ゾーン30の連携施策「ゾーン30プラス」とは?
ゾーン30は、交通量の多い幹線道路に囲まれた住宅街を抜け道にして先を急ぐような車などによって、生活道路の安全が脅かされるといった問題を解消するため、地域全体に時速30kmの速度規制を実施する交通安全対策だ。このゾーン30の安全性を高めるために、2021年8月から物理的デバイスを組み合わせた新しい交通安全対策「ゾーン30プラス」が推進されることになった。その物理的デバイスの内容を紹介する。
生活道路への交通安全対策「ゾーン30」
ゾーン30は、2011年9月から始まった生活道路における交通安全対策の1つだ。従来の交通安全対策は、道路や交差点の問題解消等に主眼を置いて行われてきたが、ゾーン30は地域(ゾーン)の問題解消として行われた対策である。
その内容は地域内の速度規制を時速30kmにする。加えてカラー舗装された歩行者用の路側帯や、交差点にクロスマークを設置する等で、ドライバーに歩行者の安全を意識させるものとなっている。
速度規制を時速30kmとした理由は、歩行者と車両の交通事故で車両の速度が時速30kmを超えると致死率が急激に高くなるから。時速30km以下の致死率は0.9%なのに対して、時速40km以下は2.7%という統計を警察庁が発表している。
物理的デバイスを活用する「ゾーン30プラス」
2021年8月に国土交通省道路局が警察庁交通局と連携しながら、ゾーン30区域の道路により交通安全を高める物理デバイスを設置する対策「ゾーン30プラス」を推進すると発表した。この物理的デバイスとは、従来のゾーン30でも設置されていたポールで路側帯を拡幅して車道の幅を狭めることや、ポールなどで車道をクランク、スラロームに変更すること等も含まれている。
そして今回からハンプ(段差)やスムーズ横断歩道、ライジングボラード等を積極的に活用することも加わった。これらによってゾーン30内で、車がスピードを控える状況を作り出そうとしている。
この物理的デバイスの1つであるライジングボラードとは、道路(地面)に収納できるポールのこと。例えば、子供たちの通園・通学時間や、買い物客でにぎわう等といったように、進入を抑制したい時間帯だけポールが地上に露出し、車の進入を禁止できるシステムだ。
動画:ライジングボラード
2つ目のバンプは、車道に高低差をつける物理的デバイスになる。このバンプを時速30km以上で通過すると、車が上下に大きく揺れるためドライバーがスピードを控えるというものだ。ゾーン30の出入り口や、ゾーン30内の交差点手前などに設置する予定となっている。
動画:【生活道路】いのちとくらしをまもるハンプ
3つ目のスムーズ横断歩道は、バンプと組み合わせたものだ。横断歩道の高さを車道より一段高くするハンプを設けることで、車、バイクなどが横断歩道の手前から速度を控えるようになる。速度を控えることで、横断歩道を渡ろうとしている歩行者に気づきやすくなり、横断を妨害するような一時停止の不履行が減少するとしている。
動画:スムーズ横断歩道実証実験紹介
これらゾーン30プラスの物理的デバイスが住宅街の生活道路に設置されるのは、人優先の安全・安心な通行空間を整備するためである。その裏には通学中の児童や、課外活動中の園児たちが被害者となる交通事故が発生しているからだ。そんな事故を未然に防ぐため、現在、物理的デバイスを活用したゾーン30プラスの整備が進められている。
ゾーン30プラスの物理的デバイス、
ゾーン30の道路ってどうなっているの?
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