カワサキ新型「Z900RS」に注目! 伝統を守りつつ中身は大刷新、CB1000Fと大型ネイキッドの王座争いへ
東京ビッグサイトで11月に開催された「ジャパンモビリティショー2025」。各バイクメーカーの中で最も注目すべきモデルは何だったのか? 今回は、カワサキブースでファンの期待を背負い誕生した新型「Z900RS」に注目。2026年のバイクシーンの潮流を読み解いていく。
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カワサキ、水素で走る新型バイクを披露
カワサキブースのテーマは「伝統と革新」。そのブース入口で目立っていたのは、カワサキが推進するカーボンニュートラルの象徴ともいえる「水素エンジンモーターサイクル(参考出品)」だ。
このバイクは水素を燃料とする内燃機関(ICE)で動き、燃焼後の排気は主に水――つまり本質的にクリーンな排出物しか出さない点が大きな特徴。環境への負荷を下げつつ、「バイクらしい鼓動」「エンジン音・フィーリング」を維持できるという、電動バイクとは異なる新しい選択肢として提案され、来場者の関心を強く引きつけていた。
水素エンジンモーターサイクル(参考出品)
“Z”の伝統を崩さず、中身は確実に進化した新型Z900RS
一方で、多くのライダーが発表を心待ちにしていたのは、やはり「Z900RS」である。新型では伝統的なZシリーズをオマージュしたボディデザインは大きく変えず、その内部を大幅にアップデート。特に注目すべきは、エンジン・電子制御・ユーザーインターフェイスという3つの領域での強化である。
Z900RSのハイグレードモデル「Z900RS SE」。ブレンボ製ブレーキパッケージとオーリンズ製リヤサスペンションを採用した特別仕様で、カラーは「メタリックスパークブラック」のみ設定。
まずエンジンには電子スロットルバルブとIMU(6軸ジャイロセンサー)が新たに搭載された。電子スロットルバルブの採用によりシフトアップ/ダウンをスムーズに行えるクイックシフターが追加され、電子制御では設定した速度を維持して走行できるオートクルーズ機能を搭載。
さらにIMUを用いた制御によって、エンジンブレーキやABSなどの統合制御が可能になり、コーナー進入から脱出までライダーの理想的なライン取りを支援するKCMF(カワサキコーナリングマネージメントファンクション)も採用されている。
Z1の意匠を継続した砲弾型2連アナログメーターの採用も嬉しいポイントだ。
ユーザーインターフェイスとしては、ハンドル幅を従来よりやや狭く・低く設定し、クイックなハンドリングを実現。
さらにシートのタックロール部にウレタンを増量したことで座り心地が向上し、ロングライドの快適性が増している。専用アプリを活用すれば、スマートフォンでメーター時計の設定やライディングログの確認、音声ナビゲーションガイド(ライセンス登録が必要)などの機能も利用可能だ。
カワサキ Z900RS SE|Kawasaki Z900RS SE
新型「Z900RS SE」は183万7000円で、発売は2026年2月予定。現行モデルの170万5000円から値上がりするものの、得られる快適性は確実に一段上がるだろう。
ほかにも、ビキニカウル装備でスポーティな雰囲気をまとう「Z900RS CAFE(154万円)」、ブラックアウトされた精悍な標準モデル「Z900RS Black Ball Edition(152万9000円)」など、個性の異なる派生モデルも展示され、これらも2026年2月発売予定だ。
Z900RSシリーズとホンダCB1000F、どちらがより多くのライダーに選ばれるのか。ネオクラシック/ストリートネイキッド大型モデルの王座を懸けた競争が、まもなく幕を開ける。
カフェレーサースタイルのZ900RS CAFEは、ウインドプロテクションにも優れるフロントカウルが印象的。Z900RSの世界観を、よりアグレッシブに楽しみたいライダーに刺さる一台だ。





