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最終更新日:2024.12.03 公開日:2024.12.03

首都高の安全・快適を支える! 新型「ウェーブドクター」を開発した若きエンジニアの現場拝見 【大人になっても憧れのはたらくクルマのおしごと! #01】

今、「はたらくクルマ」のドライバー不足が取り沙汰されている。一方で、子どもの頃からの憧れはあるものの、現場を知る機会もなく、就業後の業務内容や生活をイメージできず、業界に足を踏み入れられずにいる若者もいるかもしれない。そんな高校生や大学生、あるいは転職希望の若者に、はたらくクルマで仕事をする若手の姿を見ていただく本連載、第1回は首都高速道路を駆け巡り、電気通信設備の維持管理を担当するエンジニアにスポットを当てる。

文=サトータケシ

写真=河野マルオ

取材協力=首都高技術株式会社

首都高技術で施設部 施設課に所属するエンジニアの久保圭徳さん。

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首都高を安全、快適に保つエンジニアの仕事

首都高技術株式会社 施設部 施設課
久保圭徳さん(29歳)
2018年4月入社

──まず、久保さんのお仕事の内容から教えてください。

久保 首都高グループが目指す「安全・快適な首都高」を実現するため、「道路照明の明るさ」や「情報提供や料金収受設備の電波状態」が一定のサービスレベルに保たれているか測定して管理する仕事を行っています。弊社で開発したWaveDoctor(ウェーブドクター)という車両で首都高を規制せずに走行しながら全線の測定を行っています。測定は事前に計画した測定コースを走行するだけで自動的に測定を行うシステムを開発して効率的に実施しています。また、測定した大量のデータを解析して、道路照明や無線設備(電波)の機能低下を予測します。これをもとに首都高の維持管理に活用するための基礎資料を作成しています。

──この仕事に就こうと思われたきっかけをお聞かせください。

久保 もともと父がクルマ好きで、スポーツカーを乗り継いでいました。助手席から父が運転する姿を見ているうちに私もクルマが好きになって、いつかはクルマに関わる仕事に就きたいと思うようになりました。もうひとつ、子どもの頃から『交通警察24時』というテレビのドキュメンタリー番組が大好きで、将来は高速道路を守る仕事をしたいと思っていたことも、現在の職場を選んだ理由です。

──現在は施設課に所属なさっていますが、ほかの部署も経験されているのでしょうか。

久保 はい、入社直後は施設設計課に配属され、この7月に施設課に異動となりました。施設設計課では、電気設備を更新する工事にかかる材料費や作業員の人件費などを積み上げて算出する積算業務を担当していました。

──いまの仕事で、達成感が得られるのはどんなときですか?

久保 ウェーブドクターで測定した大量のデータから異常箇所を発見して、大きな事故や障害になる前に補修が完了した時は「やったな」という達成感を感じます。

──この仕事は難しいな、というのはどんなところですか。

久保 測定は首都高の本線327.2kmだけでなく400箇所を超える出入口や料金所もすべて行っています。その測定データを解析する時は、設備が設置されている道路構造や周辺環境、設備の仕様など、様々な情報を把握する必要があります。また、夜間の測定が多く事故のリスクも高いので、事故防止の啓発や安全管理の徹底など業務が多岐にわたり難しい面も多いですが、その分やりがいも多い仕事だと思います。ちなみに、私は神奈川県で育ったので東京の北部や埼玉の土地勘がなく、当初は料金所の名前を覚えるのにとても苦労しました。

苦難を乗り越え完成した2代目ウェーブドクター

ウェーブドクター車内の様子。走行中、久保さんは後席でデータ解析を行う。ラゲージルームには測定機器が所狭しと並ぶ。

──最近の仕事で、自分で自分をほめてあげたいようなものはありましたか?

久保 先日、最終システムテストを終えて、2代目ウェーブドクターが完成しました。後輩と二人で担当した設計作業は、アイデアが出るたびに設計図を手直しして、完成まで10回以上は書き換えました。この時は最後までよくやり遂げたなと思いました。

──新型ウェーブドクターはもう走っているのですか。

久保 はい。先日までシステムテストで首都高を走行していました。これから本格的な測定が始まり首都高全線を走行します。測定は夜間が多く毎日走行しているわけでもないので、遭遇された方は運が良いと思います。

アルファードをベースに首都高技術が開発した新型「ウェーブドクター」。

ウェーブドクターは道路照明の明るさや、ETCの電波、さらにトンネル内の温度・湿度・路面温度などを走行しながら同時測定している。

──この会社に入る前と入った後で、イメージが変わったところはありますか?

久保 入社前のイメージでは、管理職とは距離があるのかと思っていましたが、みなさんから気軽に声をかけていただいて、すごく風通しが良い会社だと感じています。また入社前に想像していたより休みがしっかりとれるため、休日は趣味の野球を楽しんでいます。早起きをして野球をして、午後からドライブをして温泉に入り、家に帰ってお酒を飲みながら自分で作った料理を食べるのが最高の休日です(笑)。

「ウェーブドクター」の設計図を見ながら説明する久保さん。

──学生時代に学んだことで、入社してから役に立ったのはどういうところでしょうか。

久保 大学で勉強した電子工学の基礎的な知識は役立っていますが、首都高の「道路照明の明るさ」や「情報提供や料金収受設備の電波状況」を解析する仕事はかなり特殊なので、入社してから学んだことがとても多いと感じています。

──就活生にアドバイスするとしたらどんなことがあげられるでしょう?

久保 特殊な仕事と言いましたが、先輩や上司が丁寧に教えてくれるので、心配はいらないと思います。入社1年目は先輩の背中を追いかけるだけでしたが、2年目からは徐々に仕事を任されるようになり、3年目にはかなりの権限が与えられました。だから、若いうちからやりがいが持てる会社だと思います。

──今後は、どういった方向に進みたいと思われているのか、最後に抱負をお願いします。

久保 現在は測定業務を担当していますが、今後は構造物の点検業務など色々な業務を担当して仕事の幅を広げていきたいと思っています。また、高速道路という過酷な作業環境で、ウェーブドクターのような安全で効率的に作業ができる車両などをこれからも開発していきたいと考えています。

完成したばかりのウェーブドクターと久保圭徳さん。

SPECIFICATIONS
ウェーブドクター|Wave Doctor
ベース車両:トヨタ アルファード Z E-Four ハイブリッド
ボディサイズ:全長5060mm(4995mm)×全幅1850mm(1850mm)×全高2250mm(1935mm)
ホイールベース:3000mm
車両重量:2230kg(2220kg)
駆動方式:4WD
エンジン:直列4気筒DOHC 16バルブ
総排気量:2478cc
システム最高出力:250PS(184kW)
トランスミッション:CVT
※( )内は架装前寸法

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次回は12月5日からスタートです!
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