伝説のマッドなカーバイオレンス映画が9年ぶりに帰ってきた! 『マッドマックス:フュリオサ』は期待以上にアツい。【クルマと映画】
ノンストップ・カーアクションで世界を席巻した『マッドマックス 怒りのデスロード』(2015)から9年。その前日譚となる『マッドマックス:フュリオサ』が5月31日から公開中だ。映画好き編集部員がドルビーシネマと通常スクリーン吹替版を鑑賞してきた。
期待以上! マッドマックスサーガの揺るぎない1ピース
行って帰ってくるだけ! というシンプルなストーリー構成と、マッドで濃厚でド派手なカーアクション。全世界を魅了した前作『マッドマックス:怒りのデスロード』には、筆者も何十回と劇場に足を運んだ。あれから9年。ファン待望のシリーズ最新作『マッドマックス:フュリオサ』が5月31日に公開された。前作で主人公以上に存在感を放っていた女戦士フュリオサのスピンオフ作品ともなれば、いやが上にも期待が高まる。
前作でも断片的に語られていた、フュリオサの若き日を描く本作。故郷である「緑の地」から拐われた幼いフュリオサは、安住の地も、自分を守ろうとした母も、全てを失う。母を殺したディメンタスへ復讐を果たし、母との最期の約束である「どんなに時間がかかっても故郷に帰る」ために、どのように挑み戦うのか。フュリオサの壮絶な過去が、鉄と炎と暴力のハードなアクションと共に展開する。
ド派手なカーアクションは本作でも健在!
前作におけるフュリオサ同様に強い印象を残す女性が、序盤で登場する。フュリオサ(アニャ・テイラー=ジョイ)の母であるメリー・ジャバサ(チャーリー・フレイザー)だ。冷静果断で強靱で戦闘力も高いが、フュリオサを守って非業の死を遂げた。だが幼くして死に別れながら、フュリオサはたしかに母親の血脈を思わせる成長を遂げ、寡黙に獰猛に、狂った残酷な世界に抗い続けていく。
女性であることを隠し、砦を出るチャンスをうかがう息詰まるような日々の中で、フュリオサは思いがけず信頼できる存在を得るが、前作を観ていれば2人の未来は悲しいほどに予測がつく。皮肉にも、その経験こそがフュリオサを「黙示録第五の騎士」と称されるほどの戦士へと押し上げる。
一方で、フュリオサの母を殺し、イモータン・ジョー(ラッキー・ヒューム)以上にマッドなカリスマと思わせるディメンタス(クリス・ヘムズワース)は、子供の形見であるクマのぬいぐるみを常に手元に置き、どこか芝居がかった言動の合間にふと正気に戻ったような表情を見せる。あるいは、凄惨なゲームを高みから眺め続けた最後に、「飽きた」と呟いた真意は、どこにあるのだろうか。
そして前作では水と洗脳で砦を支配する独裁者と見えたジョーは、難場において見事な采配を振るい、統率力を発揮して、常ならざる人物である片鱗を見せる。
それぞれの思惑が入り組み、敵対し、同盟しては再び対立し、荒れた世界はなおも荒れ果てるが、無慈悲な運命にも決して屈しないフュリオサは、本人すら自覚のないままに、前作のラストにつながる荒ぶる希望だ。
1度目の鑑賞時は、映像にも物語にもただ圧倒されるばかりだった。
2度目には、パートナーと共に「故郷」への道を踏み出そうとしたフュリオサの姿に、その地に帰り着くまでの目も眩むような遠く長い道と結末を思って、スクリーンの中の壮絶な戦闘シーンをよそに、こみ上げてくるものさえあった。
さらわれたフュリオサを追ってのバイクチェイスに始まり、荒れ地を縦横に走り回るバイカーの大軍団やお約束のウォー・タンクへの襲撃、ディメンタスとの攻防など、ド派手でバイオレンスなアクションはもちろん健在だ。しかしそれ以上に、今作は人間たちの紡ぎ出すドラマが胸に迫る。「緑の地」を率いた女傑メリー・ジャバサの血に連なるフュリオサが、地を這いずって生きる人々の「救世主」となるまでの道の途中を描いた、女たちの神話でもある。
INFORMATION
『マッドマックス:フュリオサ』
大ヒット上映中!日本語吹替版同時上映
IMAX®/4D/Dolby Cinema®/ScreenX
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