懐かしい & 新しい! クルマ運転のあれこれを昭和と令和で比較! 〜運転しぐさ編〜
クルマは昔に比べて非常に便利な機能が取り入れられ、どんどん進化していますよね。ドライバーは機能や装備を活用するため、しぐさや操作方法を当たり前のように覚えます。
しかし時代と共に消えた装備のしぐさは、新しい世代のドライバーには馴染みのない、不思議な行動に映ることでしょう。
ここでは昭和時代には当たり前だったしぐさと、同じ操作をするための令和時代のしぐさを比較してみました。前編と後編の2回に分けて紹介します。
記事提供元/カエライフ
その1: ついついやっちゃう! 車庫入れのしぐさを比較!
-昭和編- 「バックするとき、助手席に手をまわす」
クルマの車庫入れ。バックミラーやサイドミラー、目視による後方や周囲の確認が重要となりますが、カメラやセンサーがあまり一般的でなかった昭和では目視での確認が非常に重要となっていました。
バブル景気から昭和の終わりにかけ、助手席のヘッドレストに左手を回し、大きく振り返ってリアウィンドウごしに後方を確認するやり方は、「助手席に乗った異性をときめかせるスマートな車庫入れしぐさ」と、もてはやされたものでした。
-昭和編- 「バックするとき、ドアのウィンドウをあける」
リアウィンドウごしでは後方の視界が悪いクルマに乗っている、あるいは身体が硬くて振りかえるのがつらい人は、先に記した「助手席に手を回す」とは別のしぐさを用いました。
サイドウィンドウをフルオープン、あるいはドアを少しだけあけて頭を出して後方を確認するといった方法です。
もしかしたらスーパーカーブーム世代の人は、ランボルギーニカウンタックの「カウンタックリバース(シザーズドアを跳ね上げて大きく身を乗り出し、クラッチの操作のみでバック操作を行う)」が憧れの車庫入れしぐさかもしれませんね。
-令和編- 「バックモニターで悪天候時も安全に後方確認」
時代は平成に入り、カーナビゲーションシステム(カーナビ)が急速に普及。かつて後付けだったカーナビのモニターも、標準でインストルメントパネル(インパネ)が内装されるようになりました。
バック時にはカーナビから切り替わり、後方カメラの映像を表示するバックモニターが普及。令和に入った現代では後方映像にくわえ、俯瞰視点の映像を表示するなど、より車庫入れがしやすくなるよう進化をとげています。
このように便利な運転サポートアイテムがたくさん登場していますが、やっぱりバック時は目視での確認もお忘れなく!
その2: 意外と違いが出る! 車内しぐさを比較!
-昭和編- 「土足禁止! 乗車の際は車内用の靴に履き替える」
今ではすっかり身近となったクルマですが、昭和時代には「一家に一台」がキャッチコピーになる、まだまだ憧れの存在。購入したあとも、とても大切に扱われました。
いつまでもきれいな状態を維持するため、乗車の際は靴(外履き)を脱ぎ、車内用の靴(内履き)に履き替える「土禁(土足禁止)」仕様車も多く見られました。今でも当時の名残りで、後部座席は土足厳禁にしている人もいるのではないでしょうか?
当時、汚れを防ぐためのゴムマットも存在していましたが、業務用感があっていまひとつ。令和では、デザイン性と機能を両立し、フロアマットの上にも敷けるオールシーズンマットなどと呼ばれるラバー製のフロアマットが登場していて、土足でも快適に過ごせるクルマが増えていますね。
-昭和編- 「吸い殻入れやシガーライターで車内喫煙」
昭和40年の男性喫煙率は80%以上(※)! 喫煙を「大人のたしなみ」とみる風潮がありました。今でこそ多くの地域で路上喫煙が条例違反となっていますが、当時はほとんどの場所で喫煙が認められていました。
もちろん車内も同様で、多くのドライバーが運転中の喫煙をたしなんでいました。メーカーも喫煙を前提にインテリアを設計しており、吸い殻入れやシガーライターを標準で装備。吸い殻入れの使い勝手の良さが、カタログでのアピールポイントになるほど重視されていました。
いっぱいになった吸い殻をガソリンスタンドでよく捨ててもらっていた、なんていう思い出がよみがえる人も多いのではないでしょうか?
※ 出典:最新たばこ情報|統計情報|成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)
-令和編- 「眠くなったらガムでリフレッシュ!」
平成にはいると喫煙者の割合は徐々に減少。吸い殻入れやシガーライターのないクルマが登場し始めます。シガーソケットはポータブルナビやドライブレコーダーの電源ソケットとして、あるいはアイテムを飾るための土台として使用されるようになりました。
令和となった現在、吸い殻入れやシガーライターのないクルマがほとんどで、車内での喫煙を希望するドライバーは別途、吸い殻入れを購入します。すでに、電源ソケットのもともとの用途や、シガーライターの使い方を知らない方も多いそうです。
昭和時代、タバコは運転中の口さみしさをおさえる、あるいは眠気覚ましの役割も担っていました。しかし令和の今、その役割を担うのは、お菓子や刺激の強いガムが主流。車内に常備するのもタバコからお菓子やガムに取って代わりました。
その3: 思わず共感! 走行中の運転しぐさを比較!
-昭和編- 「手動でライト点灯」
昭和時代、ヘッドライトやスモールライト、フォグランプの点消灯や切り替えは手動で操作するものでした。短いトンネルが連続する道路を走行する場合、頻繁にライトのスイッチをオンとオフを繰り返すため、同乗者からはとてもせわしなく見えます。
しかし運転に慣れているドライバーとって頻繁なスイッチのオンオフはアクセントのようなもの。意外に楽しんで操作していたのではないでしょうか。
現在はオートライトが標準装備のクルマが多いので、オンオフの動作をするというドライバーの負担も減りました。でも、たまにレンタカーで遭遇すると焦りますよね。
-昭和編- 「カセットテープの入れ替え」
ドライブ中、カーオーディオでミュージックを流すという楽しみかたに、昭和も令和も変わりはありません。違いはミュージックを録音したメディアです。
昭和の半ば(1970年代)、カーオーディオの主流は「ハチトラ」こと8トラック。家庭での録音は一般的ではなく、録音済み8トラックをそのまま再生し、ミュージックを楽しみました。
昭和の終わり頃(1980年代)より、録音メディアの主役はカセットテープに移行します。録音済みカセットテープも売られていましたが、ほとんどのユーザーは何も録音されていないカセットテープを購入し、自宅でアナログレコードやFMラジオから曲を録音。手間ひまを惜しまない人は、好きなミュージックだけを録音し、オリジナル編曲のカセットテープを作りました。
カーオーディオ(カセットデッキ)で再生中、別のカセットテープを聞きたくなったら、手動で入れ替える必要がありました。一度、車内に持ち込んだカセットテープを持ち出すことはめったにないため、グローブボックスや後部座席がカセットテープだらけになっている人も多くいましたね。夏場、カセットテープをダッシュボード上に放置したため変形し、使い物にならなくなることも。
昭和の終わりにCDが登場。これまた聞き終わったら次のCDを入れ替えなければならなかったので、6~8枚のCDをあらかじめ入れておいて選べるCDチェンジャーも発売されました。
そのうち「録音機能」を持つナビが増えてきたため、平成の半ばころにはCDチェンジャーもその歴史を終えていきました…
-令和編- 「スマホの音声入力で曲変更」
令和となった現在、車内で流すミュージックの主役は、やっぱりスマホ。曲はスマホでダウンロード。カーオーディオとBluetoothでペアリングをすることで、簡単に車内で流すことができます。
スマホの設定によりペアリングも再生も音声入力で行えるため、操作すら必要ありません。
走行中にスマホを操作するのは違反ですが、音声入力ならば問題ありません。令和のビジネスマンは、電話の受け答えはおろか、メールの返信も音声入力で行うそうです。
昭和しぐさと令和しぐさの比較はいかがだったでしょうか。後編では昭和から令和にかけて別物のように進化した装備と、装備に関わるしぐさの比較を紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください!
文/糸井 賢一
イラスト/柏原 昇店
※この記事は、カエライフに2022年2月22日に掲載されたものです。