BMW次期3シリーズはどうなる? ドリフトしまくり! 最大トルク1万8000Nm、ノイエクラッセのプロトタイプがテスト開始。
BMW AGはこのほど、新しい高性能テスト車両「BMWビジョン・ドライビング・エクスペリエンス(以下VDE)」に搭載する「ハート・オブ・ジョイ」と呼ばれるドライブトレインおよびドライビング・ダイナミクス・マネジメント技術のテストを実施した。
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「ハート・オブ・ジョイ」はBMWの次世代BEVに搭載
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BMWビジョン・ドライビング・エクスペリエンス|BMW Vision Driving Experience
記事の画像ギャラリーを見るBMW AGはドイツ現地時間の2月17日、次世代BEV(バッテリー式電気自動車)の高性能テスト車両「BMW VDE」の開発状況ついて発表した。
BMW VDEのプロトタイプ車両は、米国スパルタンバーグのBMWパフォーマンス・ドライビング・センターで「ハート・オブ・ジョイ」の機能を究極の耐久性テストにかけられた。VDEは量産が予定されているわけではないが、次世代BMW車である「ノイエ クラッセ(新モデル)」向けに開発され、「ハート・オブ・ジョイ」をテストする役割を担っている。
「ハート・オブ・ジョイ」は、すべての完全電動のノイエ クラッセに搭載される予定だ。最初のモデルは背の高いSUVタイプを予定しており、今年後半にハンガリーのデブレツェン工場で量産されるという。「ハート・オブ・ジョイ」はBMWらしさを象徴する“純粋なドライビング プレジャー”として、これまで発表されたノイエ クラッセの3つの特徴(電気、デジタル、円形) に新たに追加される4つめの要素だ。
BMW AG開発責任者のフランク・ウェーバー氏はVDEについて「ハート・オブ・ジョイは、運転の楽しさを引き上げるだけでなく、さらに効率を高め航続距離を延ばします。将来的にドライバーはほぼエネルギー回生のみを使用してブレーキをかけるようになるでしょう」と、述べている。
最大トルクは1万8000Nm!
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BMWビジョン・ドライビング・エクスペリエンス|BMW Vision Driving Experience
ドライブトレイン、ブレーキ、充電、回生、ステアリングの各サブ機能を制御する 「ハート・オブ・ジョイ」制御ユニットは、BMWダイナミック パフォーマンス コントロール ソフトウェアと連携して、すべてのドライビングダイナミクス機能をまったく新しいレベルの速度と精度で計算。従来のシステムよりも10倍速く情報を処理する。
このソフトウェアは、BMWのエンジニアが1世紀以上にわたって蓄積してきたドライビングダイナミクスの分野での経験をもとに、完全に社内で開発されたものだ。最大1万8000Nm(1835.5kgf-m)のトルクを発生すると謳うVDE。あくまでテスト車両とはいえ、最新のM5でも1000Nmほどだというのに、なぜそれほどのパワーが必要なのだろうか? その理由について同社は、制御システムがこの規模の爆発的なパワーに対応できれば、日常の運転の要求にも容易に対応することができるから、と説明する。
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BMWビジョン・ドライビング・エクスペリエンス|BMW Vision Driving Experience
ブレーキング時のエネルギー回生(または回収)では、電気自動車のドライブトレインとブレーキ機能が共生関係を形成する。ノイエ クラッセの革新的なエレクトロニクスアーキテクチャでは、「ハート・オブ・ジョイ」は 4つの中央制御ユニットのひとつであり、ドライブトレインとドライビングダイナミクス機能を初めて組み合わせている。
この高性能ユニットは加速とブレーキ、車両安定化、ダイナミックステアリング機能、充電管理を制御する。中央処理装置と、社内で開発され完全に調整されたBMWダイナミック パフォーマンス コントロール ソフトウェアにより、接続されているすべてのアクチュエーターが直接、最小限の遅延で応答できるという。
遅延はミリ秒単位だ。従来のシステムでは、駆動システムとブレーキに別々の制御アルゴリズムがあるので、強力な電気駆動システムを備えた車両のハンドリング能力を十分に活用することはできない。
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BMWビジョン・ドライビング・エクスペリエンス|BMW Vision Driving Experience
またドライバーや乗員は、走行状況や速度に関係なく調和のとれた静かな運転感覚を体験することになる。ダイナミックな走行パターンでは、新しい「ハート・オブ・ジョイ」と BMWダイナミック パフォーマンス コントロールの組み合わせにより、比類のないコーナリングの安定性と安心感を得ることができるだろう。車両は強烈なトラクションを生み出し、並外れた精度でコーナーを抜けられる。
必要な制御入力は少なくなり、走行ラインをより正確かつ安定して維持できる。これにより車両は、より直感的でスムーズなステアリング操作が可能になるという。
ストップ・アンド・ゴーの続く走行や駐車時などの低速時においても、さらに魅力的なドライビング体験が提供される。運転モード「D」または「B」、あるいはアクティブ・クルーズ・コントロールの使用時には、パーキングブレーキまたはパーキングロック、停止と再始動がシームレスに統合される。
さらに、ドライブトレイン、ブレーキ、エネルギー回生制御の統合により、エネルギーをより持続的に使用できるようになる。98%は従来のブレーキを使用して入力する必要がなくなるという。エネルギー回生を使用して生成されるブレーキ力は、通常の日常の運転には十分。緊急時などの急ブレーキ時のみ、摩擦ブレーキの介入が必要となる。全体として、このシステムにより効率が最大25%向上するという。
VDEテスト車両は、ホイールリム上のカラーコードを使用して「ハート・オブ・ジョイ」の動作をデモンストレーションする。加速時は緑色、エネルギー回生時は青色、そして摩擦ブレーキを使用したブレーキはオレンジ色で示された。
なお、VDEは今後4月23日に開幕する上海モーターショー2025で初公開される予定だ。