MT免許取得の仕組みが改正! 教習はAT免許が基本のカリキュラムに。
道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令の施行により、2025年4月からAT車を使用した教習がカリキュラムの基本となり、MT免許を希望してもMT車での教習は最短で4時間しか行われないことになりました。運転免許取得の仕組みは、どのように変わったのでしょうか。
この記事をシェア
普通免許の教習車両がAT車に統一!

2025年4月より、自動車教習所での標準カリキュラムはAT車を基本とした教習となる。
2025年4月に、道交法施行規則の一部を改正する内閣府令が施行されました。
これにより、自動車教習所での標準カリキュラムはAT車による教習となり、MT免許を希望していても基本的には、AT車で教習することになりました。
MT車での運転を希望する場合は、AT限定免許を取得したうえで後日“限定解除教習”を受け、MT車技能審査を受けることになったのです。
限定解除教習では、MT車の操作方法やクラッチワークといった技術を、最短4時間で集中的に学びます。そして、技能審査に合格すると発行される「MT技能審査合格証明書」と、「AT限定卒業証明書」の2通を持って本免学科試験に合格すれば、普通MT免許が交付されるという流れになっています。
また、今回の法改正を受けて、すでに教習内容を変更している教習所もあるようです。
たとえば、愛知県の教習所では同年2月から、「MTパック」と呼ばれる普通MT免許取得コースを設定しています。このコースを受講した場合、必要最短時限数はAT車の教習31時限に加え、MT車での教習4時間の合計35時限になるそうです。
MT車の需要減少が起因

昨今はAT車のラインナップが豊富ということもあって、MT免許を取得する人は減少傾向にある。
今回の法改正には、近年のAT車普及によって、免許取得の際にAT限定を選ぶ人が増えていることが背景にあるといいます。そもそも、AT車の人気が高まっている理由としては、現行ラインナップのクルマの多くがAT車であることや、MT車と比較して運転操作が簡単であることが挙げられます。
また、AT限定を基本とする方針をとる教習所では、MT免許の取得は希望制としているケースもあります。そのため、特にこだわりがない限り、AT限定を選ぶ人が多いようです。
こうした状況もあり、運送業などMT車を必要とする業種でドライバー不足が懸念されています。今回の制度改正では、それも踏まえて大型免許、中型免許および準中型免許、そして大型第二種免許及び中型第二種免許でも技能検定の方法の見直しと、AT限定免許の導入も行われています。
これにより難易度の高かった大型MT車の免許取得のハードルが下がり、ドライバー不足解消に繋がることが期待されています。
しかし、今回の制度変更で運転技能の低下を懸念するユーザーも少なくありません。
実際に、SNSでは「AT限定解除の講習は実技4時間分のみで大丈夫?」「短時間でMT車の操作を十分に習得できるのかな?」といったように、限定解除講習でMT車の運転技能が獲得できるのかを疑問視する声も上がっていました。本当に安全にMT車を扱えるようになるのかという点で、制度の実効性に対して慎重な見方もあるようです。
なお、教習所によってはATの教習車が少なかったり、カリキュラムの対応が間に合わないこともあるため、改正には暫定期間が設けられています。すべての教習所で一斉に新しい制度が徹底されている訳ではなく、段階的に導入されていくのです。
これから運転免許を取得する方は、自身が通う教習所にどのようなカリキュラムがあるのかをしっかりと確認し、自分に合った教習所を選択するようにしましょう。
記事の画像ギャラリーを見る