9割が「路上駐車」で危険を体験。路上駐車をしてしまう理由とは?
「路上駐車」に関する意識調査が実施され、路上駐車が原因で危険を感じたことがある人が約9割いることが明らかになった。一体、どうして路上駐車をしてしまうのか。パーク24株式会社が発表した調査結果をもとに、理由についてまとめてみた。
9割が路上駐車で危険を感じたことがある
東京都を中心に駐車場サービスなどを展開しているパーク24株式会社が、「路上駐車」に関する意識調査の結果を発表した。調査によると、路上駐車が原因で危険を感じたことがある人が約9割もいるということが分かった。これだけ多くの人が危険を感じているのにも関わらず、路上駐車をしてしまうのはなぜなのだろうか。調査の結果では、その理由も明らかとなった。早速見てみよう。
まず、前述の通り、「路上駐車が原因で危険を感じた経験をしたか」という質問には、約9割の人が危険を感じたと回答している。驚くべきことに、同社がアンケートを開始した2013年以降、毎回約9割という結果が出ているのだという。この結果が大げさなものではないことは、警察庁が公表している「駐車対策の現状」からも窺えた。同資料によると、2020年には、駐車車両への衝突が原因の人身事故が640件発生しており、そのうち23件が死亡事故だった。このことから、路上駐車が交通渋滞や緊急車両の通行妨害の原因となっているだけでなく、死亡事故を引き起こすほどの著しい交通障害となっていることが分かる。
次に、「2年以内の路上駐車経験」についての質問では、「路上駐車をしたことがある」と答えた人は2022年で23%だった。これは、意識調査を開始した2013年からは22%減少している結果だ。とはいえ、約9割の人が、路上駐車が原因で危険を感じたことがあるのにも関わらず、依然として路上駐車がなくならないことの証明でもある。一体なぜ、路上駐車をしてしまうのだろうか。次の質問によってその理由が明らかとなっている。
「路上駐車をした理由」では、「駐車場にとめるほどの時間ではなかったから」が58%で最も多い理由だった。次に、「近くに駐車場がなかったから」25%、「交通量が少なかったから」6%、「駐車場が満車だったから」3%と続く。近くに駐車場がなかったことや満車だったことが理由であることは、とめたくてもとめられないという路外駐車施設の整備不十分が要因ともいえよう。
警察庁でも駐車秩序を確保するために、路上における短時間の駐車の需要が高いとされる道路の部分において、時間制限駐車区間規制の実施を検討する方針だという。
路上駐車は法律違反。違反点数と反則金の対象
駐車が禁止されている場所には、道交法第44条と第45条で規定されている「駐停車禁止区域」と「駐車禁止区域」がある。前者は駐車も停車も禁止されている場所で、後者は駐車のみが禁止されている場所のこと。これらの場所に駐停車すると違反行為となり、違反点数と反則金が科せられる。この場合、違反点数は2点~3点、反則金は普通車で1万円~1万8000円だ。
駐停車禁止区域と駐車禁止区域の具体的な場所については、以下の通りだ。
【駐停車禁止区域】
・駐停車禁止の標識や標示がある場所
・交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
・交差点の端または道路の曲がり角から5メートル以内の場所
・横断歩道または自転車帯の端からそれぞれ前後5メートル以内の場所
・安全地帯が設けられている道路の左側とその前後10メートル以内の場所
・バス、トロリーバス、路面電車の停留所を標示する標示柱又は標示板から10メートル以内の場所
・踏切内および踏切の側端から前後10メートル以内の場所
【駐車禁止区域】
・駐車禁止の標識や標示がある場所
・駐車場や車庫などの出入り口から3メートル以内の場所
・道路工事区域の側端から5メートル以内の場所
・消防用機械器具置き場もしくは消防用防火水槽の道路に接する出入り口から5メートル以内の場所
・消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置または消防用防火水槽そうの吸水口若しくは吸管投入孔から5メートル以内の場所
・火災報知器から1メートル以内の場所
ちなみに5分以内の貨物の積み卸しや、人の乗降のための停止は停車となり、駐車にあたらないと規定されている。また、駐車および駐停車禁止の道路標識がある場合でも、指定の時間外であれば違反の対象とならないケースもある。道路標識の赤い円の上部に「8-20」の表示があれば、8時から20時までが駐車禁止の対象で、それ以外の時間においては禁止とはならない。また、指定時間において「60分」以内であれば駐車可能な時間制限駐車区間も存在するので、道路標識をしっかり確認して利用するようにしよう。
路上駐車は、信号無視やスピード違反などの違反行為に比べると、事故に直結するイメージにつながりにくいのかもしれない。しかし、路上駐車は道交法違反であること、また死亡事故にもつながりかねない危険性をはらんでいることを今一度しっかりと認識して、一人ひとりが路上駐車をしないように心がけていくことが大切だといえよう。