琵琶湖大橋の無料化が5年先送りに。追加工事などで事業費が増加
琵琶湖にかかる琵琶湖大橋有料道路で、通行料無料化の予定が約5年延長され、新たに2034年10月から無料化の予定となった。原因は、橋の耐震対策などの工事費が増大したためという。そこで、どのような工事が新たに必要となったのかを調べてみた。
追加工事等により、事業費が84億円から144億円へ増加
琵琶湖大橋有料道路は、滋賀県の中央部を占める日本一広い湖、琵琶湖に掛かる長さ約1400mの巨大な橋だ。同県の東西をつなぐ橋として1964年9月に開通し、その後の交通量の増加にともない、1994年7月には従来の橋(旧橋)と平行して新しい橋(新橋)もかけられた。橋の下を船舶が航行できるよう、最も高い場所では水面から約26mの高さがある。
また、同橋はほぼ全線が緊急輸送道路に指定され、災害時の避難路や物資輸送路としても重要な機能を担っている。このため、同橋を管理する滋賀県道路公社では、災害に備えた対策を進めており、旧橋・新橋の落橋防止システム設置や取付道路の4車線化などを行ってきた。まずは、2024年中に大津市側の4車線化工事を完成する予定で、守山市側も2028年度末までには完成を目指すという。
琵琶湖大橋有料道路 第6期事業計画について 出典=滋賀県道路公社
そして今回、同橋の対策事業を進めるにあたり工事の精査を行ったところ、橋梁計画の見直しや追加工事などが必要であることが明らかとなった。これにより事業費は、当初の84億円から60億円増加し計144億円が必要となり、従来2029年8月5日以降に予定されていた通行料の無料化は、約5年後の2034年10月22日まで先送りされることとなった。
同社により公表された、具体的な工事の変更、追加内容については以下の通りだ。
【琵琶湖大橋有料道路における工事計画の変更・追加概要】
<橋梁(新宿橋)の計画変更>
橋梁上の見通しを確保するため、琵琶湖大橋の取り付け道路のうち、大津市側に位置する新宿橋部分の川を切り下げ、縦断勾配を変更。このために、橋長を変更するほか、河川の掘削や護岸工などを行う。
<土質試験結果による舗装工等変更>
土質試験の結果、現地盤が軟弱であったことから現道部の舗装構成を見直し。路床盛土工を増設するとともに、構造物撤去工を追加する。
<琵琶湖大橋下部工の保護PC板更新>
風浪(なみ)による橋脚基礎部を覆うPC板(強化したコンクリート板)の破損により、橋脚下面への船舶の入り込みによる事故や杭への衝突を防ぐための保護PC板更新工事を行う。
以上が新たな変更箇所だ。災害時にも機能する安全な橋となることはもちろん、これ以上の延長なく無料化されることも期待したい。