ランボルギーニが新型スーパーカー「フェノメノ」を発表! 史上最強のV12エンジンを搭載し世界29台限定販売【新車ニュース】
アウトモビリ・ランボルギーニは8月16日、米カリフォルニア州で開催された「モントレー・カー・ウィーク2025」において、29台限定モデル「Fenomeno(フェノメノ)」を発表した。
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29台限定のスペシャルなV12ランボルギーニ
ランボルギーニはこの限定車フェノメノを「ランボルギーニの最も代表的なスタイルを極限まで突き詰めた、独自の“デザインマニフェスト”」と紹介。同ブランドにおける限定モデルの伝統、新次元のパフォーマンスと技術革新、そして20年目という節目を迎える社内デザインセンター 「ランボルギーニ チェントロ スティーレ」によるアイコニックで本質的なデザインを記念して生み出されたモデルである。
ステファン・ヴィンケルマンCEOはこのように述べている。
「2007年に『レヴェントン』を発表したときに私たちが目指したのは、ランボルギーニの真髄を究極的に表現する至高のスーパースポーツカーを創り出すことでした。この新たなモデルも、ランボルギーニのDNAを構成する卓越性とイノベーションの理念を受け継いでいます。
フェノメノは、ランボルギーニのパフォーマンス、スタイル、革新的な表現という側面で、類い稀なるモデルとなります。当ブランドの価値と功績を称えるために創り出され、また、ランボルギーニに洗練された特別感を求めるお客様に向けたモデルです。しかしながら、フェノメノはその卓越したデザインとパワーにとどまらず、ランボルギーニのどの歴代モデルよりも革新的な技術を導入しており、真に唯一無二のドライビングを実現する’Few Off’モデルとなっています」
車名のフェノメノとは、ランボルギーニの伝統に則り、2002年にメキシコのモレリアで勇敢に闘った有名な闘牛に由来。ふたりの闘牛士を相手に見事な闘いぶりを示し、命を救われたという話が伝えられている。フェノメノにはイタリア語とスペイン語で「驚異的な」という意味があり、真に卓越した唯一無二のものを表している。
フェノメノのは宇宙船だ!

ランボルギーニ・フェノメノ|Lamborghini Fenomeno
フェノメノはランボルギーニの新たな「デザインマニファスト」であり、意外性のある極めて上品質なテーマ性をロングテールのスーパースポーツモデルとして表現。ひと目でそれとわかるアイコニックなデザイン DNAを持ちながら常に新鮮でエキサイティングであるのは、ランボルギーニの本質的な特徴だ。
イタリアならではのクラフトマンシップの中心を成すのは、単一の線で描かれるシルエットやメインキャビンの上質なアーキテクチャ、そして先進的なルックスだ。削ぎ落しながらも、明確で純粋なラインと高いパフォーマンスを生み出す洗練された面構成により、すべてのラインにおいて最高レベルの機能性と至高の純度を誇る美しさを融合。まさにデザインとパフォーマンスのマリアージュを示すものとなっている。
デザインディレクターのミティア・ボルケルト氏はこのように述べている。
「フェノメノは、私たちの先進的なデザイン言語に、新しく、正統的で勇敢な針路を定めています。私たちは上品で洗練されていると同時に美的で本質的な、極めて優雅なデザインを創り出しました。それは意外性を持ったエレガントな宇宙船で、すべてがカーボンファイバー製でありながら、伝統を忠実に守っています。フェノメノはランボルギーニ独自のデザインDNAが宿っていますが、変調し、リズムを変えて、お客様やコレクターの皆様の最も高い期待を超える、目を見張るような伝説を新たに生み出しました」
フロントは張り詰めた流線形を広がりのある力強い面と組み合わせた、大胆なルックスが特徴。フードには「ウラカンGT3」をはじめとするランボルギーニのレーシングモデルにインスピレーションを得たふたつの大きなエアインテークが設けられ、独特なライトシグネチャーはランボルギーニの猛牛の角へのオマージュとなっている。
2024年に公開されたアウトモビリ・ランボルギーニの新ロゴも今回の新型モデルで採用されており、カーボンファイバー製のフロントスプリッターを視覚的にまとめる「Y」の形、ライトクラスターのシャープなデザインなど、ランボルギーニのアイコニックなスタイル要素がちりばめられたフロントをさらに際立たせている。
サイドビューではランボルギーニの典型的なシルエットが再解釈され、フロントフードの先端からリヤまでが、サーキット専用マシン「エッセンツァSCV12」のロングテールにインスパイアされた1本のラインで描かれている。
エアロダイナミクスの追求にも余念がない。フロントスプリッターの囲みではふたつのエアカーテンを生じさせ、気流をホイールと並行になるように導き、ドラッグを減少させると同時にラジエーターへの気流を増やす。フロントに搭載されるSダクトシステムは、フロントの空力負荷を増やすことで、スポーツドライビング時の完璧なビークルダイナミクスに貢献し、フードのスロットを通して気流をルーフの中央へと導く。
ルーフは窪んだ構造になっているため、エンジンフードのエアスクープとともに気流を集め、コンポーネントの冷却を最適化。同様に気流が流れ込む可動式のリヤウイングでは、その特別なオメガ型のデザインが、高速での車両の安定性を向上させる。
新しいドアのデザインにも、気流をサイドの大きなエアインテークへと導く重要なエアロダイナミクス上の役割が組み込まれている。これはエンジンコンパートメント内のコンポーネントの冷却とラジエーター要素の正しい動作を確実にするだけでなく、初代カウンタック以来ランボルギーニのデザインを独特なものにしてきた NACA ダクトにスタイル上の新しい解釈をもたらしている。その結果、サイドの冷却がランボルギーニV12量産モデルに比べて 30%以上向上している。
リヤビューはランボルギーニのデザイン史において前例のないもので、ウイングとホイールアーチをつなぐ連続したラインがボディ部分とリアを明確に分けている。アイコニックな「Y」字型を縦に再解釈した先進的なライトシグネチャーが、ディフューザーのカーボンファイバー製要素がエキゾーストターミナルで強調された6角形のラインとつながっている。
シングルナットの鍛造ホイール(フロント21インチ、リヤ22インチ)のタービンデザインもフェノメノ専用で、フロント265/40ZRF21、リヤ355/25ZRF22サイズのブリヂストン「ポテンザ スポーツ」を組み合わせる。このタイヤはフェノメノ専用に開発されたランフラットテクノロジーを用いるウルトラハイパフォーマンスタイヤで、空気圧がゼロの状態でも車速80km/hで80kmを安全走行できる。

ランボルギーニ・フェノメノ|Lamborghini Fenomeno
インテリアはハイパーデザインのコンセプトを反映。ランボルギーニの「Feel like a pilot」という哲学に新しい解釈を加え、ドライバーもパッセンジャーもかつてないほど車両と深いつながりを感じることができる。
運転席とレースステアリングホイールは驚くほど魅力的なドライビング体験を提供。3つのデジタルディスプレイはミニマリズムにかなったデザインとなるほか、ほとんどの操作ボタン類を不要とすることで、ドライバーはレーシングカーと同様に、公道またはサーキットでのドライビングに没頭できる。
一方で、ランボルギーニの超軽量素材に関する研究開発能力を極限まで活用。スポーツパッド装備のセンターコンソールからドアパネル、スポーツバケットシートなど、キャビンは主にカーボンファイバーが用いられている。バケットシートはフェノメノ専用設計だ。
3Dプリント技術を駆使して作られたカーボンファイバー製のインストルメントクラスター内のエアベントも同様。アンビエントライトは宇宙船を彷彿とさせるフォルムを強調し、車内で過ごす時間をさらに特別なものにする。
835psのV12エンジン+3モーターで1080psを発揮

ランボルギーニ・フェノメノ|Lamborghini Fenomeno
ハイブリッドパワートレインは、航空工学にインスピレーションを得て生み出した革新的なシャシー「monofuselage(モノフューズレージ)」に搭載。モノフューズレージは、複数技術を駆使したカーボンファイバー製のモノコックと、樹脂を含侵させた短繊維のカーボンファイバーで作られる特殊素材の Forged Composite(フォージドコンポジット)製のフロントの骨組みで構成されている。
ミッドシップマウントされる自然吸気式の6.5リッターV型12気筒エンジンは最高出力614kW(835ps)、最大トルク725Nm(73.9kgf-m)を発揮。このエンジンの比出力は128ps/Lを超え、ランボルギーニの歴代V12エンジンのなかで最高を誇る。これにフロント2基、8速DCTと一体化されたリヤ1基の計3モーターを組み合わせ、四輪を駆動する。
4輪への推進力は、後輪にトラクションを提供する内燃エンジンと、フロントアクスルに搭載された2モーターから生み出される。ギヤボックスの上に配置される3基目のラジアルフラックスモーターは、選択されたドライビングモードに応じてリヤにトルクを提供する。システム合計トルクは、エンジンから725Nm、フロント搭載のモーターからそれぞれ350Nmとなり、スーパースポーツカーのなかでも他に類を見ないレベルのパフォーマンスを実現。システム最高出力も同様で、フェノメノ専用に採用された新しい7kWhバッテリーによってより一層向上し、1080psに達する。
フロントの2モーターは油冷式アキシャルフローモデルで、110kW(150ps)を発揮。前輪を駆動させるだけでなく、トルクベクタリング機能によりドライビングダイナミクスを最適化するほか、回生ブレーキ機能も有している。
8速DCTのギヤボックスはV12エンジンの後方に横置きされる。トンネルの下の空いたスペースに電気モーター用のリチウムイオンバッテリーを収容。このレイアウトによって最終的な重量を低く抑えることができ、スペースもよりコンパクトに収めることができる。
8速DCTは極めて高速なシフトを可能にするため、スポーツパフォーマンスの最高レベルにおけるドライビングに最適だ。加えて、8つ目のギヤによって燃費の最適化を図ると同時に、クルーズ時の快適性を最大限に高められる。左側のシフトパドルを抑え続けることで一度に複数のギヤをシフトダウンできる連続ダウンシフトも特筆すべき機能。ドライバーはブレーキ時のスピードに基づいて最適なギヤを入れ、完全なコントロール感を得ることができる。
ギヤボックスの上に配置された電気装置はスターターモーターと発電機の役割を果たす。また、トンネルの下に配置されたバッテリーを介し、フロントの 2モーターに電力を供給する。また、100% EV走行モードの際のブースト機能も担い、直接リヤアクスルを駆動することでゼロエミッションの4輪駆動走行を可能にするほか、デカップリング機構を使用し、選択されたドライビングモードによって異なる役割を果たす。
このため、DCTギヤボックスとの接続用の専用のシンクロナイザを装備。V12エンジンのサポート役を果たす際には、モーターはギヤの下流のP3ポジションになるが、低速走行時や駐車時にはバッテリーを充電する際には P2にシフトする。P3の場合、フェノメノはドライビングモードによってはフルEVとして走行でき、ゼロエミッション走行でもランボルギーニのスーパースポーツカーの4輪駆動の伝統を受け継ぐ。

ランボルギーニ・フェノメノ|Lamborghini Fenomeno
ビークルダイナミクスは、今回ランボルギーニに初めて搭載される6Dセンサーと革新的なビークルダイナミクス制御ロジックによって管理される。6Dセンサーは車体の重心付近という戦略的な位置に配置され、IPB(Integrated Power Brake)制御ユニットに直接接続。6Dセンサーは3軸すべて(左右、前後、上下)の加速度と角速度(ピッチ、ロール、ヨー)をリアルタイムに測定する役割を果たす。この情報によって、車両の速度、横滑り角、即時のタイヤと路面の摩擦係数の高精度の推定が可能になる。
6Dセンサーは IVE(Integrated Vehicle Estimator)の一部であり、IVEの計算プロセスではカルマンフィルタリングが使用される。カルマンフィルタリングは、ビークルダイナミクスの予測的な面を支えるアルゴリズムであり、これによってすべての関連システムがどのような走行状況にも適応できる。
関連システムには、ブレーキ時にホイールスリップ制御機能を実行して制動距離を最大 10%短縮する IBC(Integrated Brake Controller)がある。IVEに直接つながっていることで IPBシステムはコーナーや縁石上の通過など、サーキット走行でよく見られる状況におけるブレーキ性能を向上させる。これらはすべて、6Dセンサーで正確な推定を提供する IVEによって実現される。
ブレーキシステムは、出力とパフォーマンスが向上したことから、必要な強靭性と耐久性の確保およびブレーキ時の卓越した安定性の実現のために、新規に設計。「SC63」などのLMDhレースカーのブレーキで使用される技術と同様の革新的なCCM-R Plusカーボンセラミックブレーキシステムが採用され、公道でもレース級のパフォーマンスをもたらす。ブレーキディスクのサイズはフロントが420×40 mm、リヤが410×32mm。車速100km/hから停止するまでの制動距離は30mだ。
SPECIFICATIONS
ランボルギーニ・フェノメノ|Lamborghini Fenomeno
ボディサイズ:全長5014×全幅2076×全高1161mm
ホイールベース:2779mm
総排気量:6498cc
エンジン:V型12気筒
最高出力:614kW(835ps)/9250rpm
最大トルク:725Nm(73.9kgf-m)/6750rpm
モーター最高出力:180kW(245ps)
システム最高出力:794kW(1080ps)
パワーウエイトレシオ:1.64kg/ps
バッテリー容量:7kWh
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:4WD
0-100km/h加速:2.4秒
0-200km/h加速:6.7秒
最高速度:350km/h以上