クルマのある暮らしをもっと豊かに、もっと楽しく

クルマ最終更新日:2020.12.01 公開日:2020.12.01

イギリスが2030年からガソリン・ディーゼルの新車販売を禁止

イギリスは、ガソリン・ディーゼル車の新車販売を2030年から禁止と発表。今年2月の発表から5年前倒しすることになった。また今回からハイブリッド車は2035年で新車販売禁止となることが付け加えられている。世界各国のエンジン車に対する新車販売禁止状況もまとめた。

記事の画像ギャラリーを見る

2040年→2035年→2030年と、前倒しを加速したイギリス

イギリスが2030年にガソリン・ディーゼル車の新車販売禁止

2030年からガソリン・ディーゼル車の新車販売を禁止するイギリス。© niyazz – stock.adobe.com

 2020年1117日にイギリスは、ガソリン・ディーゼル車(乗用車等)の新車販売を2030年から禁止すると発表した。20177月に「2040年から禁止」、20202月に「2035年から禁止」と発表してきたが、今回で都合10年も前倒しすることとなった。また今回から、ハイブリッド車(以下HV)でさえも2035年から新車販売禁止ということも付け加えられている。

 同国は、2050年までに温室効果ガス1排出量を実質ゼロにする目標を法律で定めており、その一環としてガソリン・ディーゼル・ハイブリッド車の新車販売禁止を打ち出した。同時にEV(電気自動車)の普及を推し進めるために、購入資金の補助や充電施設の拡充などといった計画も今回発表している。なお近年のイギリスにおける新車販売は年間約300万台で、PHVも含むEVのシェアは拡大しているが、ガソリン・ディーゼル車が90%以上を占めている。2030年の新車販売禁止までの道のりは容易ではないようだ。

1:二酸化炭素やメタン、亜酸化窒素などの平均気温を上昇させる原因といわれるガスのこと

世界各国のエンジン車の新車販売禁止はどうなっている?

 日本では、1026日に菅首相が臨時国会の所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」という2050年カーボンニュートラル宣言を行った。この宣言は、以前までの「2050年までに80%削減する」というものより一歩踏み込んだものとして注目されたが、ガソリン・ディーゼル車の新車販売禁止には言及せず、具体的な政策・規制を打ち出せてはいない。

 そして世界の政策・規制に目を向けると、中国は2035年にガソリン・ディーゼル車の新車販売を禁止し、PHVを含むEVと、HVの割合を5050にすることを掲げている。

 北・中米では、2035年からPHV・HVも含む禁止を打ち出しているのがアメリカ・カルフォルニア州。PHVは除外して2035年からがカナダ・ケベック州。PHVは除外して2040年からがカナダ・ブリティッシュコロンビア州。なんとコスタリカは、来年の2021年からPHV・HVを含むガソリン・ディーゼル車を輸送分野から排除。

 ヨーロッパでは、2025年からPHV・HVを含む禁止がノルウェー。2030年からPHV・HVを含む禁止がアイスランド、アイルランド、イギリス、オランダ、スウェーデン、ドイツ。PHVは除外して2030年からがスロベニア。2040年からPHV・HVを含む禁止がスペイン、フランス。

 中東では、2030年からPHV・HVを含む禁止がイスラエル(トラックは天然ガス車に代える)。またアテネ、ブリュッセル、ローマ、ミラノ、シアトル、バンクーバー、メキシコシティ、ケープタウン、キトなどといった都市は独自に、ガソリン・ディーゼル車の新車販売禁止や通行禁止などの政策・規制を発表しているところがある。

 このような潮流となったのは、2016年に発効した「パリ協定」が根底となっている。パリ協定は21世紀後半(2051年以降)までに、世界平均気温の上昇を産業革命前比で2度未満に抑えるのと、気温上昇原因である温室効果ガスを実質ゼロまで下げるという目標を掲げている。その目標を達成するために「2050年」という目途を世界各国が立て、さまざまな政策や規制、目標などが発表されてきた。

LEXUS UX300e

各自動車メーカーは各国のガソリン・ディーゼル車の新車販売禁止に沿ってラインナップを再編している。写真:トヨタ

エンジン車の新車販売禁止が「2050年」ではない理由

 もしガソリン・ディーゼル車の新車販売禁止を2050年からとしたら、同年に販売された新車はその後の10数年以上も走行し続けることになる。つまり2051年以降もガソリン・ディーゼル車が多く使用され、パリ協定の実現が難しくなる。そこで各国は新車販売禁止の開始時期を、クルマの平均的な使用期間を差し引いた2020年から2040年に設定しているのだ。

 このような情勢を踏まえて個人のカーライフに目を移すと、2020年代以降のクルマ購入では、「2051年以降」という要素を考慮する必要があるだろう。

世界各国のガソリン・ディーゼル車の新車販売禁止時期

2021年 コスタリカ
2025
年 ノルウェー
2030
年 アイスランド、アイルランド、イギリス、オランダ、スウェーデン、ドイツ、イスラエル、スロベニア
2035
年 アメリカ・カリフォルニア州、中国、カナダ・ケベック州
2040
年 スペイン、フランス、カナダ・ブリティッシュコロンビア州

▼は輸送分野からガソリン・ディーゼル車を排除
▲はPHV・HVも新車販売禁止の国
▽は2035年からHVの新車販売禁止の国

記事の画像ギャラリーを見る

この記事をシェア

  

応募する

応募はこちら!(4月30日まで)
応募はこちら!(4月30日まで)