なぜマツダは「グランツーリスモ」に積極的なのか──バーチャルの世界から若いマツダファンを増やしていくユニークな試みとは?
マツダを知る最初のきっかけは「グランツーリスモ」だった!? いまどきは、そんな自動車ファンが多いらしい。もしバーチャルの世界で遊ぶように、本物でサーキットを走れたなら。マツダが企画する「バーチャルからリアルへの道」がオモシロイ。
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マツダと触れる最初のきっかけは「グランツーリスモ」
近頃のマツダは、以前よりも積極的にモータースポーツ活動に取り組んでいます。その中でも主力として行っている取り組みが、グランツーリスモ7を使った「バーチャルからリアルへの道」と呼ばれるチャレンジプログラムです。
なぜ、いまマツダはこのような取り組みを行っているのでしょうか? 今回は、その狙いについて紹介します。
このチャレンジプログラム「バーチャルからリアルへの道」は、グランツーリスモ7のオンライン上で開催しているeモータースポーツ大会「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP」にエントリーするところから始まります。
その中で優秀な成績を収めたドライバーは、マツダ車オンリーで争われている参加型耐久レース、「マツダファン・エンデュランス」通称“マツ耐”に参加することができるのです!
バーチャルの世界で速い人は、リアルの世界でも本当に速いのか。そんな夢のようなチャレンジをゲットできるのが「バーチャルからリアルへの道」最大の魅力と言えるでしょう。
これまで自動車メーカーは、免許を持っている世代をメーカーのファンにするためのアプローチは出来ても、これから免許を取得する世代へのアプローチは接点がなく、難しい分野でした。
しかし、世界的にグランツーリスモは若いユーザーが多く、これからクルマを知る、経験する、盛り上げていく……そんな未来のクルマファン、そしてマツダファンを育む最適な場のひとつとなっているのです。
バーチャルの世界からマツダファンを増やしていく

「バーチャルからリアルへの道」参加メンバー(2024年度)
マツダは他の自動車メーカーが行っているように、グランツーリスモにコンセプトモデル「RX-VISION」を収録するなど、ゲーム上でブランドへの認知を広める活動も行っています。しかし「バーチャルからリアルへの道」のような、自動車メーカーがバーチャルレーサーを実車に乗せる機会を用意しているのは稀なことです。
実車体験会への参加の機会を得られるのは普通自動車免許を取得している人のみですが、筑波サーキットには、グランツーリスモ7の成績優秀者約20~30名(2024年の場合27名)が招かれ、実際にロードスターを運転します。
そこで評価の高かった4~8名が、実際にマツダファンエンデュランスに参戦することができるのです。実車体験会では単純なタイムの速さだけでなく、周囲との円滑なコミュニケーションやSNSでの情報発信なども評価に含まれます。実際に挑戦するマツダファンエンデュランスは耐久レース。単純な速さだけでなく、チームとのコミュニケーションは他のレース以上に重要となるのです。

倶楽部MAZDA SPIRIT RACINGによるチャレンジプログラムには、eスポーツの世界で活躍する選手にリアルモータースポーツを体験する機会を提供する「バーチャルからリアルへの道」に加え、さらにその上のステージを目指す「スーパー耐久シリーズへの道」も用意されている


ロードスター・パーティレースIIIの模様
マツダが取り組んでいるこの「バーチャルからリアルへの道」は、バーチャルでの実力がリアルでどれくらい通じるのか? そんな疑問を純粋に試せる貴重なステージです。他ではできない経験だからこそ、バーチャルレーサーからの視線も熱いコンテンツとなっています。
その証拠に、入口となる「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP」にエントリーするユーザーは年々増えているとのこと。グランツーリスモの世界でマツダはいま自動車メーカーでも際立つ存在となっており、これまでタッチできなかった層にマツダを知ってもらうという最初にあったコンセプトは狙い通りに達成していると言えるでしょう。
今後、バーチャルの世界を通じてマツダファンをどう楽しませてくれるのか、新たな展開にも期待したところです。
INFORMATION
バーチャルからリアルへの道
https://www.mazda.com/ja/experience/mspr/motorsports/digital-motor-sport/esports-challenge/