フェラーリを買わず死ねるか！ 清水草一が解説するスーパーカー購入術

著者の清水草一氏。最近は、フェラーリ 328GTSとランボルギーニ・カウンタックの2台体制なのだそう。

スーパーカーの本当の話

　スーパーカーは、驚くほどお金がかかりません。本当に驚くほかはないです。

　フェラーリやランボルギーニなどのスーパーカーの一般的なイメージは、何の役にも立たずにカネばっかりかかる、穀潰しの極北といったところでしょう。しかし事実はほぼ真逆です。

　私とて、27年前に初めてフェラーリを買った時は、人生を捨てる覚悟でした。フェラーリを買わずには死ねない！　死んでもいい！　と覚悟した上で、清水の舞台から飛び降りました。

清水草一氏がはじめて購入したフェラーリが、この348tb

　ところが実際買ってみたら、驚くほどお金がかからず、破滅どころか、いいことしか起こりませんでした。

　正確には、最初の1台はそれなりにお金がかかりました。5年半の所有期間中に4回故障して、整備費用（車検整備代等含む）が合計486万円、自動車保険料が合計124万円、自動車税が合計29万円。売却時には523万円の差損（1163万円－640万円）が出ました。総計1144万円、年平均208万円です。

　しかしこれは、最初の1台が欠陥車として名高い超初期型のフェラーリ348tbだったことと、バブル崩壊の余波が残っていたことのダブルパンチによるもので、以後12台のフェラーリは、本当にお金がかかっていないのです。

フェラーリ 458イタリアも夢じゃない!?

維持費は300万円の国産車と大差ない!?

　たとえば、2012年から17年まで約５年間所有していたフェラーリ458イタリアの場合は、整備費用が合計157万円、自動車保険料が合計106万円、自動車税が合計38万円、売却損は380万円（2580万円－2200万円）。総計681万円、年平均136万円で済みました。

　2003年から4年半乗っていた360モデナにいたっては、整備費用217万円、保険料59万円、自動車税26万円、売却損140万円（1390万円－1250万円）で、総計442万円。年平均わずか100万円に過ぎませんでした。

「それでも年間100万円もかかるのか～」

　そう思われるかもしれませんが、ご自分の自家用車で計算してみてください。それほど大きな差ではないはずです。

　普通のクルマを新車で買い、5年間乗って売却したら、残価は30％がいいところ。つまり総額300万円のクルマの場合、200万円は下がる。これだけで年平均40万円。整備費や保険料等が年10万円くらいとしても、合計して年間50万円くらいはかかっているでしょう。

　フェラーリは、その2倍くらいしかお金がかからないのです。たったの2倍ですよ！　それで世界最高峰が味わえるのです！

フェラーリ 360モデナ

　しかも私の場合、クルマが趣味なので、本来必要のないパーツをいろいろ装着して、それで費用がかさんだ面があります。458イタリアは計76万円、360モデナは177万円も、そっちにつぎ込んでしまいました。それがなければ、300万円の国産車と大差ない維持費で行けたでしょう。

　さらにさらに、現在のようにスーパーカーの相場が上昇を続けている局面ならば、買った値段より高く売れてしまいます。

　たとえば、2008年に328GTSを買った時は598万円だったけれど、2019年に同じく328GTSを買った際は、1180万円になっていました。11年間で約2倍！　あのまま売らずにずーっと持ってればどれだけ儲かったことか！

現在の愛車であるフェラーリ 328GTS

人生は一度きり

　いやもちろん私は、儲けようと思ってフェラーリを買っているわけではありません。もはや依存症で、フェラーリなしには生きて行けないから買っているのです。中古フェラーリを買うことを人生最大のヨロコビにしているので、これまで27年間で13台（＋ランボルギーニを2台）も買ってしまっただけです。

　まるでアラブの石油王のようですが、私は決してそんなにお金持ちではなく、ただ年間マックス200万円くらいまでなら、スーパーカーに注ぎ込める余裕があったに過ぎません。実際、それ以上はかけてませんし。

　フェラーリは高いです。現行モデルは最低3000万円します。でも20～30年くらい前の中古車なら、1000万円くらいから買えます。もちろん、フェラーリならなんでもいいわけじゃなく、カスをつかむとひどい目に遭うので、そのあたりは多少研究の必要がありますが、クルマ好きなら、人生一度くらい、清水の舞台から飛び降りてもいいんじゃないでしょうか。