ガソリン暫定税率が廃止! ガソリンの価格はいつから何円下がる? 軽油はどうなるの?
2025年11月28日、ガソリン税の暫定税率を廃止する法案が参議院の本会議において全会一致で可決・成立しました。ガソリン暫定税率が廃止となる12月31日以降、ガソリン価格はどのように変化するのでしょうか。
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2025年12月31日をもって「ガソリン暫定税率」が廃止!
2025年11月以降のガソリン小売価格のイメージ図。
2025年11月28日、ガソリン税の暫定税率を廃止する法案が参議院の本会議において全会一致で可決・成立しました。これにより、同年12月31日をもってガソリン暫定税率が廃止されます。
「ガソリン暫定税率」とは、ガソリンにかかる税金に対して上乗せされてきたガソリン税の一種です。元々は、急激な燃料価格の高騰に対処しつつ道路整備などを進めるための財源「道路特定財源」を確保するため、1974年に導入されました。
ガソリン税には主に国税である「揮発油税」と地方税である「地方揮発油税」の2つがあります。揮発油税とは、ガソリン等の揮発油にかかる税金であり「1Lあたり24.3円」と決められています。地方揮発油税は、特定の国税を国から地方自治体に譲与する「地方譲与税」の一部であり、税額は「1Lあたり4.4円」です。
この2つの税金に上乗せする形で、1Lあたり25.1円の「暫定税率」が加算されていました。つまり、ガソリン1Lあたりに、揮発油税+地方揮発油税+暫定税率の53.8円が課せられていたわけです。
そして2009年には、ガソリン税の使途が「道路特定財源」から使い道が限定されない「一般財源」に切り替わりました。道路の整備水準が向上したこと、道路歳出の抑制などが理由として、この見直しは行われました。しかし、当初の目的と違う用途に税金を使用することに対して、疑問を呈する声が長期間にわたって上がり続け、議論が続けられてきました。
そして今回、満を持してガソリン暫定税率の廃止が可決・成立。これにより、1Lあたり25.1円分の税金がなくなり、その分ガソリン価格が安くなると期待されています。
なお、軽油(ディーゼル)に課せられている暫定税率は1Lあたり17.1円で、こちらは2026年4月1日に廃止される予定です。
ガソリンは暫定税率廃止でいつから何円安くなる?
政府は2025年11月以降、ガソリン価格が段階的に下がるよう順次、補助金額を増額している。
ガソリン暫定税率が廃止されると、いつから何円、ガソリンの価格は安くなるのでしょうか?
実は、暫定税率が廃止された翌日(2026年1月1日)になった時点から、ガソリン小売価格が一気に下がるわけではありません。その背景には、政府が支給している補助金制度の存在があります。
そもそも、この補助金制度はガソリンなどの燃料油の小売価格が急激に変化することを抑制する目的で支給されています。政府はガソリン価格が段階的に下がるように、補助金を段階的に増額することで調整を行います。
具体的には、下記のように段階的にガソリンの補助金額が増額されます。
- 11月13日・・・10円/L → 15円/L
- 11月27日・・・15円/L → 20円/L
- 12月11日・・・20円/L → 25.1円/L
これによって12月11日以降は、実質的に暫定税率25.1円分を補助金で補うことができるため、暫定税率と同水準の価格引き下げがすでに行われている状況になるのです。つまり、暫定税率廃止の翌日に小売価格が急落するのではなく、少しずつ新価格に移行する動きになると予想されます。
ガソリンの小売価格が急変すると買い控えや、その反動による需要の急増などが起こり、ガソリン流通の現場に混乱をまねきます。ガソリンスタンドに給油待ちの行列ができたり、ガソリンが一時的に在庫切れになったりする可能性もあるのです。そういった混乱を抑制するために補助金による調整が行われるのです。
12月1日時点のガソリン小売価格は1Lあたり164.8円で、11月25日の168.8円と比較すると4.0円値下がりしました。12月11日以降は、ここからさらに、1Lあたり5.0円ほどの値下がりになると予想されます。
軽油(ディーゼル)の小売価格は1Lあたり147.2円で、11月25日の149.2円と比較すると2.0円値下がりしました。こちらは既に1Lあたり17.1円の補助額が適用されているので、ここから大きな値下がりは起きないと予想されます。
ただし、原油価格の国際的な変動や為替レートの動向といった、税制以外の要因にも大きく影響を受ける場合があるため、この通りに変化するとは限らず注意が必要です。
ガソリン暫定税率の廃止は、消費者が小売価格の恩恵を受ける一方で、これまで道路整備などの財源の一部となっていた税収にも変化をもたらします。今後はこの税制変更がもたらす価格への影響と、財源の確保という2つの側面を継続的に注視していく必要があるでしょう。
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