ガソリン価格の地域差に驚愕! 最高値と最安値の都道府県の差はなんと13.6円/L
資源エネルギー庁は、2023年8月16日、ガソリンの店頭現金小売価格を発表した。8月14日時点のレギュラーガソリンの価格は全国平均で181.9円/L。高値であることはもちろんだが、都道府県による差が大きいのに驚いた。同じガソリンなのに、なぜ地域によってこれほど差がでるのだろうか。
目次
ガソリン価格は都道府県でこんなに違う
住んでいるエリア内だけで運転していると、ガソリンの値段が都道府県で大きく異なることには気づかないかもしれない。ところが、ガソリンの値段は都道府県で大きく異なるのである。
資源エネルギー庁が、ガソリン店頭現金小売価格に関する最新の資料(2023年8月14日時点)を公表したので、この内容をもとに、地域や都道府県ごとにガソリンの値段の実態をみてみよう。
【地域別】ガソリン価格の最高値は沖縄、最安値は東北
地域別でみたガソリン価格の最高値は沖縄で187円/L。最安値は東北で180円/Lであった。ちなみに、沖縄地域というのは沖縄県のみだが、都道府県別にみた場合は、沖縄県が最高値というわけではない。
地域別を高値から順にみていくと、沖縄187円/L、九州184円/L、関東183円/L、四国182円、北海道・中部・近畿・中国は181円/L、最安値は東北で180円/Lとなっている。沖縄は、ガソリン税の軽減措置を受けているにも関わらず、二番目に高い九州と比較しても3円も高いのだ。
【都道府県別】ガソリンの最高値は長野、最安値は岩手
次に、都道府県別にガソリン価格ワースト10と、トップ10を並べてみた。皆さんのお住まいの都道府県の価格はどうだろうか? 遠く離れた都道府県と差があるだけでなく、お隣の都道府県と大きな差があると、「どうして?」と思うかもしれない。
最高値は長野の190.4円/Lだ。最高値から順に、長野190.4円/L、鹿児島187.8円/L、長崎187.4円/L、沖縄187.2円/L、山形187.1円/L、大分185.9円/L、香川185.6円/L、鳥取184.7円/L、石川184.6円/L、群馬184.3円/Lとなっている。最高値の長野と二番目に高い鹿児島で2.6円の差があり、長野が高いのが目につく結果だ。
一方、長野の隣接県をみてみると、どこも高値のワースト10には入っていない。群馬は184.3円/L、富山は183.3円/L、山梨は182.8円/L、静岡は181.7円/L、岐阜は181.5円/L、新潟は179.2円/L、埼玉178.8円/L、愛知は178.3円/Lと、長野と愛知は隣接県でありながら12.1円/Lもの差がある。
では、ガソリン価格が安いのはどこの都道府県だろうか。最安値となったのは岩手176.8円/Lだ。最高値の長野と比較すると、その差はなんと13.6円/L。最安値から並べると岩手176.8円/L、青森177.4円/L、兵庫178.1円/L、千葉178.2円/L、愛知178.3円/L、熊本178.4円/L、徳島178.4円/L、和歌山178.5円/L、岡山178.8円/L、埼玉178.8円/Lとなる。
地域別のガソリン価格が安い東北は、当然ながら都道府県でみても多くが安いのだが、山形だけが少し高い。
首都圏は、東京183.8円/L、神奈川184.0円/L、埼玉178.8円/L、千葉178.2円/Lで、東京と神奈川は全国の平均よりいくらか高い傾向だ。
ガソリン価格の地域差の理由は?
都道府県のガソリン販売価格の地域差の理由について、資源エネルギー庁に問い合わせてみたところ、そもそも供給元の精油所によって価格が異なる他に、概ね次の3つの理由があるという。
- ガソリンの輸送コスト
- ガソリンの価格競争
- ガソリンの販売量
同庁によると、ガソリンの輸送コストが販売価格に直結しやすいという。ガソリンは沿岸部の製油所から各地のガソリンスタンド、または油槽所(ガソリンをストックする施設)に移送される。製油所が遠隔地だと、長距離を輸送するためコストは跳ね上がる。
さらに、輸送コストを大きく左右するのが移送モードだ。
- タンクローリー
- 内航船→タンクローリー
- 貨物列車→タンクローリー
このうち、3.の貨物列車→タンクローリーは最も輸送コストがかかるという。ガソリンの販売価格の最高値となった長野は、製油所の遠隔地であるうえ、貨物列車→タンクローリーで移送しているという。
次に、大きな原因となるのが価格競争だ。たとえば、ガソリンスタンドの競合エリアでは、A店が最安値の○○円にしたら、B店、C店もそれに続いて○○円に値下げする。正しくはせざるを得ない。多くの顧客は「1円でも安い」ガソリンスタンドを選ぶからだ。結果、なし崩し的に他店も価格を下げなければならず、価格競争が勃発するという。
さらに、ガソリンスタンド各店舗の「販売量」によって変わることも考え得る。都市部のように人口の集中する地域では、ガソリンの需要も高いため、各店舗の販売量も増える。しかし、山間部の過疎地では、ガソリンスタンドの店舗数も販売量も限られる。そこで、店舗の利益率を上げるためにガソリンの価格を高値に設定せざるを得ないという。
ガソリン価格から見える地域の諸事情
資源エネルギー庁によると、さらに地域ごとの事情もあるという。
たとえば、積雪地と非積雪地のガソリンスタンドにおける収益率の差だ。積雪地のガソリンスタンドは、冬期間の灯油の販売とタイヤ交換サービスで収入を得られるため、その分、ガソリンを安価に売ることが可能な場合もあるという。たしかに、積雪地のドライバーは、冬タイヤの購入や夏タイヤと冬タイヤの交換を、「いつものガソリンスタンド」で行うことも多い。
ガソリンの販売価格の地域差は、輸送コスト、価格競争、販売量、さらに地域の事情と、様々な要因で生じるもので、資源エネルギー庁も、何が原因とは言い切れない複雑な背景があるのだと説明する。
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