高速道路の追越車線を走り続けると違反に! 目安はどれくらい? ルールや反則金について解説。
高速道路を走行していると、追越車線を走り続けているクルマを見かけることがあります。実は、この「追越車線を走り続ける」行為は交通違反になる可能性があります。いったいどんな違反となり、どれくらいの反則金が科されるのでしょうか?
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追越車線を継続走行すると交通違反に!

追越車線を走り続けると交通違反になる可能性があります。
長期休みなどで旅行や帰省、レジャーなどのために、クルマで遠出をする人も増える季節です。普段はあまり運転をしないドライバーも高速道路で運転する機会が増えますが、一般道と違う交通の流れに合わせて走行することが難しく、戸惑う場面もあるかもしれません。
そんな中で、よく見られるのが、追越車線に入ったはいいが、左側の走行車線に戻らず、そのまま追越車線を走り続けてしまうというケースです。
「追越車線」とは、一般的には2車線ある道路の右側の車線のことを指します。3車線以上ある場合は、一番右側の車線が追越車線です。道路交通法の第20条には、「車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、左側端から数えて1番目の通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によって指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となっているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる」と明記されています。
つまり、走行車線を走ることが原則となっていて、追越車線を走り続けることは交通違反となるのです。
もし、この違反が成立した場合は「車両通行帯違反」となり、普通車であれば違反点数1点が加算され、6000円の反則金が科されます。
どれくらいの距離で「車両通行帯違反」になる?

追越車線をどのくらい走行すると、交通違反になるかの明確な基準はありません。
どのくらいの距離を追越車線で走り続けたら違反になるのでしょうか。
実は、道路交通法には、追越車線をどのくらい走行し続けると違反になるかという明確な基準は明記されていません。
これについて、警視庁交通相談コーナーに問い合わせると「明確な規定があるわけではないため、現場の警察官に委ねられている部分が多いです」との回答が得られました。
また「前方に十分なスペースがあるのに追越車線を走り続けたり、走行車線が空いているのに車線変更せず、そのまま追越車線を走り続けるたりする場合は、追い越しの目的を果たしていないと判断され、交通違反になる可能性があります」とも回答してくれました。
このことから、道路が混雑していない状況や、明らかに追い越しの必要がない状況において、追越車線を走り続けると「車両通行帯違反」として取り締まりの対象となるようです。
また、群馬県警察のウェブサイトにも「追い越し後は、速やかに走行車線に戻ること」が安全運転の基本であると注意喚起されています。
交通の流れとマナーを意識して走行する

追越車線は、あくまで走行車線のクルマを追い越すために設けられていることを理解しておくことが重要です。
追越車線はあくまでも、前のクルマを追い越すための一時的な通行帯として設けられています。
しかし、初心者ドライバーの中には「右側の車線の方が流れが速いから」「空いているから走りやすい」と感じ、ついそのまま追越車線走り続けてしまうこともあるようです。明らかに走行車線が空いているにもかかわらず、追越車線を走り続けている場合には、交通違反となってしまう可能性が高いため、追い越した後は走行車線に戻るという意識を持って運転しましょう。
また、追越車線を走り続けることで後続車両の進行を妨げてしまい、意図せず「あおり運転」などのトラブルを引き起こす原因となることもあります。速やかに走行車線に戻ることを常に意識していれば、そのような危険運転から自車の安全を守ることにも繋がります。特に普段から高速道路を使用せず、スピードを出すことに慣れていないドライバーは、このことをしっかりと覚えておきましょう。
運転に慣れている人であっても、走行車線が混雑していて車線変更のタイミングを逃してしまい、追越車線に長くとどまってしまうこともあります。この場合「道路の状況その他の事情によりやむを得ないとき」(道路交通法第20条第3項)と見なされ、違反にはならない場合もあります。ただし、走行車線が空いてきたら、できるだけ速やかに走行車線に戻るようにしましょう。
このように追越車線を走り続けることは違反となる可能性があり、追い越し後は速やかに走行車線に戻ることが原則です。自車や周囲の交通状況を把握しながら交通ルールを守った運転をし、安全で快適なドライブを楽しみましょう。
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