シチズン時計「シリーズ8」とアバルトのコラボレーションモデルが登場! 日本とイタリアの情熱がパフォーマンスを創造する。
日本のシチズン時計と、イタリアの自動車メーカー・アバルトがコラボレーション! 機械式腕時計「シリーズ8」をベースに、レーシーに仕立てた日本限定モデルが登場した。
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名門アバルトとシチズンの時計技術が融合した日本限定モデル
シチズン時計とイタリアの自動車ブランド「ABARTH(アバルト)」のコラボレーションによる特別モデル、『シチズン Series 8(シリーズエイト)』870 Mechanical ABARTHコラボレーションモデル(型番:NA1035-59E 価格253,000円/税込)が2025年4月10日に発売された。
両社の共通点である「実用的でありながらエモーショナル」という価値観を体現するモデルとして、日本限定で登場。このモデルは“ただの時計以上の存在”として、モータースポーツの情熱と時計製造の精緻な技術が交わる特別な一本といえる。
シチズンが海外のブランドとコラボレーションするのは珍しい。時計業界と自動車業界の接点として中心にあるのはヨーロッパ。そのためコラボモデルを手掛けるブランドはヨーロッパが多く、そんななかで日本の時計メーカーとイタリアの自動車ブランドの組み合わせは実に新鮮に映る。
アバルトは1949年に創設されたレース用車両のチューニングと製造をルーツにもつメーカーであり、いまなおマニアックなモータースポーツファンの間で熱烈な支持を得ている。その魅力はマニュアルトランスミッションなど運転の楽しさを追求するこだわりと、実用性を守りながら情熱的な走りを提供する二面性にあり、レーシングスピリットを継承しながらも、使い勝手のよい高性能コンパクトカーを提供している。

リアルカーボンを採用したダイヤル。光沢のあるコーティングを施すことで、角度によりカーボンの繊維が際立つ。またケースやブレスレットにヘアライン仕上げを施すことで、光沢のあるダイヤルとのコントラストが楽しめる。
カーボンダイヤルが奏でるレーシングスピリット
「シリーズエイト」は2021年に、機械式時計の歴史を継承しながら、現代的なアレンジを加えたスタイルを特徴とするブランドとしてリニューアルを果たした。「8」という名称は、横にすると無限大の「∞」になることから、シチズンが追求するものづくりの無限の可能性を象徴する。同社のものづくりの無限の可能性というコンセプトが込められ、時計の原点である“機械式時計”をベースに新たな挑戦を続けている。今回のコラボモデルもそんな挑戦のひとつだ。
一方、アバルトは先に述べたように単なる実用車ではなく、これまでの歴史で培ってきたレーシングへの情熱を現代のモデルにも色濃く反映させている。
そして、両ブランドの共通点として挙げられるのが「実用的でありながらエモーショナル」。そしてこのコラボレーションで共通の魅力を広く伝えることを目指している。
このモデルの最大の特徴は、リアルカーボン素材を使用したダイヤルだろう。あえてリアル=本物と明らかにしているのは、印刷やシールなどでカーボン調を再現した「フェイクカーボン」も少なくないため。本物のカーボン繊維を使用していることを強調しているのだ。しかし本物だからこそ、加工には高い技術力を要する。カーボンの厚みは約0.4~0.5mmと非常に薄く抑えられているのだが、これはムーブメントとダイヤルの隙間の制約によるもの。この薄さを実現するためにはカーボン繊維を薄くスライスする加工技術が必要であり、これを可能にした点はこのモデルの隠れた見どころの一つとなっている。
またカーボンでは多くがマット仕上げを採用しているが、このモデルでは光沢のあるコーティングが施されており、光の反射により網目模様が浮き出る効果を生み出している。カーボンの網目の太さも「太すぎず、細かすぎず。ちょうどいいサイズを選び抜いた」そうで、アバルトの世界観を存分に表現している。

ABARTHのアイデンティティが表現されているサソリのロゴマークは、細かなディテールまでしっかりと再現されている。ミニッツトラックの間にはインデックスが刻まれており、秒針と同じ赤色を採用。ここからもデザインへの強いこだわりが感じられる。
コレクターズアイテムとしての価値
インデックスデザインはレーシーなイメージを念頭に置き、実車のタコメーターをも参考にしながら考案。12時と6時の時数字を斜めの書体とすることでスピード感を演出し、同時に洗練された印象も与えている。またミニッツトラックの1分と1分の間には赤色のインデックスを刻んでいるが、これもタコメーターのデザイン要素を取り入れたものだ。秒針の赤色とともに、このモデルのアイコンというべき色となっている。
このモデルの大きな特徴が6時位置のアバルトのエンブレム「サソリのマーク」が配置されていること。じっくり見るほどに細かなディテールまで表現されていることに驚かされる出来栄えだが、これには微細な表現が得意なパッド印刷技術を採用。またエンブレムの配置とサイズはダイヤル全体のバランスを考慮して慎重に決定しており、実はデザイナーの苦心が窺える部分でもある。
ベースモデルとして選ばれた「870 Mechanical」はシリーズエイトのコレクションのなかでもエレガンスと遊び心を重視したデザインだ。サファイアガラスを採用し、ベゼルは2つのパーツを組み合わせて製作。さらにケースは直線と曲線を組み合わせたフォルムとしている。
一見するとシンプルに見えるが、かなり複雑な製造過程を経て完成しており、これにより立体的なフォルムに仕上げられている。そのフォルムではツヤと華やかさのある「モダン・スポーティ」を体現しており、またこの形状とこのモデルで選ばれているダークグレーカラーともベストマッチ。タフな印象を受ける。
もうひとつ、ケースとブレスレットの磨き分け、とくに繊細なヘアライン仕上げにもご注目をいただきたいところだ。全体がマットに仕上がっていることから、ダイヤルの輝きが際立ち、コントラストも見事。通り過ぎる一瞬に光を放つ、レーシングカーさながらの輝きを見せている。
裏蓋にはシースルーバックとし、機械式時計の魅力であるムーブメントを鑑賞することができる。また裏蓋にはアバルトのロゴマークが印字され、このコラボレーションモデルのアイデンティティを示す重要な要素となっている。

裏蓋にはアバルトのロゴをプリント。ケースには2種耐磁性能を備えた証である「MAGNETIC RESISTANT 16000A/m」の文字が刻まれている。

ムーブメントはシチズンが開発したCal.0950で、一般的な緩急針に比べて、より微細な調整が可能な微動緩急針を採用することで、平均日差-5秒〜+10秒という高精度を実現している。
日本とイタリアの情熱がほとばしる!
ムーブメントはCal.0950で、平均日差-5~+10秒という性能を誇るCal.0950を搭載。特筆すべきが2種耐磁性能を備えている点で、これはスマートフォンやタブレットといった強い磁力を発するデバイスに1cmの距離まで近づけてもほとんどの場合で磁気帯びを起こさない。まさに日常での使用に最適なモデルといえよう。
アバルトとのコラボレーションにおいては、イタリアと日本という異なる文化間での調整が行われた。担当者は「アバルト側のデザインへのこだわりは強く、“アバルトの世界観を崩さない”ことを厳守しています。そしてわれわれとしても“シリーズエイトの世界観を崩さない”ことは必須であり、互いの世界観のバランスをいかに取るのか、熟慮しました」と語っている。
本モデルは日本限定150本として発売されるため、国内外のコレクターにとって希少価値の高いアイテムとなりうる。アバルトファンにとっては、自動車本体だけでなく、ブランドの世界観を身に着けられるアイテムとして魅力的だろう。また、時計コレクターにとっても、機械式時計として優れた品質を持ちながら、特別なストーリー性を備えたモデルとして関心を集めることだろう。

CITIZEN Series8(シチズン シリーズエイト)/870 Mechanical ABARTHコラボレーションモデル
ムーブメント:Cal.0950(自動巻き+手巻き)、パワーリザーブ約50時間、振動数2万8800回/時、カレンダー機能、秒針停止機能
ケース、ブレスレット:ステンレス
ガラス:サファイヤガラス(両面無反射コーティング)
防水:10気圧防水
価格:25万3000円(税込み)、日本限定150本(オリジナルボックス付き)

INFORMATION
シチズンお客様時計相談室
Tel.0120-78-4807
https://citizen.jp/series8/index.html