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最終更新日:2023.06.19 公開日:2021.07.13

暑い、くさいは嫌だ! 車のエアコンを点検してみよう

夏になり車のエアコンをフル稼働にしたら、においはくさいし、涼しくならない。こんな時の応急処置や、日ごろから注意すべき点を紹介する。

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まずはエアコンフィルターを点検

エアコンを入れるとくさい、涼しくならない。その原因は? © structuresxx – stock.adobe.com

 車のエアコンをオンにして、くさい、涼しくならないと感じたときは、まずエアコンのフィルターを点検しよう。車のエアコンにも家庭用のように空気を清浄するためのフィルターが装備されている。その交換は1年1回が目安となっている。これが汚れていると、清浄能力が低下する。低下すると、エアコン内部にホコリが増えて、結露による水分によってカビが発生し、においの元となる。またフィルターが汚れて目詰まりすると、エアコンへの空気取り込み量が減少して涼しくならないというケースがある。そのため、まずはエアコンフィルターの点検から始めよう。

エアコンフィルターは、助手席のグローブボックスを外すと点検できるようになっている車種が多い。取り出すには、まずグローブボックスを外す。するとエアコンユニットの一部分が見えるようになる。次に収納している部分のカバーを外し、エアコンフィルターを取り出せるようになる。その際に必要な工具もドライバー1本程度で、大掛かりなものを必要とするケースは少ない。

ただし一部のミニバンなどはインパネの中央部などの奥まったところにエアコンフィルターが収納されていることがある。奥まっているので、助手席のドアを全開にしてフロアに寝っ転がる姿勢で作業をすることになるが、それでも15分前後で取り外せるので挑戦してみてほしい。

2019年型、日産セレナのグローブボックス(助手席側にある車検証などを入れる収納箱)。工具などがなくても取り外せる構造になっている車種が多い 写真=小林祐史

 ちなみに今回の撮影対象となった2019年型の日産セレナも奥まったところにエアコンフィルターが収納されていた。その取り外し作業の写真は、このページの下にあるこの記事の写真を見るに掲載しているのでクリックし、参照してほしい。

車のエアコンフィルターは掃除機NG

車から外したエアコンフィルター。それなりに汚れている状態だった 写真=小林祐史

 エアコンフィルターを取り出したら、まずは汚れ具合を確認。異物が挟まっているなどで汚れがひどい場合は交換となる。また使用期間が1年以上の場合も交換したほうがベターだ。

あまり汚れていない、もしくは使用期間が1年未満の場合は何もせずに再装着する。決して家庭用エアコンのように掃除機をかけるや水洗いなどはしないように! 車のエアコンフィルターはそのようなことを前提とした設計でないため、浄化性能の低下を招く恐れがある。また除菌や消臭機能を備えたものなどは掃除機や水洗いをすると、その機能が失われる可能性もある。

エアコンフィルターは掃除機で吸わない、水洗いをしないというルールを覚えておこう。なお缶スプレーやコンプレッサーなどのエアブロワーで汚れを吹き飛ばすこともNGだ。

点検後に再装着・交換する際に注意したいのが、取り付ける向き。上下を示す「UP」や、空気の流れを示した矢印などのマークがあるので、それを参照に正しい向きで装着しよう。正しい向きで取り付けないと清浄能力も低下してしまうからだ。

エアコンフィルター取り付け向きを示す「UP」マーク 写真=小林祐史

注※2000年以前の発売された車にはエアコンフィルターが装備されていないものがある。

においが気になる場合のお手入れ

トヨタ車などに搭載されているエアコンシステム。これがインパネ内に収まっている 写真=デンソー

 エアフィルターを点検・交換してもにおうなら、吹き出し口の汚れ掃除や、吹き出し口に消臭剤を取り付けてみたり、吹き出し口から消臭スプレーを散布するなどを試してみよう。それでもにおいが収まらないなら、エアコンユニット内の奥にカビが発生している可能性が高い。その場合は、暖房運転にして数分間そのままにしておく。カビが減少し、においが和らぐこともある。

しかし前述のものは一時的なものであり、と呼ばれるエアコンユニット内で結露しやすい場所の掃除ができていないことが多い。エバポレーターはエンジンのラジエーターのような形状をした部品で、内部に空気を冷やすガス(冷媒)が流れている。そこに取り入れた空気を吹き付けることで涼しい空気を作り出している。吹き付ける際に、空気中に含まれる水分が急激に冷えて、エバポレーター表面に結露が生じることがある。その結露が残ったまま、エンジンを切るとエアコンユニット内でカビが発生することになる。

ラジエーターのような形状をしているエバポレーター 写真=デンソー

 このエバポレーターの点検や洗浄をユーザーが行うことは難しく、プロに依頼するのが無難だ。市販のエバポレーター洗浄スプレーもあるが、それを使ってもにおいが取れない場合は整備工場や車の洗車サービスを行っている業者などに依頼しよう。

日ごろから内部のホコリと湿度を意識

エアコン内部のカビを発生させないようにするには、エアコンフィルターを定期的に交換する、吹き出し口を掃除するなどといった内部のホコリを少なくすることを日ごろから心がけることだ。また、エアコン内に結露が起きない状態で駐車することも大切だ。そのためには、目的地に到着する10分くらい前にエアコンをオフにし、外気導入での送風運転を行おう。これで内部の結露や水分が減少する。

涼しくならない場合はエアコンをオフ。そのまま使うと高額修理の可能性も

エアコンフィルターを交換しても涼しくならない場合は、エアコンガス(前述の冷媒)漏れやコンプレッサー故障などが原因として考えられる。このような場合は自動車整備のプロに修理を依頼しよう。また、エアコンガス漏れで涼しくならないままエアコンを稼働させ続けた場合、エアコンガスを圧縮するコンプレッサーの潤滑ができなくなり、コンプレッサー内部が焼き付きを起こしてしまうケースもある。この場合、コンプレッサー交換という高額な修理になる可能性もあるので、涼しくならないと感じた場合はエアコンを「オフ」にし早めに修理工場へ向かおう。

エアコンも安全運転に必要な装備

エアコンは車内を快適にするための重要な装備であり、これが故障すると高温多湿で不快な環境となり、ドライバーは運転どころではなくなってしまう。快適に運転できる環境=安全に運転できる環境ということを認識し、エアコンの定期的な点検とお手入れを習慣づけよう。

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