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最終更新日:2025.05.08 公開日:2025.05.08

家賃10万円は安い? 高い? なぜ「賃貸ガレージハウス」をはじめるひとが増えているのか? 都心から少し離れてクルマ好きの夢を叶える。

新築の賃貸ガレージハウスにて

愛車と一緒に暮らす夢を手軽に叶えられる!? いま、東京・神奈川・千葉・埼玉を中心に賃貸ガレージハウスが増加中。首都圏のガレージ付き賃貸物件を専門に取り扱う「東京ガレージ」でその魅力を訊いてきた。

新築の賃貸ガレージハウスにて

文=高桑秀典

資料=東京ガレージ

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賃貸ガレージハウスってどんな物件?

ここ最近、クルマ好きの間で「賃貸ガレージハウス」が注目を集めているという。これはガレージ付きの戸建てに住んだり、自宅にガレージを増築するより遥かに少ないコストでガレージハウス生活を送れるというもので、がんばって探せば首都圏でも賃料が月10万円程度の物件が見つかることもある。

ガレージハウスとは家屋内に車庫が組み込まれた住宅のことで、クルマを保管するためのスペースと住まいが一体化しており、大切なクルマを風雨、紫外線、埃、黄砂、鳥糞、樹液などから守ることができる。もちろん愛車を身近に感じながら生活したり、クルマ弄りしたりするにも適した環境だ。

実際、筆者のクルマ仲間にも賃貸ガレージハウスに住んでいるものもいるし、中にはオーナーとして家賃収入を得ている資産家もいるが、ここ数年で賃貸ガレージハウス物件の成約数が一気に増えているんだそう。ちょっとびっくり!

そんなわけで今回は「首都圏で叶えるガレージライフ」を提案し、車庫付き物件専門不動産情報サイトを運営している「東京ガレージ」の南青山オフィスにお邪魔してみた。

南青山にある東京ガレージオフィスにて。左から山本訓也代表、安田淳一郎さん。おふたりとも大のクルマ好きだ。

南青山にある東京ガレージオフィスにて。左から山本訓也代表、安田淳一郎さん。おふたりとも大のクルマ好きだ。

「東京ガレージとしてスタートしたのは2021年の年末ですが、事務所は2020年4月に開業しました。開業当初は、なんでもやっていましたね」

そう話してくれた山本代表(38歳)は1級建築士で、スタッフの安田さん(38歳)とは大学時代の同級生なのだという。ふたりとも建築学科を専攻し、大のクルマ好きだったが、大学卒業後に山本さんは建築の世界に、安田さんはIT関連に進んだ。

転勤生活を経て、山本さんは6年前に東京に戻ってきたタイミングで独立。山本さんが安田さんに車庫付き物件専門不動産情報サイトの立ち上げについて相談し、お互いに趣味と実益を兼ねられることもあり、東京ガレージが誕生することになった。

東京ガレージをスタートさせた当初、ガレージハウスを展開している各社は自前の物件を紹介するホームページこそ存在していたが、駐車場に屋根はあるのか、車両サイズに制限はあるのか等々、建物がどういった仕様になっているのか、全体像を把握できるサイトは少なかったという。

ガレージハウスは立地や賃料の比較だけでなく、都心ではそうしたクルマを保管する上での細かな情報が必要不可欠であり、それらを網羅した物件サイトがあれば便利なのでは? と考え、首都圏に特化した情報発信を開始したのだそうだ。

すると2022年あたりから賃貸ガレージハウスの掲載件数が増え始め、いまも増加傾向にあるという。なぜいま賃貸ガレージハウスが人気なのだろうか?

東京ガレージのHP上に掲載された、賃貸ガレージハウスの掲載物件数の推移(2022年~2025年)

東京ガレージのHP上に掲載された、賃貸ガレージハウスの掲載物件数の推移(2022年~2025年)

駅から離れても需要あり! 人気物件の相場は?

注目が集まる賃貸ガレージハウスについて山本さんは「普通の賃貸物件は築年数、最寄り駅からの距離、間取りなどが入居者側の判断材料になりますが、人だけではなくクルマも主役になるガレージハウスは、駅から少しぐらい離れていても需要があります」と語る。

それでもまだ競合が少ないため、竣工してから10年経ったガレージハウスでも一般的なマンションなどと同じように賃料が上がっているとのこと。空室率も低いため、オーナー側の立場で考えると、今後、さらに物件数が増加していきそうな機運となっている。

別日に新築の賃貸ガレージハウスにも同行させてもらった。サイトに掲載する写真は自分たちで撮影するのがモットーとのこと。

別日に新築の賃貸ガレージハウスにも同行させてもらった。サイトに掲載する写真は自分たちで撮影するのがモットーとのこと。

賃貸ガレージハウスの賃料は月15万円前後がボリュームゾーンなのだそう。物件数が増えてきたことで賃料は一旦落ち着いたものの、土地や建築費が高騰していることもあり、賃料が以前よりも上がっているという。

首都圏で具体的な地名を挙げると「横浜」「川崎」「川口」「戸田」あたりで15~20万円、「町田」「相模原」あたりで15万円前後、「23区の外側エリア」だと18~25万円となっており、「山手線の内側」だと100万円を超える物件もあるそうだ。

なお、都内にはマンションの1階部分を賃貸ガレージハウスにしているケースもあり、これは部屋への侵入や災害を心配して入居希望者が積極的に選ばない1階の使い道として、オーナー側が採用しているのだという。

前述したように、賃貸といえど都心部では家賃が高い傾向にあるが、東京ガレージでは10万円前後の賃貸ガレージハウスがあれば積極的に掲載し、自動車趣味を満喫している若者たちでも手が届きそうな物件を提供している。

ただし、筆者が取材した時点では10万円以下の物件は確認できたが、物価高の影響により、これから「新規」で掲載される物件で10万円以下が掲載されることはあまり期待できないそうだ。よって、少しでも安い物件に住みたいなら「既存の10万円以下の物件に空きが出た瞬間」が狙い目だ。

実際に10万円以下の物件に住む若者に話を訊くことができたので、これは別の機会に紹介したい。

ちなみに、賃料が安価だとシャッターが手動だったりするが、それは賃料を上げるぐらいならシャッターを電動ではなく手動にしてコストを下げちゃえ! というオーナー側の粋な計らいで、ポジティブな工夫で安価な設定になっている例もあることを記しておく。

ガレージハウスを紹介する際にはイメージしやすいよう実車を手配。車庫入れはふたりがかりで慎重に。

ガレージハウスを紹介する際にはイメージしやすいよう実車を手配。車庫入れはふたりがかりで慎重に。

「夢」以外にも切実な理由

実際にガレージハウスに住んでいる人の年齢層や性別を伺ってみたら、山本さんがこのように話してくれた。

「年齢層は20代後半から60代前半ぐらい。40~50代が最も多いです。圧倒的に男性が多いのですが、2輪は盗難されやすいので、バイク女子をはじめとする女性利用者も中にはいます。

ボディカバーをかけて、車輪をロックして、などの盗難対策を厳重にやると、いざバイクに乗ろうと思ったときに億劫になりますからね。ガレージハウスであれば、出かけたいときにすぐさま発進できます。

そして、4輪でも雹(ひょう)害があったり、ランクルなどの人気車種は盗まれるリスクが高いので、ガレージハウスに愛車を入れたいと思っているクルマ好きは多いです」

東京ガレージでの2025年4月における成約者の年代および性別の分布

東京ガレージでの2025年4月における成約者の年代および性別の分布。

続いて、利用者の居住期間についても質問。

「長い人は長いのですが、転職や転勤などで居住期間が短くなるケースもあります。また、賃貸ガレージハウスはふたり暮らしまでが上限となる場合が多く、家族構成の変化に対応できないことが弱点です。このように、人生のさまざまな出来事を要因として、居住期間が短くなってしまうことがあるわけです」

東京ガレージでの2025年4月における成約物件の賃料および所在地の分布

東京ガレージでの2025年4月における成約物件の賃料および所在地の分布

賃貸ガレージハウス選びのポイントは?

次に賃貸ガレージハウスを選ぶ際のポイントについても伺ってみた。

・ガレージ内の仕上げが壁紙なのか外壁材なのかをチェックし、水が使えるのかを確認。
・換気扇の有無もチェック。
・排気音が大きいクルマや、電動工具などを使って愛車を整備する人は、周囲の環境も気にしたほうがいい。
・ガレージでメンテナンス作業などをしたいなら、駐車スペースが充分に広いかを確認。

安心して契約してもらうために、開口部やシャッターのサイズ、縁石の高さ、電源など、自分が住むくらいの気持ちで採寸するという。

安心して契約してもらうために、開口部やシャッターのサイズ、縁石の高さ、電源など、自分が住むくらいの気持ちで採寸するという。

山本さんによると、愛車&整備関連で音を出す人は、幹線道路や線路沿いの賃貸ガレージハウスをあえて選ぶ傾向があるのだという。静かに暮らすか、ガヤガヤしたところで暮らすかというのは、その人の自動車趣味生活次第ということになるだろう。

また、最近は電気自動車オーナーも増加傾向にあり、200V電源を備える賃貸ガレージハウスが増えているそうだ。

新築だと70~80%の割合で備わっているらしく、BEVに乗っている人も安心できる環境となっているようだ。

外壁材以外にも、床の傾斜も確認しておきたい。水はけのために角度が付いた物件もあれば、フラットな物件もある。

外壁材以外にも、床の傾斜も確認しておきたい。水はけのために角度が付いた物件もあれば、フラットな物件もある。

最後に、賃貸ガレージハウス探しのアドバイスとして、安田さんは次のように話してくれた。

「自分のクルマがガレージにちゃんと入るか? ということもチェックしたほうがいいです。私たちは実際に現地に行って寸法を計測し、サイトで表示していますので、参考にしていただきたいです。前面道路、入り口の傾斜も重要なポイントなので、ミスマッチを減らすためにこれも写真に撮ってお伝えしています」

今回の取材で「ガレージハウスに住む」という、クルマ好きの夢を賃貸で叶える人が増えていることが分かった。興味が湧いた人は賃貸ガレージハウス情報専用サイトを覗いてみてはいかがだろうか。

油断すると怖いクルマの最低地上高。車体の床が擦れないかも入念にチェックする。

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