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最終更新日:2025.03.18 公開日:2025.03.19

日本で絶滅寸前の激レア信号機! アメリカ3M社製の「偏光灯器」がスゴイ 【信号機マニア・丹羽拳士朗の偏愛日記 #4】

北は北海道から南は沖縄まで、全国の珍しい信号機を訪ね歩いて20年の信号機マニア・丹羽拳士朗さんによる連載第4回目。今回は絶滅寸前!? 変わった見た目で特殊な機能を持つ「偏光灯器」が登場。

文・写真=丹羽拳士朗

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変わった見た目の「偏光灯器」

変わった見た目で特殊な機能を持つ「偏光灯器」。

日本に設置されている信号機のレンズ(色が点灯する部分)は、通常、丸い形となっている。今回は、皆さんの見慣れている形状とは異なる「偏光灯器」という信号機を紹介しよう。

その偏光灯器が冒頭の写真だ。レンズの部分は四角形で、その中で丸く光っている。また、普通の信号機と比較して、レンズの外側に余白がなく“ごつごつ”としたインパクトのある形となっている。

この信号機は、通称「偏光灯器」と言う特殊な機能を持っているもので、アメリカの3M社という会社が製造していたものだ。

偏光灯器の後側には「3M」の2文字。

その機能は2つあり、1つは信号機の正面からしか信号機の何色が点灯しているかわからない機能(左右制限)、もう1つがある程度その信号機に近づかないと信号機の点灯色がわからない機能(距離制限)だ。

「左右制限」は道路が鋭角に交わっている交差点で正面の信号機以外の信号機を誤って見るのを防止するもの。一方、「距離制限」は信号交差点が近距離で連続してあるところで誤って奥の信号機を見るのを防止するものだ。

いずれの機能も、運転者が見るべき信号機と違う信号機を誤って見るのを防止する誤認防止の役割を果たす。この偏光灯器の仕組みだが、レンズの一部をアルミテープで覆い、マスクしているものとみられる。これによって、灯火の見える角度や距離などを制限して、特定の道路のみ灯火の色がわかるようになっているようだ。

かつて偏光灯器は滋賀県に多数設置されていた。また、数は多くないものの、全国各地で見かけることができていた。

しかし、日本国内の偏光灯器は、大半が通称「ルーバー」と呼ばれる信号機へ交換が進められ、現在では石川県能美市と千葉県市原市の2箇所のみとなってしまった。その理由は、3M社製の偏光灯器に使用された特殊な電球が製造停止となったことが大きい。

偏光灯器からこのような通称ルーバー庇が装着された灯器への交換が相次いだ。

なお、置き換えられたルーバーは、スリットを前面に設置しており、偏光灯器と同じ機能を持っている。

現存するふたつの「偏光灯器」

現在、残っている偏光灯器は両方とも左右制限となっており、角度を正面からずらすと何色が点灯しているのか全くわからなくなる。

【現存する実例① 石川県能美市「大成中央交差点」】

石川県能美市「大成中央交差点」の偏光灯器。

こちらは石川県能美市「大成中央交差点」の偏光灯器だ。設置箇所は信号交差点の手前に右方向から別の道路が合流してくるつくりとなっている。合流してくる道路からこの信号機を誤って見てしまうのを防ぐために偏光灯器が設置されていると考えられる。


石川県能美市「大成中央交差点」の様子。

【現存する実例② 千葉県市原市「八幡海岸通」の交差点】

千葉県市原市「八幡海岸通」の交差点の偏光灯器。

一方、千葉県市原市「八幡海岸通」の交差点にある偏光灯器は矢印付きだ。高架道路と側道が合流する交差点の高架道路側にあり、側道からこの信号機の色が見えるのを防ぐために設置されていると考えられる。

ちなみにこの交差点を右折したところには鉄道の踏切がある。踏切が遮断されているときは下にある矢印灯器が点灯するとみられる。しかし、極稀にしか踏切が作動しないらしく、筆者はこの矢印が点灯しているところを見たことがない。

また、信号機のサイズにも注目してほしい。矢印灯器は通常の大きさだ。それに比べ、偏光灯器のサイズが小さいことがわかる。


千葉県市原市「八幡海岸通」の交差点の様子。

ちなみに3M社があるアメリカには、まだこの偏光灯器がたくさん設置されているらしい。いつか自分で見に行って撮影してみたいものだ。

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