EV普及は充電インフラから。テラモーターズが無料提供する理由
EV用充電インフラ「Terra Charge」の事業を手掛けるテラモーターズは、分譲マンション向けをはじめ、商業施設、物流施設、コインパーキング、ゴルフ場などに対しても、それぞれ先着100基の無料提供を行うという。その理由は?
減少する公共EV充電設備を無料提供へ!
EV車の普及に向けては、EV充電設備の充実が大きな課題だ。しかし、充電施設の運営が商業ベースにはなっていないことが多く、維持管理費の負担から、撤去する商業施設が増加している。その結果、2021年に日本国内における公共用EV充電設備は初の減少に転じてしまった。
そこでテラモーターズは、デパートやショッピングモールなどの商業施設の負担を軽減するために、先着100基のTerra Charge(※1)を無料で提供することにしたという。
(※1)Terra Chargeは、テラモーターズが提供する電動自動車向け充電インフラのこと。
さまざまな施設へEV充電設備を無料提供。
テラモーターズは2022年4月にTerra Charge事業をスタート。分譲マンションへの導入が次々と決まっているが、6月以降はさまざまな施設へのEV充電設備を無料提供する予定だ。それぞれの施設に対して、次のようなメリットを訴求して設置を促すという。ユーザーから見れば、確かにこれらの施設は、充電に時間がかかるEVのデメリットを相殺する効果がありそうだ。
■自治体施設に先着100か所
全国の自治体では、これまでにもEV充電設備が導入されてきたが、故障や老朽化により継続利用が困難となり、EV充電設備が廃止・撤去となってしまうことが増えている。そこで、これから地域にとって重要なインフラとなるEV充電設備の入れ替え・増設・新規設置を進めることで、自治体が抱えるインフラ不足への課題解決と、地域住民への価値提供の実現を目指す。
■ホームセンターに先着100店舗
多くのホームセンターは敷地面積が広く、EV充電インフラは導入費用や管理工数の負担が大きいという課題がある。しかし、ホームセンターの利用者は自動車で来店することが多く、滞在時間も長くなる傾向があるため、EV充電をしながら間に買い物ができるという連鎖的な効果が見込める。
■パチンコ店に先着100基
パチンコ遊戯者の58.2%が平日に1日3時間以上遊技しており、そのうち43.9%は平日に1日5時間以上(※2)遊技している。長時間の駐車はEVの充電に適しており、自宅に充電インフラが無いとしても、パチンコ店にEV充電インフラがあれば、充電のための来店を促すことも可能。
(※2)参照:一般社団法人日本遊技関連事業協会「遊技業界データブック2021」より
日本全国の駐車場(月極駐車場や住宅の車庫などを除く)のうち、コインパーキングが占める車室数は27%(※3)とされている。そんなコインパーキングにEV充電インフラを整備することは施設自体の価値向上、差別化戦略になる。
(※3)参照:駐車場便覧 編集委員会「駐車場便覧2020」より
■ゴルフ場に先着100基
大きなゴルフセットが必要なゴルフの移動手段として自動車が選ばれやすい。プレー時間も長く充電時間も十分に確保でき、同時に復路での航続距離への不安も解消できる。また、ゴルフは自然と協調するスポーツであるため、ゴルフ場の運営会社や利用者の環境意識が高く、脱炭素に向けたEVの利用に積極的であることも特徴。
■物流施設に先着100基
日本国内の二酸化炭素の排出量のうち、18.6%を運輸部門が占めている(※4)。そうした背景から、物流業界では二酸化炭素排出量の削減やSDGs、グリーン経営認証取得に向けた取り組みが注目されており、その一環としてEVトラックの導入検討が進んでいる。しかし、EVトラックを導入するにはEV充電設備も必要だ。そこで、EV充電設備の無料提供を行なうことで、日本の二酸化炭素排出量削減への影響が大きい物流業界のEV導入に寄与することを目指すとしている。
(※4)参照:国土交通省「運輸部門における二酸化炭素排出量」より