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クルマ最終更新日:2021.01.15 公開日:2021.01.15

どんな雪道や悪路もヘッチャラ! クローラ(キャタピラー)車両がスゴイ!

あれ!? なんか変だぞ。町中でよく見かける車だけど、タイヤがクローラ(キャタピラー)に変わっている! 豪雪地帯や不整地で活躍する謎の車の正体とは? クローラの解説とともにご紹介します。

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どんな雪道や悪路もヘッチャラ! クローラ(キャタピラ)車両がスゴイ!クローラ(キャタピラー)の日本での名称は一般的に無限軌道と呼ばれます。鉄道車両はあらかじめ敷かれたレール(軌道)の上を走りますが、無限軌道は自身で軌道を敷きながら自由に走行することができます。 © Josiah.S – stock.adobe.com

なぜクローラは悪路を自在に走ることができるのか?

 強い冬型の気圧配置が続いた影響で、日本海側を中心に大雪となった新年。各地で交通が分断されるなど、大きな被害が相次ぎました。除雪や排雪が間に合わなくなると、道路状況は一変。スタッドレスタイヤを履いたりチェーンを着けたとしても、豪雪で身動きが取れなくなる場合も。

 そんな通常のタイヤでは走行できない状況下において、優れた走破性能を発揮する車として知られているのが、「クローラ」や「キャタピラー」と呼ばれるベルト状の装置を備えた特殊車両です。

 元々は、悪路を突破する戦車など軍用車両として1801年にイギリスで発明され、その後、アメリカで改良。1904年に現在のキャタピラー社の前身であるホルト社が、ブルドーザの原形となる農耕用トラクターを開発しました。それが世界初の建設機械であるといわれています。

 ちなみに、よく耳にする「キャタピラー」とう名称は、米国キャタピラー社 (Caterpillar Inc.) の登録商標であり、日本では日本建設機械工業会が統一名称としている「クローラ」または「無限軌道」という名称が一般的に使用されています。

 なぜクローラが悪路を自在に走ることができるのかというと、その理由は、車両と地面が接する面積が広いから。車両の重量がクローラのベルト全体にかかるため、接地面積あたりの圧力(接地圧力)が下がり(分散し)、柔らかい地面でも沈み込みにくくなるのです。また、凹凸のある路面でもクローラ自体が形状を保持しながら回転するため、スムーズに通行することができます。

乗用車を改造したクローラ車両がオモシロイ!

 そんな不整地での走破性に優れたクローラですが、最近は、豪雪地帯や災害時の機動力確保のために乗用車に装着し、働く車として活躍する車両も増えてきています。普段見慣れた軽トラやミニバンなどに装着された姿は圧巻ですね!

 国内で唯一、乗用車向けのクローラの製作販売を手掛ける「ノースウエスト特殊車両」さんにお話を伺ったところ、自治体や電力会社、運送会社といったインフラを担う企業・団体はもちろん、近年は冬登山や秘湯を楽しむレジャー向けの送迎車としてのニーズも高まっているのだそう。「車両で行けるギリギリのところまで、安全に確実に人や物を運べるように支援するのが私達の役目です」と同社社長の平野さんは語ります。

 個人の方にはどういったニーズがあるのか伺ってみると「問い合わせの多くは企業様ですが、ごくごく稀に個人の方もいらっしゃいますよ。ほとんどはレジャーとして楽しまれる方々ですね。例えばスノーモービルの代わりとして利用される方もいらっしゃいます。冬でも暖かい車内で移動したいですからね(笑)。あとは、狩猟用の車両として購入される方も多いですね」。

 個人でクローラー車両を運転するなんて、ワイルドでカッコいいですね! ちなみに同社のクローラを装着した場合、最高速度は約80km(ベース車輛により異なります)、最大登坂角は約36度(乾燥路面)。タイヤからクローラへの換装には、専門スタッフであれば約1時間程度で作業が行えるそうです。

どんな雪道や悪路もヘッチャラ! クローラ(キャタピラ)車両がスゴイ!

一般的な乗用車にも装着可能なクローラ。雪上、砂地、農地、傾斜地等の不整地で活躍中。運転操作も乗用車と変わりません。

どんな雪道や悪路もヘッチャラ! クローラ(キャタピラ)車両がスゴイ!スキー場で活躍するクローラ車両。

どんな雪道や悪路もヘッチャラ! クローラ(キャタピラ)車両がスゴイ!

クローラ仕様の軽トラ。農作物の収穫や、物資の運搬などに利用されています。

どんな雪道や悪路もヘッチャラ! クローラ(キャタピラ)車両がスゴイ!

ジムニーにクローラを装着した姿。北海道の風力発電所で使用されています。

 ところで乗用車を改造したクローラ車両は、公道を走ることはできるのでしょうか? 日本の法律では残念ながら、建設重機や戦車など、クローラを装着した車両による公道走行は原則禁止されており、ナンバープレートをつけて公道を走行できるのは「タイヤで自走できる重機」に限られています。しかし、構造変更申請や改造申請等を行うことで認められる場合もありますので、気になる方はクローラ車両を取り扱う専門のショップを尋ねてみるのがよいでしょう。

 私たちの見えないところで生活を支えてくれるクローラ車両たちは、まさに縁の下の力持ち。もしばったり出会ったら、おもわず応援してしまいそうです!

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