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公開日:2025.10.28

これがフェラーリの未来だ! バーチャルプロジェクトによるデジタル専用ハイパーカー「F76」発表

フェラーリF76|Ferrari F76

フェラーリは10月25日、ル・マン24時間レースを「499P」によって3年連続で制した今年、同社初となるNFT形式(※)によるデジタル専用モデル「F76」を発表した。 ※NFT形式とは「Non-Fungible Token(非代替性トークン)」と呼ばれるブロックチェーン技術を用いたデジタルデータに、唯一無二の価値を持たせるための規格

フェラーリF76|Ferrari F76

文=細田 靖

写真=フェラーリ

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未来のフェラーリ像を先取りするデザイン宣言ともいえるモデル

1949年、フェラーリはルイジ・キネッティ選手とロード・セルスドン選手のコンビが、ツーリング製ボディの「166MMバルケッタ」でル・マン24時間レース初優勝を飾った。このたび発表されたデジタルハイパーカー「F76」は、この1949年から76年目を迎えたことに由来して名付けられた。

F76は量産車ではなく、フェラーリのレーシングの伝統と生成型デザイン、デジタル技術の融合による革新的なバーチャルプロジェクトであり、ブランド体験の新たなフロンティアを切り拓くもの。限定プログラム「Hyperclub」の顧客向けに開発されたF76は、ル・マンおよび世界耐久選手権に参戦する499Pを応援しながら、公式チームとともに旅を歩むことを可能にするデジタルアセットのひとつである。

フェラーリF76|Ferrari F76

フェラーリF76|Ferrari F76

ボディ全体がウイングとして機能

フラヴィオ・マンゾーニ氏率いるフェラーリ・スタイリングセンターが手がけたF76 は、未来のフェラーリ像を先取りするデザイン宣言ともいえるモデル。形状・機能・パフォーマンスが一体となって進化するパラメトリックなアプローチにより、自動車デザインの境界を再定義することを目指したビジョナリープロジェクトだ。生体模倣や建築原理、工学、コンピュータサイエンスを融合させた革新的なソリューションにより、フェラーリは単なるスタイリングの枠を超え、複数の特許取得につながる新領域を切り拓いた。

最大の特徴は空力を徹底的に追求した“ダブル・フューゼラージュ”のフォルム。ウイング形状と精緻なジオメトリーがパフォーマンスを極限まで引き出し、従来のルールを超越する。前後にかけて空気の流れを分離・再合流させる構造により、ボディ全体がウイングとして機能し、グラウンドエフェクトを最大限に活用する。

サイドには、フェラーリ創立80周年を記念して昨年10月に発表されたスペチアーレ(スペシャルモデル)の「F80」を想起させる垂直スリットを採用し、この新しいテクニカル・スタイリング言語が将来の市販モデルヘつながることを示唆している。張りのあるテクニカルな面と、有機的で彫刻的なボディとの対比を、生成アルゴリズムによる数学的最適化がさらに引き立てている。

中央フューゼラージュには3次元的なルーバー入りのリバリーが施され、フェラーリの伝統的な意匠要素を強調。リヤセクションでは、トポロジー最適化によって生成された複雑な構造が冷却気流を導き、内部コンポーネントの放熱性能を最大化する。

構造設計においても挑戦的で、革新的な形状と従来の機能要件を融合させることで、インテリアの空間構成を刷新した。

リヤには車幅を強調するふたつの垂直プロファイルを配置し、その上に架かるウイングが中央チャンネルを象徴的なポータルとして強調。4灯テールランプはウイングに融合され、性能向上にも寄与する。

フロントは両翼の間に浮かぶ帯状の要素が眺望を独占し、F80で採用したフローティング・スプリッター思想をさらに発展させている。その下では車体が大胆に「潜り込み」、中央ダクトとホイール上の空気流通を際立たせる。左右に配置されたリトラクタブルヘッドライトは、1970〜80年代の伝統的ポップアップライトヘのオマージュであり、未来感あるF76のキャラクターと融合している。

インテリアは同乗体験を最大化するための設計で、独立したふたつのコックピットはドライブバイワイヤ技術により、ステアリングホイールからペダル操作まで同期化され、双方が同時に走りの感覚を共有できる仕組み。情緒面でも技術面でも共に運転する一体感を高める。

そしてF76は、これまでにないパーソナライゼーション体験を提供する。3年間にわたるHyperclubの活動を通じ、顧客は限定的に公開された複数のデザインオプションから選び、自身のF76を生み出すことができた。伝統と革新が交差するコミュニティのなかで、顧客は唯一無二の体験を持つデジタルオーナーになる。

フェラーリ公式YouTubeチャンネルより

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