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最終更新日:2023.11.02 公開日:2023.10.31

ホンダが”走る椅子”を開発! 次世代モビリティ 「UNI-ONE」はハンズフリーで移動できる夢の乗り物だった。

ジャパンモビリティーショー2023(旧東京モーターショー)で“白い椅子”のような謎の乗り物を見つけた。前かがみになれば前進、上半身を右に傾ければ右に、左に傾ければ左に旋回している。これはホンダが開発を進めている「UNI-ONE(ユニワン)」と呼ぶ、次世代モビリティなのだという。試乗してみると……これまでにはない直感的な操作性となんともいえない乗り心地に驚くことに。

文=KURU KURA編集部

それは「UNI-ONE」という乗りもの

ジャパンモビリティーショー 2023(東京モーターショー)のホンダブースを見て回っていた筆者は、人を乗せて前後左右に移動する「白い何か」を発見。しばらく様子を見ていると、どうやら体重を前にかければ前進し、右にかければ右に、左にかければ左に旋回、前後左右に体重をかけなければ停止することを理解できてきた。

この不思議な乗りものは「UNI-ONE」という、ホンダの次世代ハンズフリーモビリティだという。

ハンズフリーパーソナルモビリティ「UNI-ONE」。

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「UNI-ONE」はHonda Robotics(生活の中で人の役に立つことを目指すコンセプト)の「身体機能の拡張」に基づいて、身体の状態や能力に制約されない、新しいモビリティを生み出されたものだという。特長は、誰もが乗りやすいこと、移動時は立位に近い目線になること、着座で両手が使えること、さらに、日常になじむデザインだ。

誰もが乗りやすい

「UNI-ONE」を乗るのに年齢や性別に制限はない。高齢で足腰に不安がある、身体に障害を持っている、怪我を負っているなど、歩行に困難を抱えていても乗りこなせる。また、年齢に関係なく小さなこどもでも乗ることができる。実証実験では3歳のこどもでも乗りこなせたという。

立位と同じ目線

車いすをはじめとする着座型モビリティは、横に並んで歩く人(高い)とモビリティに乗って移動する人(低い)の目線も離れていた。「UNI-ONE」の上昇時の高さを立位に近付けることで、歩く人と乗る人の目線が近付き、コミュニケーションも取りやすくなる。

両手が使える

「UNI-ONE」はハンズフリーのため、モビリティに乗りながら、両手で何かを持ったり、膝に何かを置いたりできる。ホンダの担当者は、「UNI-ONE」に乗っているとき、膝の上にノートパソコンを置くのが癖になっていたとか。

日常になじむデザイン

日常になじむデザインを評価された「UNI-ONE」。近未来的なデザインと白と黒のシンプルなカラーリングは、商業施設、病院、公園など、どのような景観にも溶け込むだろう。

着座で移動する様子をみて「これは、次世代の車いすなのか?」と筆者は考えた。これに対し、ホンダの担当者は、何にも分類されない「UNI-ONEという乗りもの」だと説明する。

UNI-ONEは様々なシーンでの利用を想定している。(画像:UNI-ONE公式サイト)

「UNI-ONE」は様々な施設に設置し、歩行に自信のない、あるいは下肢に障害のある来訪者、または長時間の立ち仕事を余儀なくされるスタッフなど、幅広い利用者を対象に歩行の負担を軽減することを想定しているという。ホンダの担当者は、実用化されれば、ジャパンモビリティーショーのようなイベントでも活躍するのではないかという。

実際に乗ってみると……!?

興味津々の筆者は、次世代型パーソナルモビリティの試乗を実施している「Personal Mobility Ride」のブースに移動して「UNI-ONE」を試乗することに。

「UNI-ONE」は、着座する→座面が上昇する→体を傾けて移動する→背筋を伸ばして停止する仕組みになっている。

まずは「UNI-ONE」に着座。この時点では「硬くも柔らかくもなく、座りやすい」印象。次に、電源をオンにする。「UNI-ONE」はスマートフォンと連動しており、車体に取り付けてあるスマホの画面をスワイプすることで電源を入れられる。

座面の上昇後、恐る恐る前のめりになるとスウウ……と前進。シートベルトを装着しているが、発進時にバランスを崩すことはない。非常に安定している。徐々に、体重をかけて加速する。なるほど、体重のかけ方で加減速するようだ。感覚をつかめば速度の調整は難しくない。

ゆっくりと前進しながら体を左に傾ける。つられるように「UNI-ONE」は左に旋回。体勢を立て直し右に傾いてみれば、今度は右に旋回。そのまま試乗用のコーナーをまっすぐに進む。前進と旋回と停止を繰り返しながら「UNI-ONE」に慣れていく。

筆者の体幹がイマイチなのか、背筋を伸ばして停止しようとしたとき、前、左、右に、僅かに揺れていた。筆者の僅かな体の揺れを探ろうとしている感覚がする。全体的に安定した乗り心地だが、このときだけは、なんともいえない、ふわふわとしたとでもいうような乗り心地だった。

最後に大きく体を左に傾け、あえて無理な旋回をしてみた。すると、「UNI-ONE」の座面が急降下。強制的に停止した。安全装置の機能によるものだという。

 

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ホンダの担当者に質問したところ、現在は実用化に向けて取り組んでいる段階であり、販売は未定だという。もし、全国的に普及されれば、人々の移動は大きく変わるのではないか。そんな未来の夢を膨らませてくれる、これまでにないモビリティとの出会いだった。

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