アストンマーティンの最新作は「S」の血統を受け継ぐ「ヴァンテージS」! V8ツインターボは680psを発揮【新車ニュース】
アストンマーティンは7月9日、スポーツカーラインナップのなかで最もパフォーマンスにフォーカスした新型「ヴァンテージS」を発表した。
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3.4秒の0-100km/h加速タイムはヴァンテージを0.1秒凌ぐ
先ごろ発表された「DBX S」に続き、FRスポーツモデルのヴァンテージに「S」を冠したモデル「ヴァンテージS」が登場した。
ヴァンテージSは、コアモデルに基づいた特別ハイパフォーマンス仕様の末尾に「S」を付ける、アストンマーティンの伝統復活への次の一歩となる。この伝統は2004年パリ・モーターショーで一般公開されたヴァンキッシュSから始まり、その後それぞれ2011年と2013年に発表された圧巻のV8およびV12のヴァンテージSが続いた。
アストンマーティンのエイドリアン・ホールマークCEOは、このように述べている。
「何十年にもわたり、ヴァンテージという輝かしい名は、最高のパフォーマンスと興奮、ドライビングのスリルを体現してきました。昨年新型ヴェンテージを発売し世界的に評価を受けた時も、これらのクオリティはまさに最前線にありました。それを超えていくことこそヴァンテージSの開発における挑戦であり、原動力でもありました。こうして生まれたのが、フロントエンジンのウルトラ・ラグジュアリーなスポーツカーの分野における新しいベンチマークです。アストンマーティンの情熱的でこだわりを持ったお客様の心を躍らせる一台であり、今日のアストンマーティンが擁する豊かな人材と能力の幅広さ、前進力をまざまざと示すものでもあります」

アストンマーティン・ヴァンテージS|Aston Martin Vantage S
パワーユニットは4.0リッターV型8気筒ツインターボのアップグレード版で、最高出力は680ps/6000rpm、最大トルクは800Nm/3000-6000rpmを発揮。このアウトプットは従来のヴァンテージ用を15ps上回る。これにより、3.4秒の0-100km/h加速(ヴァンテージは3.5秒)、10.1秒の0-200km/h加速を実現。最高速はヴァンテージと同じ325km/hに達する。
ドライビングの愉しさとパフォーマンスのフィーリングをさらに高めるため、アストンマーティンのエンジニアたちはスロットルペダルの重みとレスポンスで「S」の特性に合わせた改良、調整を実施。ドライブモードごとにチューニングを施した結果、ヴァンテージSではこれまで以上にすべての制御の調和がとれた一体感を感じるモデルとなった。
足まわりでは、ビルシュタインDTXアダプティブダンパーのハードウェアのチューニングとソフトウェアのキャリブレーションによって、フロントエンドのフィールとレスポンスがアップ。一方で、リヤスプリングエイドの剛性を下げることで圧縮と反発のバランスをとり、低速走行時の乗り心地を向上させている。トランスミッションマウントの剛性は10%下げて、ボディとシャシーに対するパワートレインの動きをコントロールできるようにし、車両の動きを路面に調和させてさらなる洗練をもたらしている。
さらに、リヤのサブフレームをラバーブッシュではなく直接ボディに取り付けることで、ダイレクト性とステアリング特性が向上。サスペンションのキャンバー、トー、キャスターの各設定も微調整され、高い横荷重下におけるフロントのグリップを向上させ、全体的な動的バランスがより高められた。その結果、確固たる安定性に支えられ、コーナーをスリリングに攻めていくことのできるクルマに仕立てられた。
新設計のボンネットブレードが新型ヴァンテージSとわかる目印

アストンマーティン・ヴァンテージS|Aston Martin Vantage S
ルックスはハイパフォーマンスモデルに相応しいものだ。フロントでは新設計のボンネットブレードが新型ヴァンテージSを識別する目印。グロスブラック仕上げまたは2×2ツイルカーボンファイバー仕上げのベントで、より主張の強いデザインとなっているだけでなく、ターボチャージャーをVバンクの内側に配置した「ホットV」のV8エンジンの熱気排出も最適化する。
モデル名を示すのは、控えめながら印象的なフロントフェンダーの「S」のバッジだけ。ひとつひとつハンドメイドされる真鍮鍛造の「S」は、まさにジュエリーと呼ぶにふさわしいもの。赤のエナメルガラスを充填した「S」の枠は、カスタマーが選んだアストンマーティン・ウィングバッジの色に合わせ、ブライトクローム加工またはダーククローム加工が施される。
フロントと同様にひと目でヴァンテージSであることがわかるリアの特徴が、車幅いっぱいに広がるデッキリッドスポイラー。その役割はデザイン的な主張という視覚要素にとどまらず、最高速度時のリヤのダウンフォースを44kg増加させ、全体で111kgの最高速度時のダウンフォースに大きく貢献している。新スポイラーはヴァンテージSのエアロダイナミクスのチューニングに使用されており、安定性を高めながら全体的なダウンフォースのバランスをフロントエンドに傾け、優れたターンインのレスポンスと高いコーナリンググリップを生み出す。最高速度時のダウンフォースの残り67kgは、新しく追加されたフロントのエアダムとベンチュリベーンを含むアンダーボディのさらなる改良によるものだ。
ホイールはビスポークの21インチYスポークホイールも選択可能。赤の差し色の入ったサテンブラック仕上げで、「S」バッジ同様の赤のディテールが、ブロンズ塗装のブレーキキャリパーとエレガントな対比を生み出している。

アストンマーティン・ヴァンテージS|Aston Martin Vantage S
「S」らしいディテールはインテリアにも見られる。標準装備は独特のアルカンターラとレザーの「Accelerate」のインテリアで、サテン2×2ツイルカーボンファイバー製トリムインレイを備えている。「S」の本質を完璧にとらえたインテリアで、スポーティでありながらヴァンテージに比べて若干の重量削減も実現している。
シートの上部ショルダーパネルには色を合わせた「S」のロゴを刺繍。約2500針のステッチと16mを超える糸で描き出される「S」は、アストンマーティンのSモデルにおける徹底的なラグジュアリーとパフォーマンスへのこだわりを明確に感じさせるものだ。
ヘッドレストにはアストンマーティンのアイコニックなウイングを刺繍。エンボス加工とデボス加工の両方を用いた業界初の手法によるウイングもオプションで選択でき、超高圧(1.5トン)と熱によってレザーの上に精密に形づくられたウイングが、繊細で美しいディテールを生み出す。なお、「S」マークはトレッドプレートとエンジンベイの最終検査プラークにも入る。
ヴァンテージSには、ヴァンテージ・シリーズの中で最もスポーティなバージョンであることを強調できる、独特のインテリアオプションパッケージも用意されている。ドライブモードを選択するためのローレット加工された金属製ロータリースイッチはレッドまたはシルバーのアルマイト仕上げを選べ、キャビンの中心を大胆に彩ることができる。ロータリースイッチの色はシートベルト、コントラストウェルト、コントラストステッチ、ヘッドレストの刺繍にも展開。一貫性を持って一連のアクセントが随所に配置される。
ラグジュアリー感をより一層高めたいカスタマーには、「Inspire Sport」インテリアも用意。セミアニリンレザーのみ、またはセミアニリンレザーとアルカンターラの組み合わせで提供され、モノトーンとデュオトーンのいずれかを選べる。完全に新しく設定されたこのインテリアでは、徐々に小さくなっていくシェブロンキルトが絶妙に配置されたパーフォレーションに囲まれ、見紛うことのないスピード感を演出している。
新型ヴァンテージSは、7月10〜13日に英国グッドウッドで開催される「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で初披露される。今年の第4四半期からカスタマーへの納車が始まる見通しだ。
SPECIFICATIONS
アストンマーティン・ヴァンテージS|Aston Martin Vantage S
ボディサイズ:全長4495×全幅1980×全高1275mm
ホイールベース:2705mm
車両重量:1745kg
総排気量:3982cc
エンジン:V型8気筒ツインターボ
最高出力:500kW(680ps)/6000rpm
最大トルク:800Nm(81.6kgf-m)/3000-6000rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:FR
0-100km/h加速:3.4秒
最高速度:325km/h
動画=アストンマーティン公式YouTubeチャンネルより