国道9号「笠波トンネル」が10月22日に開通! 豪雪での通行止めを解消へ
山陰地方の幹線である国道9号。兵庫県北部を通る国道9号笠波峠(かさなみとうげ)では豪雪によりたびたび通行止めが発生していたが、笠波トンネルを含む延長2.4kmが10月22日に開通する。
国道9号 笠波峠除雪拡幅で起きていた問題とは?
「笠波峠除雪拡幅」は、1987年に事業化が決まり、1993年から着工された、兵庫県の美方郡香美町村岡区福岡~日影を結ぶ延長4.6kmの一般国道だ。4.6kmのうち、京都方面(但馬トンネル側)の1.5kmはすでに1998年~2000年に開通しており、今回の鳥取方面の2.4kmが開通することで、残りはあと0.7kmで整備が終わる予定だ。
この笠波峠除雪拡幅で問題となっていたのは、この区間では急勾配に加えて急カーブが連続している場所が多く、積雪があると車両がスタックしやすくなるということだ。
笠波峠周辺の但馬地域は豪雪地帯として知られており、2011~2015年の気象庁の統計データでは、日本海沿岸の降雪量は青森に次いで2番目に多く、札幌、山形、秋田、富山といった東北・北陸よりも多い降雪量が記録されている。
“拡幅除雪”を行う道路では、ロータリ除雪車や除雪ドーザーによって除雪して幅員を確保するが、除雪回数が増すにつれ、路側帯に雪が積もり幅員が狭くなるリスクがあり、但馬地域はそのような状況になりやすい。
国道9道は京都、兵庫、鳥取、島根、山口を跨ぎ、九州を結ぶ物流ルートとしての役割も大きく、大型車両もよく走行しているが、上記の理由から冬季は大型車両が立ち往生するリスクが増え、2008年以降にはスタックによる通行止めが7回(延べ22.2時間)発生している。
笠波トンネル開通でどのくらい事故は減る?
今回整備された2.4kmの区間内には8.0%の勾配を持つ笠波峠があり、視界が悪い坂道や急カーブが点在する難所とされていた。そこで、この峠に延長1.7kmの「笠波トンネル」を通すことで、坂道の勾配を2.3%にまで緩和させ、トンネル内は2車線通行で路肩を合わせて8.0mの幅員を確保している。
トンネル外の道路も広く整備され、これまでの幅員は車道と歩道を合わせて8.5mであったところを、整備後は路肩も合わせて13.0mまで拡げている。
冒頭で挙げた笠波峠除雪拡幅のうち、既に開通している1.5km区間では、開通する前後で事故平均件数は年間3.2件~1.6件※に減少したという。今回開通する区間においても、事故防止に大きく貢献してくれることだろう。
※開通前:1993~1997年の平均、開通後:2000~2015年の平均