三菱「アウトランダーPHEV」がマイナーチェンジ! 新型はヤマハと共同開発のオーディオに注目せよ。【試乗ならぬ試聴レビュー】
ティザー画像公開から話題を集めていた三菱の新型「アウトランダーPHEV」の発売日が10月31日に決定! いまユーザーがアウトランダーに求めている“上質感”に応えるために、開発者が出した答えとは? モータージャーナリストの原アキラが試乗会ならぬ試聴会に参加した。
輸入車に負けないプレミアム感を
PHEV(プラグインハイブリッド)のパワートレインと4WDのSUVという組み合わせが人気の、三菱のフラッグシップモデル「アウトランダー」。2021年12月にデビューした現行モデルは、1000台を予定していた国内の月販台数を上回るペースで売れていて、すでに3万5000台が世に出ているという。そのアウトランダーが、10月31日にマイナーチェンジして発売される予定だ。山梨県北杜市で行われた事前説明・試聴会に参加して、実車を確認してきた。ん、試聴会って?
三菱自動車によると、このところアウトランダーを求めて来店するお客さんは、価格帯が少し上の国産プレミアムモデルだったり、レクサス、メルセデス、BMWなど輸入車に乗っていたりする方が多いのだとか。理由はアウトランダーのPHEVシステムや力強い外観に惹かれて、というのはもちろんなのだが、話を詳しく聞いてみると「さらなる充実感や上質感があったら」という声が結構あるそうだ。
開発を担当した五味淳史・商品戦略本部チーフプロダクトスペシャリストによると、今回のマイナーチェンジではこうした声に応えるべく、「新たな競合モデルであるプレミアムブランドや上位車格のクルマには質感の向上や機能の追加で対抗し、さらに我々の特徴であるPHEVの性能をアップし、歴代最高のアウトランダーへ進化を遂げるという戦略を取りました」と説明。そのコンセプトは現行の「威風堂々」のフェーズ2バージョンであるとした。
内外装はどう変化した?
好評だったエクステリアは、ダイナミックシールドのグリルの表面がつるりとしたものに変わったり、前後のスキッドプレードが立体的になったり、リアコンビネーションランプがスモークタイプになったぐらいの小変更。目立つのは、新しいデザインの20インチホイールと、光が当たるハイライト部分がブルーに光る「ムーンストーングレーメタリック」という新しいボディカラーだ。
一方のインテリアは、今回新設した最上級の「P エグゼクティブパッケージ(5人乗りと7人乗りがある)」グレードが採用する、デザインを変更したセミアニリンのレザーシートが目をひく。カラーは新しいブリックブラウンで、前2席にはユーザーからの要望が多かったシートベンチレーションを盛り込んだ。
センターディスプレイのサイズは9インチから12インチに大型化。モニターの大画面化というトレンドに対応するとともに、グラフィックを一新して見やすくなっている。
ヤマハ・スピーカーによる特別なオーディオ体験
そして、最も大きいのが、車載のオーディオシステムを現行のBOSEからヤマハにチェンジしたこと。冒頭で紹介した試聴会は、その聴き比べだったのだ。
「女神の森」の敷地内にある広い芝生で行ったその方法とは、試聴に適するであろうと三菱が選んだ曲はDua Lipaの人気楽曲「Don’t Start Now」と、ハービーハンコック&クリスティーナ・アギレラの「A Song for You」。この2曲を現行のBOSEと、新型の「P」グレードが標準搭載する8スピーカーの「ダイナミックサウンド・ヤマハ・プレミアム(以下、プレミアム)」、最上級の「P エグゼクティブパッケージ」が標準搭載するデュアルアンプ&12スピーカーの「ダイナミックサウンド・ヤマハ・アルティメット(以下、アルティメット)」で順番に聴き比べるというもの。
その感想はというと、BOSEは耳に優しく聴き疲れのしない音、プレミアムはその輪郭をはっきりとさせたもの、アルティメットはプレミアムの音にさらなる解像度と艶を加えたもの、という感じで、ヤマハらしい正確な音の再現力を確認できた。
オーディオには、音を調節するイコライザーやフェーダー/バランサーがあるのは当たり前だが、このシステムでは曲調に合わせて「Lively」、「Signature」、「Powerful」、「Relaxing」の4つのサウンドタイプを選ぶことができ、さらに、ロードノイズや風、雨、エアコンの音など移動体であるクルマが発生する様々な周波数に対応する補正を自動的に行ってくれるのだとか。高級オーディオらしくてなかなか頼もしい。
今回ヤマハとタッグを組んだ理由を聞くと、音響メーカーであるだけでなく楽器自体をつくるメーカーであった点が大きかったという。
PHEVのパワートレインについては、リチウムイオンバッテリーの容量を約13%アップし、システム出力も20%アップ。EV航続距離が約20km伸びて、「M」で106km、その他のグレードでは102km(いずれもWLTCモード)と、全グレードで100kmオーバーを達成している。
さらに最適化したサスペンションや新開発タイヤを採用して欧州ブランドにも負けない走りを実現したというが、今回は試乗が叶わなかったのでこちらは情報のみ。
税込み価格は526万3500円(M5人乗り)〜668万5800円(P エグゼクティブパッケージ7人乗り)だ。
SPECIFICATIONS
三菱 アウトランダー PHEV P エグゼクティブパッケージ|Mitsubishi Outlander PHEV P Executive Package
ボディサイズ:全長4720×全幅1860×全高1750mm
車両重量:2140kg
駆動方式:4WD
エンジン:2359cc 直列4気筒DOHC16バルブ
エンジン最高出力:98kW(133PS)/5000rpm
エンジン最大トルク:195Nm/4300rpm
モーター最高出力(前/後):85kW(116PS)/100kW(136PS)
モーター最大トルク(前/後):255Nm/195Nm
乗車定員:5名
価格:659万4500円(税込)