新型BMW「iX3」発表! デザインに賛否両論? BMWの新時代の幕開けを告げる意欲作【新車ニュース】
BMWは9月5日、フルモデルチェンジによって生まれ変わった新型電動SUV「iX3」をドイツ・ミュンヘンで発表した。日本導入は2026年夏以降の予定だ。
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従来のモデル刷新の枠をはるかに超える進化
これまで「ノイエ・クラッセ(新しいクラス)」と称し、セダンタイプの「ノイエ・クラッセ」と、SUVタイプの「ノイエ・クラッセX」の2台のコンセプトカーが公開されてきたわけだが、このたび「ノイエ・クラッセX」が新型iX3として市販型に昇華した。
新型iX3はBMWの新たな時代を告げるモデルとして、プラットフォームから電気駆動システム、デザイン、そしてソフトウェアに至るまですべてを一新。ガソリン車のX3をベースにEV化した先代モデルから開発において飛躍的な進歩を遂げ、従来のモデル刷新の枠をはるかに超える進化を果たした。
BMWグループにとって新型iX3の発売は、電動化、デジタル化、そして循環型社会の実現に向けた変革プロセスにおける重要な節目でもある。ニュークラシックの到来を先導するこのクルマは、最新のデザインとテクノロジーの革新を顧客に提供し、ブランドの今後の全モデルラインナップを形作ることになる。ニュークラシックのテクノロジーは、2027年までに合計40の新型車とモデルチェンジ車両に搭載される予定だ。
BMW AGのオリバー・ツィプセ取締役会会長はこのように紹介する。
「実質的にすべてが新しく、かつこれまで以上にBMWらしさが際立っています。駆動技術に関わらず、当社の全製品ラインがノイエ・クラッセの革新的技術の恩恵を受けることになります。大胆なビジョンとして始まったものが今、現実のものとなりました。BMW iX3は、ノイエ・クラッセとして初めて量産されるモデルです。私たちは、BMWで最も成功を収めた電気自動車の次世代モデルを世に送り出すだけでなく、BMWにとって新たな時代を切り開きます」
新型iX3のボディサイズは全長4782×全幅1895×全高1635mmで、ホイールベースは2897mm。従来型iX3(欧州仕様)より48mm長く、4mm幅広く、33mm低くなった。ホイールベースは33mmのプラスだ。
BMWの新しいデザイン言語を導入

BMW iX3 50 xDrive
デザインはBMWの新しいデザイン言語を導入。これは今後、ブランドの全モデルに反映される予定だ。新しいフォルムはBMWの揺るぎない伝統を現代的に解釈したもので、BMWは「時代を超越したデザインでありながら、時代の精神を捉えている。BMWブランドの本質を凝縮し、かつてないほどBMWらしさを際立たせている」と説明。
BMWでいうところのSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)の象徴的なプロポーションを持つ2ボックスデザインは、BMW Xモデルならではの力強い存在感を醸し出し、4輪を強調する精緻なラインを描き出している。空力特性を細部まで最適化した効果で、空気抵抗係数(Cd値)は0.24を実現した。
垂直なフロントエンドと明確に形成された面は、新型iX3の存在感を際立たせている。BMWキドニーランプとツインヘッドライトは、どちらもBMWの特徴的なデザインキューで、視覚的に中心的役割を果たしている。彫刻的なBMWキドニーランプは垂直に配置されており、1960年代のノイエ・クラッセを彷彿とさせる。まったく新しいライトシグネチャーは、高品質で洗練された雰囲気を与える役割を果たしている。
サイドビューは、少ないラインで分割された大きな面によって、個性豊かな外観を生み出している。フラットなガラス面とドアハンドルもサイドビューの特徴だ。新型iX3の力強い体躯は、BMW Xモデルでお馴染みのスタイルである、微妙に長方形の輪郭を持つボディ同色のホイールアーチによって強調されている。
リヤエンドも力強くアスレチックな印象。リヤエンドの中央まで伸びたテールライトは、BMWの特徴的な「L」シェイプを水平に解釈したものだ。

BMW iX3 50 xDrive
インテリアデザインは、現代性とデジタルエクスペリエンスの点で新たな基準を打ち立てている。すっきりと無駄を省いたデザインが、デジタルエクスペリエンスのための理想的な舞台を提供。キャビンはBMWが誇る明確なドライバーフォーカスと、乗員全員の快適さを重視して設計。電気自動車専用に設計された車両アーキテクチャーにより、5つの座席すべてに広々としたスペースを確保した。
「フローティング」インストルメントパネルのラインは、大きなドアトリムパネルに直接流れ込み、乗員を包み込むようなラップアラウンド効果を生み出す。ファブリック張りのインストルメントパネルは雰囲気のあるバックライトを備え、温かく居心地の良い雰囲気を醸し出す。クライメートコンフォートガラスを備えたオプションのパノラミックサンルーフは、キャビンを光で包み込むような雰囲気を演出する。
新デザインのシートはエレガントでミニマル。長距離ドライブでも優れた快適性、スポーティなキャラクター、そして幅広い調整範囲を備えている。ステアリングホイール、そして収納スペースとシフトセレクターなどの操作系を備えたセンターコンソールも新しいデザイン。後席のベンチシートは分割可倒機構が備わるが、ソファのようにくつろげる仕立てだ。
荷室容量は、必要に応じて後席のバックレスト部分を倒すことで、520Lから最大1750Lまで拡張できる。フロントフード下には58Lの荷物を許容するスペースが設けられた。
108.7kWhバッテリー搭載で、最大805kmの航続が可能

BMW iX3 50 xDrive
パワートレインは第6世代となるBMW eDriveテクノロジーを採用。これは高効率の電動モーター、円筒形セルを備えたまったく新しい高電圧バッテリー、そして800Vテクノロジーで構成されている。
今回の発表で公開された「iX3 50 xDrive」は前後2基のモーターによって四輪を駆動し、総合で345kW(469ps)の最高出力、645Nm(65.8kgf-m)の最大トルクを発生。0-100km/hを4.9秒で加速し、最高速度は210km/h(リミッター介入)に達する。
完全に新開発されたエレクトロニクスアーキテクチャは、「スーパーブレイン」と呼ばれる合計4つの高性能コンピューターで構成されている。これらのコンピューターは、ドライビングダイナミクス、自動運転、インフォテインメント、そして基本機能と快適性向上機能のために、その処理能力を結集。また、継続的にアップグレード可能な新しいソフトウェアアーキテクチャの基盤も提供しており、AI機能を含む今後の機能アップデートにも対応できるよう設計されている。
4つの「スーパーブレイン」のひとつ「ハート・オブ・ジョイ」は、ドライブトレインとドライビングダイナミクスの制御を担う。この高性能コントロールユニットは、ドライブトレイン、ブレーキ、エネルギー回生、ステアリングの各サブ機能を統括し、従来のコントロールユニットよりも最大10倍高速に情報を処理。これにより、瞬時のパワー伝達、スムーズな動力伝達、俊敏性、安定性、そして効率性といった電動モビリティのポテンシャルが最大限に引き出される。
完全に自社開発されたBMWダイナミック・パフォーマンス・コントロール・ソフトウェア・スタックと組み合わせることで、「ハート・オブ・ジョイ」はすべてのドライビング・ダイナミクス・パラメーターを新しいレベルのスピードと精度で計算。新型iX3のドライバーと同乗者は、状況や速度に関係なく、BMW特有の調和のとれた独特のドライブフィールが味わえる。
アクセル、ブレーキ、ステアリングのすべての動きは、ダイレクト感を伴って確実かつ正確。最高のトラクションと独自のソフト・ストップ機能により、BMWがこれまでに達成したなかで最もスムーズな停止プロセスを実現するのも特徴の一部だ。
新型iX3の効率は、ドライブトレイン、ブレーキシステム、エネルギー回生の統合管理によって最適化されている。日常の一般的なドライブではブレーキ操作の98%が回生のみで、ブレーキペダルを踏む場面はほとんど生じない。
自動運転機能と駐車機能はすべて、もうひとつの高性能コンピューターに集約されている。従来の制御ユニットの20倍の処理能力を誇る“自動運転のスーパーブレイン”だ。「BMWシンビオテックドライブ」を搭載するiX3は、シンビオテックドライブ機能とドライバーアシスタンスを組み合わせることで、全く新しいドライビングエクスペリエンスを実現する。ドライバーが加速、ブレーキ、ステアリング操作をしたいと思った瞬間、その入力はAI対応ソフトウェアとシームレスかつ直感的に統合される。
その結果、全く新しい形の“ドライビングプレジャー”が誕生した。これらのドライバーアシスタンス機能により、例えばオートクルーズコントロールは、ブレーキペダルを軽く踏んだだけでは解除されない。ドライバーがさらに強くブレーキペダルを踏み込んだ場合にのみ解除される。同様に、レーンコントロールアシストは、ドライバーがわずかにステアリングを操作した場合でも作動し続ける。
さらに進化したBMWモーターウェイ・アシスタントは、iX3のドライバーを高速道路への進入から出口までサポートし、長時間ステアリングホイールから手を離すことを可能にする。シティ・アシスタントの機能には信号検知機能も含まれており、車両は自動的に停止し、その後再び発進する。

BMW iX3 50 xDrive
円筒形セルを用いた新しい高電圧バッテリーコンセプトも、大きな進歩を遂げている。セルレベルのエネルギー密度は、第5世代BMW eDriveテクノロジーよりも20%向上し、充電速度も30%向上した。円筒形セルは高電圧バッテリーに直接統合されており、エネルギー密度とコスト効率が向上する。
さらに、高電圧バッテリーは構造部品として車両アーキテクチャーに統合されているため、重量が最小限に抑えられている。iX3 50 xDriveの高電圧バッテリーは、108.7kWhの使用可能エネルギー容量を持ち、WLTPサイクルで最大805kmの航続距離を実現する。
第6世代BMW eDriveテクノロジーの進歩は、充電体験にも大きな影響をもたらしている。最大400kWの充電速度により、800V直流(DC)急速充電ステーションでは、わずか10分で最大372km走行分のエネルギーを追加できる。
高電圧バッテリーは21分で容量の10%から80%まで充電可能だ。BMWグループが完全に自社開発した統合スイッチングマトリックスを備えたバッテリー管理技術により、新型iX3は400V DCステーションからも充電できる。バッテリー準備のアップグレードも充電時間の短縮に役立つ。新型iX3 50 xDriveは、交流(AC)で標準11kW、オプションとして22kWで充電できる。
幅広い双方向充電機能も搭載されており、様々な用途のエネルギー供給源として利用可能だ。V2L(Vehicle-to-Load)機能により、新型iX3はモバイルパワーバンクとして機能し、移動中に電気機器に電力を供給できる。V2H(Vehicle-to-Home)機能は、住宅に設置された太陽光発電システムで発電された太陽エネルギーを蓄電するユニットとして機能。また、V2G(Vehicle-to-Grid)アプリケーションを介して車両を電力市場に接続し、その過程で収入を得ることもできる。
ユーザーエクスペリエンスを再定義

BMW iX3 50 xDrive
新型iX3は、新開発のBMWオペレーティング・システムXをベースとした新しい操作システム「BMWパノラミックiDrive」によって、ユーザーエクスペリエンス、ひいてはドライビングの歓びを再定義した初の量産モデルとなった。デジタル機能と物理的要素の絶妙なバランスを備えた BMWパノラミックiDriveは、直感的な操作をドライバー中心の新しいレベルに引き上げる。
「BMWパノラミックiDrive」は、ディスプレイ、ジオメトリ、ライト&サウンドデザインを統合し、マイモードによるカスタマイズが可能な、包括的なエクスペリエンスを提供する。また、ノイエ・クラッセ専用に開発されたBMWハイパーソンXサウンドスケープによる、新しいドライビングサウンド、サウンドエフェクト、そしてサウンドシグナルも、ここで重要な役割を果たしている。
システム全体は、数十年にわたる経験とユーザー中心の設計アプローチから生まれた。個々の顧客からのフィードバック、1000万台以上のコネクテッドビークルからのデータ、3000人を超える顧客を対象としたユーザビリティスタディがすべて開発プロセスに組み込まれた。
BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントは大幅にアップグレードされ、ふたつの新しい音声、BMWパノラミック・ビジョンの新しい外観、そしてプロアクティブな提案やカスタマイズ可能なルーティンによるドライバーへの追加サポートが追加された。さらに、将来的には大規模言語モデル(LLM)テクノロジーも段階的に導入され、より直感的な音声インタラクションが可能になる。
BMWパノラミックiDriveは、4つの中心要素を独自のディスプレイとコントロール/操作システムに統合している。BMWパノラミックビジョンは、AピラーからAピラーまで、フロントガラスの幅全体に情報を投影。中央と助手席側のコンテンツは、個人の好みや要件に合わせて調整できる。主要な運転情報は、運転者の視界に表示される。
そして、BMWパノラミックビジョンの上部には、BMW 3Dヘッドアップディスプレイ(オプション装備)が、統合ナビゲーションと自動運転ディスプレイを道路上に空間的な奥行きとともに表示できるようになった。マトリックスバックライトテクノロジーを備えたフリーカットデザインのセンターディスプレイは、ステアリングホイールの横に人間工学的に理想的な位置に配置。運転席側には、縦方向に配置されたウィジェットがあり、クイックセレクトテクノロジーを用いて、特に頻繁に使用する機能に素早く直接アクセスできる。新しいマルチファンクションステアリングホイールは、主要な物理的コントロールポイントとして機能する。そのボタンパネルは、照明、レリーフのような表面、そして触覚的なフィードバックによって、ドライバーと車両の共生的な操作をサポートする。
BMWパノラミックiDriveの基盤となるのは、同じく新開発された BMWオペレーティングシステムXだ。このシステムでは、BMW ID による広範なパーソナライゼーション、インテリジェントなドライバー アシスタンス、さまざまなデジタル機能、My BMW アプリを使用した広範な接続性、BMW ソフトウェアアップデートによる優れた将来性などが提供される。
SPECIFICATIONS
BMW iX3 50 xDrive
ボディサイズ:全長4782×全幅1895×全高1635mm
ホイールベース:2897mm
最低地上高:176mm
最小回転半径:6.05m
乗車定員:5人
荷室容量:520〜1750L
車両重量:2285kg
モーター最高出力:前123kW(167ps)/4607rpm/後240kW(326ps)/5000rpm
モーター最大トルク:前255Nm(26.0kgf-m)/0-4607rpm/後435Nm(44.4kgf-m)/0-5000rpm
システム最高出力:345kW(469ps)
システム最大トルク:645Nm(65.8kgf-m)
トランスミッション:1速AT
駆動方式:4WD
バッテリー容量:108.7kWh
一充電走行距離:679〜805km(WLTPモード)
0-100km/h加速:4.9秒
最高速度:210km/h(リミッター作動)
※諸元は欧州仕様値
動画=BMW公式YouTubeチャンネルより