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最終更新日:2022.10.19 公開日:2022.10.19

ソニーとホンダのEV会社がついに始動。第一弾は2025年にデビュー。日本ではいつ買える?

2020年にソニーがEVコンセプト「VISION-S」を発表してから2年。その姿がいよいよ具体化されることになった。これまで水面下で進められていたソニーとホンダによる合弁会社「ソニー・ホンダモビリティ」が、10月13日、設立されたことがついに発表されたのだ。両社の合弁会社による具体的な動きが示されたのは今回が初めてとなる。

文=会田 肇 写真=SONY

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ソニー・ホンダモビリティが誕生

「ソニー・ホンダモビリティ」設立発表会で握手を交わす同社代表取締役 会長 兼 CEOの水野泰秀氏(右)と代表取締役 社長 兼 COOの川西泉氏。

 発表会が開かれたのは、東京港区にある東京ポートシティ竹芝ポートホール。会場には30分ほど前に入ったが、すでに会場は多くの報道関係者であふれていた。特に会場の後ろで構えるずらりと並んだTVカメラの列は久しぶりに見る光景だった。担当者に聞くと、東京にあるキー局はすべて参加していたという。もちろん会場の記者席はほぼ満席。発表会はオンラインでも開かれており、これらは今回の発表に対する関心度の高さを示していたと言っていいだろう。

 振り返れば2022年は、ソニーが提案していたEVコンセプトについて年初から大きな動きを見せていた。1月に米国ラスベガスで開催された「CES2022」において、ソニーの吉田憲一郎CEOは「22年春に新会社『ソニーモビリティ』を設立し、ソニーとしてEVの市場投入を本格的に検討していく」と宣言。それまで一貫して販売について言及してこなかったソニーが一転、EV事業への検討をしていることを発表したのだ。

ソニーがEVコンセプトとして発表している「VISION-S01」(右)と、SUVの「VISION-S02」。

2022年1月、2台のEVコンセプト「VISION-S」を前に、「ソニーとしてEVの市場投入を本格的に検討していく」と宣言したソニーの吉田憲一郎CEO。

 しかし、驚きはこれで済まなかった。実はこの後でソニーがどうEV事業を進めるのか、取材を進めていたのだが、1月、2月とソニーからのアナウンスはまったくなし。さまざまな噂は先行したものの、吉田CEOがCES2022でEV事業の検討に入ったことを発表していた割には、具体的な動きはまったく見えなくなっていたのだ。

 そんな中、3月になって事態は急展開を見せた。ソニーとホンダが「モビリティ分野における戦略的提携」に向けて基本合意。その内容は、「高付加価値のエレクトリック・ビークル(EV)の販売とモビリティ向けサービスの提供を行う新会社の設立」というものだった。その後、6月には設立に関する合弁契約を交わし、ついに10月13日の新会社設立発表会を迎えたというわけだ。

ソニーとホンダが描く”多様な知”

新会社設立の目的について、そのコンセプトについて説明するソニー・ホンダモビリティの水野CEO。

 会場が暗くなり、司会の呼びかけに応えてステージの左右からソニー・ホンダモビリティの代表取締役 会長 兼 CEOの水野泰秀氏と代表取締役 社長 兼 COOの川西泉氏が登場。”Sony Honda Mobility”のロゴマークが掲示された前で、スポットライトを浴びた二人は固い握手を交わした。この瞬間、日本の新たなモビリティ会社「ソニー・ホンダモビリティ」がいよいよスタートしたことが世に示されたことになる。

 会見にまず登壇したのは、水野CEOだ。そこで新会社の目標として掲げたのは「多様な知で革新を追求し、人を動かす」というもの。”多様な知”というのはまさにソニーとホンダが一緒になったことに加え、ソフトウェアを中心とした他社とのパートナーシップを積極的に組んでいくことを指す。その結果として高付加価値型商品やサービスの提供、さらに顧客との新たな関係性を構築することに挑戦する「Mobility Tech Company」を目指していくとした。

第一弾は「ソニーのエンタテイメント性を加えた高付加価値のモビリティになる」と説明するソニー・ホンダモビリティの川西COO。

2025年に第一弾を発表。販売は26年春に北米から

 そして、新会社の具体的な行動計画が示された。それによると、製品の販売はオンラインを中心とし、顧客とはネットワークによってダイレクトにつながっていく新しい関係性を築き上げていくとした。そんな中で、商品の第一弾を発表するのは2025年前半で、同時にオンラインでの受注を開始して26年春に発売。デリバリーはまず北米からスタートするとしている。また、日本への展開は26年後半を計画。生産拠点はホンダの生産計画に合わせ、まずは北米の工場で開始し、状況次第では日本での生産もあり得るとした。

 気になるのは発売が予定される車両の概要だ。水野CEOが掲げた”高付加価値型商品”とは、それは「ソニーが培ってきたネットワーク技術やエンタテイメント性を備えたかつていない高付加価値のクルマ」を指すという。それがスポーツタイプなのかSUVなのかといった車種の話については明かされなかったが、少なくとも個人的に考えていた”走るウォークマン”的な、より身近なモビリティとはならないようだ。

来年1月、「CES2023」で何かが起こる?

会見終了後、改めて握手を交わして記念写真に応じた水野CEO(右)と川西COO。

 続いて登壇した川西COOからは、より具体的な内容が明かされた。計画しているモビリティは、Autonomy(進化する自律性)、Augmentation(身体・時空間の拡張)、Affinity(人の協調・社会との共生)を備えたものになるとし、そのうちのAutonomyは自動運転を指していると推察される。これはソニーが用意するコンテンツを走行中でも楽しめるレベル3、あるいはレベル2+を実現することを指し、それはまさにコンセプトカーとして2020年のCESで公開した「VISION-S」に近いイメージなのかもしれない。

 さらに川西COOは、ソニーが担当するとみられるHMI(ヒューマンマシンインターフェース)に言及し、そこには2つのSoCを搭載。コネクテッドカーとしての価値を高める5Gでの通信機能も備えるとした。ここではリアルとバーチャルを融合したメタバースなどデジタル技術がフル活用され、これらはまさに、モビリティそのものを新たな移動体験サービスとして捉えるもの。これこそが川西COOが掲げる身体・時空間の拡張、人の協調・社会との共生に相当するものと言えるのではないだろうか。

 そして、会見終了後、ステージ上のスクリーンに浮かび上がったのは「January 4, 2023 in Las Vegas」の文字。これは年明けの1月4日より米国ラスベガスで開催される「CES2023」を指しているのは明らか。つまり、来年のCES会場に行けば、ソニー・ホンダモビリティによる第一弾に遭遇できることを意味していると私は受け取った。CES2023開催まではあと2カ月とちょっと。この会場からソニー・ホンダモビリティの第一弾の姿をお伝えできることを祈りたい。

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