マクラーレン日産、来季のフォーミュラEで誕生
2022年6月23日に日産は、フォーミュラE選手権用のパワートレインを、2022-2023年に開催されるシーズン9からマクラーレン・レーシングへ供給することを発表した。
日産がマクラーレンにパワートレインを供給
日産はABBA FIAフォーミュラE選手権(以下フォーミュラE)におけるマクラーレン・レーシング(以下マクラーレン)との技術パートナーシップを、2022年6月23日に発表した。技術パートナーシップの内容は、フォーミュラE選手権のシーズン9(2022-2023年)から参戦するマクラーレンへ、日産製パワートレイン(電気モーターなど)を供給するというものだ。
日産はフォーミュラEのシーズン5(2018-2019年)から参戦を開始。F1でのチャンピオン経験を持つマクラーレンは、2022年シーズン9が初参戦の年になる。そのチーム体制は、シーズン8で撤退するメルセデスEQを買収するので、すでにフォーミュラEの経験が豊富なスタッフで構成されることになる。
シャシーはワンメイクのフォーミュラE
創設時のフォーミュラEは、全チームが同じシャシーとモーターなどを使って参戦するワンメイクのレースだった。しかし2年目からは、モーター、インバーター、ギアボックス、冷却システムなどの独自開発が認められ、各チームがここでライバルに差をつけるべく、現在まで研究と開発を重ねている。
新規参戦のマクラーレンもワンメイクのシャシーを使用するのだが、実績のある日産製パワートレインを搭載することになるので、デビューイヤーながらマクラーレンの一挙手一投足を他のチームたちは刮目するだろう。さらにフォーミュラEは来期のシーズン9からは新しいシャシー「Gen3」が導入されるという点にも注目だ。
新しいシャシーGen3
2018年から2021年シーズンまで使用されてきたシャシーは「Gen2」と呼ばれ、スパーク・レーシング・テクノロジー(以下スパーク)とダラーラが共同開発したものだ。スパークでは「Spark SRT05e」という車名が与えられている。Gen2のボディフォルムは、前後タイヤを覆うボディカウルを装着しているためF1やスーパーフォーミュラなどといった他のフォーミュラマシンとは異なるデザインフォルムをしている。個人的にはフォーミュラカーというよりWEC(世界耐久選手権)のハイパーカーに近いフォルムだと思う。
対して次シーズンから導入されるGen3はフォーミュラカーらしくタイヤにカウルがないデザインだ。しかし独創的なデザインは健在だ。その一例がボディは後部。まるでジェット戦闘機のような、車体の後ろにいくほど幅が広がるデルタ型なのだ。F1やスーパーフォーミュラはボディ後部を絞り込むコークボトルラインと呼ばれるデザインなので、フォーミュラEのGen3シャシーを斜め上から眺めると、車というよりジェット戦闘機のようなフォルムに見える。
このようにシャシーが刷新される次シーズンのフォーミュラEは、ラップタイムなどのパフォーマンスが大きく変化するかもしれない。そんな変革期に日産とマクラーレンがどのような戦績を残すかに注目しよう。