親に車を買ってもらうと贈与税がかかる?~弁護士に訊いてみた~【クルマと法律vol.06】
交通問題やクルマに関する相談について、法律の見地から分かりやすく解説する連載「クルマと法律」。今回は、クルマの贈与やその税率について、弁護士・島田浩樹先生に話を聞きました。
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「親にクルマを買ってもらったら贈与税はかかりますか? また、それを回避する方法はありますか?」
クルマを貰ったら贈与税がかかる?
相談者:社会人になったお祝いに親がクルマを買ってくれるそうです!
島田弁護士:一人暮らしを始めればお金もかかるし、親元から通うにしても働き始めはいろいろとお金がかかるので、ありがたいお話ですね。
相談者:とても嬉しいのですが、このような場合、贈与税がかかると聞きました。本当ですか?
島田弁護士:贈与税は、個人から個人に財産が贈与された場合に、財産を取得した人にかかる税金です(相続税法1条の4)。親にクルマを買ってもらう場合、通常は購入代金を支払ってもらうことになるので、その代金があなたに贈与されたという扱いになります。
相談者:あげた側じゃなくて、貰った側にかかるのですね。何か貰った場合には、必ず贈与税を払わなければならないのですか?
島田弁護士:その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の価額の合計が110万円を超えた場合に贈与税がかかります(相続税法21条の5、租税特別措置法70条の2の4)。
相談者:つまり、110万円以下のクルマを買ってもらえば、贈与税はかからないのですね。
島田弁護士:その通りです。他にも、150万円のクルマを買い、購入代金のうち110万円を親御さんに払ってもらい、残りの40万円は自分で払うという場合でも贈与税はかかりません。ただし、同じ年に、他にも贈与を受けている場合、その価額とクルマの合計額が110万円を超えると贈与税がかかります。
贈与税の税率は何%?
相談者:110万円を超えるクルマを買ってもらった場合、贈与税はいくらかかるのでしょうか。
島田弁護士:例えば、親に300万円のクルマを買ってもらった場合、購入代金から110万円を控除し、残額の190万円について贈与税がかかります。この場合の税率は10%で、贈与税は19万円です。
相談者:贈与税の税率は、常に10%なのですか?
島田弁護士:贈与税の税率は、贈与される財産の価額や、直系尊属(父母や祖父母等)からの贈与であるか否か、財産を取得する人が成人かどうかによって変わります(相続税法21条の7、租税特別措置法70条の2の5)。贈与される財産の価額が高いほど税率は上昇し、最高税率は55%です。直系尊属から成人への贈与を「特例贈与財産」、それ以外を「一般贈与財産」と呼び、それぞれ「特例税率」と「一般税率」が適用されます。なお、前者の方が税率の上昇は緩やかです。
相談者:では、父と母から100万円ずつ贈与された場合、それぞれ110万円未満ですから、贈与税はかからないのでしょうか?
島田弁護士:複数の人から贈与された場合でも、その合計が110万円を超えるか否かで判断されます(相続税法21条の2)。この場合、ご両親から贈与された金額の合計が200万円となるので、贈与税がかかります。
相談者:別々の人から贈与されても、その合計額で決まるのですね! 親には、110万円以下のクルマを買ってもらうことにします。
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