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最終更新日:2023.11.07 公開日:2023.11.07

“カニ走り”で縦列駐車もスイスイ? 横移動も旋回も自由自在な 「FOMM TWO」は想像以上にスゴかった!【ジャパンモビリティショー2023】

日本のEVメーカーであるFOMMは、ジャパンモビリティショー2023で、その場で旋回したり、平行移動も可能だという新型EV「FOMM TWO(フォム・ツー)」をお披露目した。

文・写真=岩井リョースケ(KURU KURA)

縦列駐車を想定したシーンで、平行移動しながら駐車するFOMM TWO。

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FOMM TWOはカニ走りができるクルマ?

2013年に創業したFOMMは、近距離の移動に適したモビリティを開発し、これまで見たこともないような乗り方や使い方を提案する国内EVメーカー。2019年にはインホイールモーターによる前輪駆動で、世界最小クラスの4人乗りEV「FOMM ONE」をタイで量産し、日本や海外で販売している。FOMM ONEのことを、水害時に水上走行も可能な軽自動車として覚えている人もいるのではないだろうか。

そんなFOMMが新開発した「FOMM TWO コンセプト」も、インホイールモーターを採用し、4輪独立操舵機能を追加。これにより、4輪すべてを縦軸に90度回転させて、平行移動できる“パラレルモーション”や、クルマを俯瞰して円形になるように4輪の角度を調整することで、その場で旋回ができる“ロータリーモーション”が可能となっている。

デモ走行では縦列駐車を想定したシーンで、FOMM TWOの開発者が「カニ走り」と表現した平行移動で駐車を成功させていた。

FOMM TWOの正面。登場したデモ走行車両は前列1席、後列2席という構造。

旋回中のFOMM TWO。平行移動や旋回操作はタッチパネルで行っている。旋回速度の調整も可能とのこと。

FOMM TWOの運転席まわり。画像=FOMM

今回出展されたFOMM TWOの名称には“コンセプト”が付いているが、量産は2026年を目標としており、本体価格は売り切りモデルで200万円以下になる予定だ。

■FOMM TWO Concept 諸元
サイズ:全長3395×全幅1475×全高1890(mm)
ホイールベース:2520(mm)
定員:4名
最高速度:時速100km
最小回転半径:1900mm
駆動方式:FWD

こちらは世界最小クラスの4人乗りEV「FOMM ONE」。

次代を担う起業家に知って欲しい、汎用型フレームがある!

このFOMM TWOに搭載された“4輪独立操舵”を実現させるには、一般的な形状のフレームではまず不可能だ。そこで、FOMMは自動車部品の製造・販売を行う「ユタカ技研」に協力してもらっている。ここからは、ユタカ技研が開発した汎用型フレームについて紹介しよう。

これから先、小型EVが普及して多様なモビリティが増えると、地域の特性に沿った小ロットでのクルマの生産が求められる時代になるかも知れない。そう考えたユタカ技研は、そんなベンチャー企業のために、金型などへの初期投資の負担を軽減し、コスト回収を手助けするために、自在に組み立て可能な汎用フレーム「M-BASE」を開発した。

こちらがFOMM TWOに使われているフレーム。FOMM TWOにはフロント、センター、リアの3つのフレームに分けて、複数の車格に対応できる「バリアブルEVプラットフォーム」が採用されている。

「M-BASE」は一人乗りからキッチンカーといった、様々なモビリティに合わせてフレームを組めることが最大の強み。画像=ユタカ技研

この「M-BASE」のスゴイところは、なんと言っても六角レンチ一本でフレームの組み立てが可能なところだ。接続は重ねた角パイプ同士の穴が空いたところに、特殊なピンを挿し込み、六角レンチで90度回転させるだけ。これで、ガッチリとフレームがロックされる仕組みとなっている。これにL・T・I・X型などのジョイントを組み合わせていけば、望む角度や形状にフレームを組み立てることができる。

設備や金型、溶接といったコストを削減し、プロトタイプや小ロット生産に向いているこの汎用フレームは、自分のアイデアを形にする最高の手助けになるだろう。このフレームの存在がもっと知られるようになれば、挑戦してみたいと考える起業家も増えるのではないだろうか。

フレーム同士を接続した状態。3つ並んだ楕円の穴に、ピンが差し込まれている。

楕円の穴に挿し込むピン。

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