日本で受け入れられるか? 中国EVメーカーBYDが日本の自動車市場に進出。
中国のEVメーカーBYDが日本の自動車市場に進出し、最新モデル3車種を発表した。2023年1月から日本で販売を開始する予定だ。躍進するBYDとはいったいどんな会社なのか。そして中国メーカーの自動車が日本の道路を行き交う時代は来るのだろうか。
ついに中国のEVが日本に進出
2022年7月21日、中国の大手自動車メーカーの比亜迪股份有限公司(BYD)は、日本の乗用車市場への参入を発表した。同時に日本で発売予定の最新の電気自動車(BEV)3車種を公開し、2023年1月から順次販売することを明らかにした。
BYDは、中国深センに拠点を置きながら、バッテリーと自動車製造の2大事業を世界400以上の都市で展開する中国の大手企業だ。もともと携帯電話のバッテリーメーカーとして誕生したBYDは、そのノウハウを生かして2003年から電気自動車事業に参入。現在では世界最大手の電気自動車メーカーの一つとなっている。
近年、世界的な自動車のEV化の流れもあり、BYDはその勢いを増している。2021年には、中国国内の「新エネルギー車」※とされるジャンルの販売台数において9年連続1位を記録。さらに2022年上半期には、世界で60万台以上を販売し、新エネルギー乗用車の販売台数世界1位に躍り出た。
日本においては、2005年に同社の日本法人となるBYDジャパンを設立。商用車事業で着々とシェアを広げ、すでに日本国内のEVバスのバッテリーの7割以上がBYD社製だ。そして今回、BYDジャパンは7月4日に、乗用車販売サービスに特化した、BYD Auto Japan(ビーワイディーオートジャパン)株式会社を満を持して設立。日本の乗用車市場に乗り出した。
発売は来年!
今回発表された日本で発売予定の3車種は、いずれも同社最新の電気自動車だ。車種名は海洋生物から名づけられており、コンパクトSUVの「ATTO 3(アットスリー))、プレミアムセダンの「SEAL(シール))、コンパクトカーの「DOLPHIN(ドルフィン))をラインナップする。
エクステリアデザインは”スピードと情熱”を表現し、内装は若者を意識したデザインを採用したという。日本では、2023年1月に「ATTO 3」、2023年中頃に「DOLPHIN」、2023年下半期に「SEAL」の発売を予定。価格については今年11月に公表するという。
日本進出の理由とは?
BYDが日本市場に乗り込んだ背景には、日本国内での”EV販売の伸び悩み”があるという。日本政府は、「2035年までに国内新車販売の電動車率100%を実現すること」(既存のハイブリッド車等も含むといわれる)を目標に掲げているが、2021年の日本国内のBEV販売実績は未だ約1%に留まる。
車両価格が高いこと、充電設備が少ないこと、航続距離に不安があること、など購入におけるさまざまなハードルがあるEV。だが、中国を中心に安全性と航続性能の高いEVを手軽な価格で販売してきたBYDは、日本の市場でもそういった問題を解消していくことで、EVをより身近なものしたいとしている。
同社は販売代理店を通じて、乗用車の販売とアフターサービスを提供し、2025年末までに日本全国での展開を目指している。はたして中国メーカーのEV車は日本のドライバーに受け入れられるのだろうか。来年の発売に注目だ。