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公開日:2025.09.11

テスタロッサ復活! フェラーリ新型フラッグシップスーパースポーツカー「849テスタロッサ」登場!【新車ニュース】

フェラーリ849テスタロッサ|Ferrari 849 Testarossa

9月9日、フェラーリは新型フラッグシップスーパースポーツカー「849テスタロッサ」をミラノで発表した。

フェラーリ849テスタロッサ|Ferrari 849 Testarossa

文=細田 靖

写真=フェラーリ

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「赤いヘッド」を意味する「テスタロッサ」の名が復活

849テスタロッサはSF90ストラダーレの後継を担うフラッグシップスーパーススポーツモデル。

フェラーリはこの新型モデルについて、「そのパフォーマンスはもちろん、乗り心地や洗練されたインテリアを犠牲にせずに、ドライバーを興奮させる走りでも、未来的であると同時に歴史に深く根ざしているデザインでも、フェラーリのラインナップのトップに位置するモデル」と紹介。ベルリネッタ(クーペ)と、リトラクタブルハードトップを備えるスパイダーが同時に公表された。

フェラーリのモデルに最良のものを求める、最も要求の厳しいカスタマーのために生み出されたのは、(フェラーリが本拠を置く)マラネッロの歴史において伝説的なネーミングである「テスタロッサ」が復活した理由にもなっている。

「赤いヘッド」を意味するこの車名が初めて使われたのは、1956年の500TRで、高性能レース用エンジンのカムカバーの色を表していた。その後、フェラーリのなかでも特に有名なストラダーレ(公道モデル)、1984年のテスタロッサの車名としても用いられた。

3桁の数字「849」は“8気筒で1気筒あたり499cc”に由来する。

V8ツインターボ+3モーターで総合1050psを発するプラグインハイブリッドを搭載

フェラーリ849テスタロッサ|Ferrari 849 Testarossa

フェラーリ849テスタロッサ|Ferrari 849 Testarossa

パワーユニットは、ミッドシップマウントされるV8ツインターボエンジンに、前後合わせて3基のモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド。

ターボチャーチャージャーが大型化された4.0リッターV型8気筒ツインターボは、SF90ストラダーレ用から50ps上乗せとなる830ps/842Nmを発生。フロント2基、リヤ1基合わせて220psを発するモーターと8速DCTを組み合わせ、システム総合で1050psを4輪に放つ。0-100km/h加速は2.3秒以下、最高速は330km/h以上と発表。フェラーリのテストコース「フィオラノサーキット」のラップタイムは、SF90ストラダーレの1分19秒から、1分17秒500(スパイダーは1分18秒100)に縮めた。

エアロダイナミクスは、冷却性能の最適化とダウンフォースの増強を主な目標に据え、512Sや512M、FXX-Kといった、過去と現代のレーシングカーのソリューションからインスピレーションを受けた。849テスタロッサの総ダウンフォースは、車速250km/hで415kgにおよび、SF90ストラダーレから25kg増加した。一方、冷却性能は15%向上している。

ビークルダイナミクスは、絶対的なパフォーマンスを高め、その一貫性や引き出しやすさを向上させるとともに、ハイレベルのドライビングプレジャーの維持を目標に開発。SF90ストラダーレを参照しつつ、パワーとタイヤグリップ、レスポンス、ブレーキシステム、そしてデジタルシステムの「FIVE(フェラーリ・インテグレーテッド・ビークル・エスティメーター)」による電子制御の進化に重点が置かれた。

FIVEはダイナミクス制御技術に大幅な進化をもたらした。この推定システムは、実際の測定値(加速度、6Dセンサー)を活用するシンプルな数理モデルを基に、車両の挙動をリアルタイムで再現したデジタルの双子を生成できる。FIVEは直接の測定が不可能な性能特性、例えば車速(誤差の範囲は1km/h)や車体のヨーアングル(誤差1度未満)を正確に測定できるので、トラクションコントロールや電子制御ディファレンシャルのマネージメント、e4WDシステムの効果が高まる。

例えばABS Evoは、このFIVEの測定値を使用して、4輪の目標スリップ値を特定し、制動力を最適に分配する。このシステムは走行モードセレクター「マネッティーノ」の全ポジション、すべてのグリップ状況で作動する。車速の推定速度が向上したことで、ストレートの走行でも複合的なブレーキング(制動後にターンイン)でも、タイヤで発生する前後左右の力をさらに有効活用でき、コンポーネントの公差や環境的な変動によるばらつきが減少した。その結果SF90ストラダーレより遅いタイミングで、さらにハードなブレーキングを、より多く繰り返すことが可能で、フェラーリのラインナップモデルのなかで最もハイレベルな電子制御を実現している。

フロント265/35R20、リヤ325/30R20サイズのタイヤはフェラーリの伝統に従い、ミシュラン、ピレリ、ブリヂストンと協力して共同開発。標準装着されるのはピレリ・PゼロRとブリヂストン・ポテンザスポーツ(ランフラット仕様も用意)で、オプション設定としてミシュラン・パイロットスポーツカップ2Rと同パイロットスポーツカップ2が用意された。

デザインは航空分野と1970年代のスポーツプロトタイプから着想

フェラーリ849テスタロッサ|Ferrari 849 Testarossa

フェラーリ849テスタロッサ|Ferrari 849 Testarossa

デザインを手掛けたのはフラヴィオ・マンゾーニ氏率いるフェラーリ・スタリング・センター。SF90ストラダーレのフォルムに大変革をもたらし、849テスタロッサの技術と性能の特徴を強調。立体的で未来感ある方向性を示し、3次元のフォルムと2次元の要素をバランスさせたスタイルを実現した。

垂直方向と水平方向のラインが作り出す前例のないビジュアルは、航空分野と1970年代のスポーツプロトタイプがインスピレーションの源となった。

フロントは1980年代のフェラーリを思わせるフォルム。横に伸びるカバーが橋のようにヘッドライトを繋ぎ、すでに12(ドーディチ)チリンドリやF80で使われたスタイリングテーマを思い出させる。このエレメントによって表面のデザインに立体と空白の新たな比率が生まれ、全幅に広がるスポイラーの印象を生み出している。バンパー下部にはボディカラーのフリックとブラックのスプリッターで引き締められ、技術と空力を重視したモデルの個性が強調されている。

サイドはメインのプレスラインから始まる立体的デザインのドアで占められている。ドア上面の深い彫り込みは、一般的なプロダクションカーでは成し遂げられたことのない、複雑な3次元形状で、ボディとキャビンエリアの関係に変化をもたらす。このパネルは1枚のアルミ合金から成形されたものだ。

ドアのデザインで特徴的なのが空力ダクトを兼ねている点で、独特の勢いを感じさせるアーキテクチャーとなっている。縦長のサイドインテークは対照的なブラックで、インタークーターに空気を供給し、別のインテークも組み込まれている。この構造的特徴を色で強調する3次元リバリーという新しいコンセプトだ。プレスラインはリヤへと伸び、512Sからインスピレーションを受けたツインテールのデザインに続く。これがキャビンをよりコンパクト見せ、キャブフォワードのデザインが強調されている。

リヤでは512Sを彷彿とさせるツインテールで、ここに可変ウイングが組み込まれ、特許取得の空力ソリューションを構成。リヤバンパーはこのモデルのスポーティば志向が表現され、ワイドな幅を強調。センター部分はアイコニックな丸型テールパイプ周辺のデザインが特徴的だ。テールを締めくくるのがフルワイドのディフューザー。中央部のディテールが際立ち、究極のパフォーマンスの持ち主であることを強く印象づける。

リトラクタブルハードトップを備える849テスタロッサ・スパイダーは、車速45km/hまでなら走行中でもトップの開閉を14秒で開閉可能。オープンエアを含むあらゆる状況で車両の驚くべきパフォーマンスを楽しむことができ、周囲の環境とのつながりがいっそう鮮明になって、ドライビングの感動がさらに高まる。最大の快適性を確保するため、キャビン内部の乱気流を最小限に抑える新しいシステムが開発され、革新的な新しいウィンド・キャッチャーをシート後方に装備する。

フェラーリ849テスタロッサ|Ferrari 849 Testarossa

フェラーリ849テスタロッサ|Ferrari 849 Testarossa

インテリアは水平基調のダッシュボートと、シングルシーター・コックピットのコンセプトが融合。ダッシュボード上面は浮遊しているようにみえ、アルミ製フレームのC字形エアベントを備える。ダッシュボードの上部と下部の間には対照的な帯が水平に広がり、主要な操作系とパッセンジャー用スクリーンが組み込まれている。下部を特徴付けるのが帆をモチーフにした2個の構造物で、ここに操作機能が組み込まれており、ステアリングホイール側の帆にはF80と同様のシフトゲートが浮遊するように配置された。

センタートンネルのレイアウトは再設計され、補助的な操作系が、より合理的でミニマルな印象になるようレイアウト。中央の帆のテーマは、ドアパネルにも採用されており、アルミ製グリルを備えたウーファーが内蔵されている。このエレメントには、ドアのグリップも備わっている。

インテリアはスペースを最大限に活用し、人間工学を向上させるようデザイン。ドアパネル下部と周囲の幅を減らして乗降しやすくし、その結果、パッセンジャー側のグローブボックスとリヤベンチのスペースも拡大した。

シートは2種類用意された。コンフォートシートは、内張りが造形的に仕上げられ、コックピットのフォルムにマッチしたスタイリング。カーボンファイバー製のレーシングシートは、スポーティーなサイドボルスターにより、左右の動きをしっかり抑え込む。どちらのシートにも、人間工学とスタイリングを組み合わせた研究が生かされている。

ステアリングホイールにはデジタルとアナログの機能が融合している。アイコニックなエンジンスタートボタンを含め、すでにF80 で見られた機械的スイッチ類を引き継ぐ一方、デジタルクラスターによって、ハイブリッドのドライビングモードをeマネッティーノで素早く変更できる。

ユーザーインターフェースは、ドライバーの周辺に機能を集中させるデザイン。ドアパネルとセンタートンネルも含め、包み込むような印象をもたらす。パッセンジャー側も、これほど明確ではないが同様の印象を形作っている。接続システムとしてApple CarPlayとAndroid Autoに対応しているほか、スマートフォンのワイヤレス充電機能をセンタートンネルに装備。また、MyFerrariコネクトシステムも搭載し、専用アプリを使って遠隔でも車両の状況を確認できる。

サーキット走行をより一層楽しめる「アセットフィオラノ」

フェラーリ849テスタロッサ アセットフィオラノ |Ferrari 849 Testarossa Assetto Fiorano

フェラーリ849テスタロッサ アセットフィオラノ |Ferrari 849 Testarossa Assetto Fiorano

アセットフィオラノは、標準仕様では指定できないエクスクルーシブな内容で849テスタロッサを構成できるオプションパッケージ。車両の動的・空力的性能を最大化するよう開発されているのが特徴だ。

この仕様は、カーボンファイバーといった複合素材やチタンを幅広く使用しているため、総重量を30kg削減できる。専用コンポーネントのひとつが、新しい軽量チューブラーシートで、黒のアルカンターラが張られており、標準シートより18kg軽い。また、20インチのカーボンファイバー製ホイールによって、ばね下重量が削減され、加速時や制動時の応答性が高まっている。

空力の観点でも、アセットフィオラノは大幅な変更が施されている。フロントの特徴はより大型のフリック。フロントアンダーボディにはボルテックスジェネレーターがひと組追加され、これが局所的な吸引力を高め、完璧な空カバランスを確保。リヤでは、ツインテールが2個のツインウィングに置き換わる。これは、仰角の大きな空力的形状が上に載ったスポイラーで、左右に垂直のエンドプレートを備える。このソリューションによって、空カドラッグの大幅な増加なしで、垂直方向のダウンフォースをツインテールの3倍に増加できた。

ビークルダイナミクスは、より硬いシングルレートのマルチマティック・ショックアブゾーバーで最適化されており、スプリングは35%軽量に、ロール率は10%低くなり、ボディ制御と空力効率が向上している。

そして、このアセットフィオラノ仕様にも、初めてフロントリフターの装備が可能になった。その場合は、セミ・アクティブのマグナライドサスペンションのままとなる。用意されているタイヤのなかでも、ミシュラン・パイロットスポーツカップ2タイヤはアセットフィオラノ専用で、スポーツ走行でグリップ、一貫性、パフォーマンスを引き上げるよう開発された。

SPECIFICATIONS
フェラーリ849テスタロッサ|Ferrari 849 Testarossa
ボディサイズ:全長4718×全幅2304×全高1225[1186]mm
ホイールベース:2650mm
乗車定員:2人
荷室容量:74L
車両重量:1570[1660]kg(乾燥重量)
総排気量:3990cc
エンジン:V型8気筒ツインターボ
最高出力:611kW(830ps)/7500rpm
最大トルク:842Nm(85.9kgf-m)/6500rpm
モーター最高出力:162kW(220ps)※3基合計
システム最高出力:772kW(1050ps)
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:4WD
バッテリー容量:7.45kWh
EVモード走行距離:25km
0-100km/h加速:2.3秒以下
0-200km/h加速:6.35[6.5]秒
最高速度:330km/h以上
※[ ]内はスパイダー

動画=フェラーリ公式YouTubeチャンネル

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