雨の夜、歩行者が消える「蒸発現象」!?に要注意
夜間、雨が降っているときに、対向車と自車のヘッドライトが交差すると、道路を横断する歩行者などが突如として消えることがある。「蒸発現象」とも呼ばれるこの現象は、ドライバーにとっては要注意だ。蒸発現象をはじめ、雨の日に注意が必要なポイントを紹介する。
雨の夜に人が「消える」蒸発現象とは?
夜間、対向車と自社のヘッドライトの間に入ったものが見えなくなったり、見えづらくなることがある。蒸発現象とも呼ばれるこの現象は、明るい光による幻惑や、乱反射した光が原因とされ、特に雨の日には起こりやすい。いるはずの歩行者が消えたように感じたり、突然現れたりするため、ドライバーにとっては要注意の現象である。
また雨の夜間は、ヘッドライトで車線や停止線、横断歩道などといった道路表面に塗装された道路標示が見づらいという経験をした人は多いだろう。雨によって道路が濡れることで、ヘッドライトが乱反射しやすくなり、見えづらくなっているのだ。自車のヘッドライトだけでも道路標示が見えにくいところへ、対向車が近づいてくれば、さらに見えづらくなる。
ちなみに近年の道路標示では、雨の夜間での視認性を改善する取り組みも行われている。その一例としては、道路標示の中に反射率の高いガラス材を混入させ、さらに雨の水膜が道路標示を覆わないように凹凸や溝などで排水機能を持たせることで、ガラス材の反射率を下げないようにするなどが行われている。
雨の夜間運転で気を付けるポイント
雨の夜間運転は、統計においても事故発生の確率が高くなっている。さらに雨天の夜間運転で発生した人対車両の事故において、約90%の原因が「歩行者、自転車に気付くのが遅れた」という統計も出ている。これは蒸発現象で歩行者が見えなくなったケースが考えられる他、車線や停止線などの道路標示が見えづらく、それを確認することに気を取られて、歩行者の発見が遅れたというケースもあるそうだ。
このような事例からも、もし雨天の夜間運転で道路標示が見えづらいと感じたら「蒸発現象が起きているかもしれない」と認識し、歩行者や自転車がいる「かも」と危険予測を行い、スピードを抑えるなどの安全運転を心がけたい。
日ごろの手入れ、運転中のエアコンで視界を確保
また、ワイパーの作動状態の確認やウインドウの油膜を拭き取るといった、雨でも視界を悪化させないための日ごろからの手入れも重要だ。梅雨などの雨が降る時期は、手入れの頻度を上げておこう。
さらに雨が降れば、濡れた傘や靴を車内に入れることが増え、車内の湿度は高くなりやすい。そのような室内では、ウインドウの内側が曇る可能性も高くなる。曇りを防ぐには、ウインドウ内側の汚れを拭き取り、エアコンを曇りとりのモードにするなどで対処しよう。
そして激しい雨が降る夜間に賢明な選択は、不急不要でなければ運転を控えることだろう。それでも運転する必要があるときは、いつもよりリスクが高いことを念頭に置いた運転を心がけよう。