ガソリン価格いつになったら下がるのか？ 暫定税率は廃止すべきもの！【国沢光宏がクルマ業界にモノ申す！】第2回

ガソリン価格が不透明すぎる！

公共の交通機関のない地域だと今や乗用車は贅沢品でなく“生活に必要な手段”となる。なのにガソリン価格を見ると極めて不透明だったりする。「正当な価格」が解らないため、売る側の自由裁量という状況。特にウクライナ侵攻から始まった「補助金」により、ガソリン価格は一段と不透明になり、原油価格や為替相場が落ち着いてきても高値安定になってしまっている。このあたりで正当なガソリン価格を考えてみたい。

2022年1月24日のガソリン全国平均価格を見ると、170.2円だった（※出典：資源エネルギー庁）。その時点の原油相場はWTI（代表的な原油価格）で1バレル（159L）あたり85.14ドル。円ドルレートは114円だったので、1リッターにすると61.01円だ。2025年3月19日で同じ計算をしたらどうか？ 為替レートこそ149.5円の円安ながら、原油のダブつきによりWTI相場は大幅に下落して66.79ドルとなった。

したがって1リッターあたり62.79円になる。2022年1月24日より1.78円の値上がりだ。173円ということになるハズ。しかし！ 資源エネルギー庁による3月17日のガソリン全国平均価格は187.1円である。これに2.1円の補助金を出しているから184.6円に収まっていると主張する。おかしいと思わないだろうか？

説明するまでもなくガソリンは全量を海外から輸入している。したがって価格は原油相場と為替レートで決まってくる。本来なら173円のハズなのに、資源エネルギー庁の調べだと187.1円だという。1リッターあたり14円はどこに行ってしまったのだろうか？ ガソリンスタンドが儲けているとは思えない。今や過当競争をしているからだ。実際、ガソリンスタンドに聞くと、石油元売りからの卸価格が高いので安く出来ないという。

2025年3月17日時点における、直近1か月の石油製品価格調査の結果。画像=資源エネルギー庁

自動車＝贅沢品と考える大手メディア

どうなっているのか？ 調べてみると、補助金の投入から元売りの利幅が大きくなっているように思う。ウクライナ侵攻後、確かに原油価格は高騰した。その時点で補助金はガソリン価格を引き下げる効果をもたらしたと思う。ただ2023年末から原油相場が下がってきても、補助金は高いまま。この時点で10～15円がどこかに消えてしまった。

民間大手メディアは追求しない。石油業界から膨大な広告を出して貰っているからだ。しかも大手メディアの関係者は都市部に住んでおり、免許すら所有していない人が少なくない。自動車を贅沢品だと考え、さらに多少ガソリンが高くなっても大きな不満は出ないと考えているのだろう。実際、その通りだと思う。現在進行形で1リッターあたり不当に10円高くても大きな不満は出ない。

参考までに書いておくと、コストコのガソリン価格は3月19日の全国平均で157円。カルテル疑惑の出ている長野県の平均は191円。50L給油するとコストコなら7850円。長野県だと9550円ということになる。1個15円のタマゴの価格や1袋30円のもやしの価格が10円でも上がると大騒ぎする大手メディアなのだから、もう少しガソリン価格も取り上げていただきたいと思う。

1991年～2025年におけるレギュラーガソリン価格の推移。グラフは資源エネルギー庁「給油所小売価格調査」の統計データをもとに、KURU KURA編集部で作成。3年ごとに3月中旬のレギュラーガソリン価格をまとめた。※消費税の総額表示方式導入にともない、2004年4月以降は消費税込み価格を表記

いつまでも廃止されない暫定税率

今後どうなるか？ 1リッターあたり25.1円（実際は税金にも消費税が掛かっているため27.61円）掛かっている暫定税率を廃止しろと頑張っている政党もある。考えてみたら暫定税率は“暫定”のハズ。加えて暫定税率を決めた理由も、道路整備拡充のために使うという名目。今やガソリン諸税は一般財源となっているため、道路以外にも使える。簡単に以上の構図を説明すると「文句言わないからやり放題」になる。

当然ながら暫定税率は廃止すべきもの。ただ自動車関連の税金は本当に美味しいんだと思う。どんなに値上げしても払いますから。ガソリンを入れる時に取られ、車検の時に確認されるため、取りっぱぐれがない。考えてみれば暫定税率を廃止したくない政党の議員を選んでいるのは国民。本当に苦しいのなら、違う政党を選べばいい。そういった動きが出るまでは、残念ながらそのまんまかもしれません。

(c) Björn Wylezich - stock.adobe.com

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