーによると鉄製に見えるが実は紙製で、公道走行中は外せるようになっているそうだ。
今回紹介したレプリカカーは、どれもストーリーや設定が忠実に再現されていて、スクリーンから飛び出してきたかのようなクオリティだった。オーナーの作品へ対する熱い気持ちなくして、ここまで細かな再現は不可能だろう。