巨大カプセルトイ?無印良品がデザインした自動運転バス「GACHA」とは
フィンランドのSensible4社が開発し、無印良品がデザインを手がけた自動運転バス「GACHA」。5月には国内初の運行実証実験も行われ、ユニークな外観と、雪上をものともしない性能が注目されている。「GACHA」は日本でどのように使われるのだろう。
北欧生まれの自動運転バスGACHAってどんな乗り物?
だれもがワクワクする、幸せのかたちのカプセルトイ(ガチャガチャ)が、人々を乗せて街を走る――そんなイメージから「GACHA」と名付けられた自動運転バスだ。
大雨や霧、雪などあらゆる気象条件でも機能し、そして誰もが平等に、手軽に利用できる公共交通(シェアモビリティ)を目指し、自動運転技術の研究を行うフィンランドのSensible4社が開発。無印良品を展開する良品計画がデザインを手がけた。
さすが良品計画がデザインしただけあって、その佇まいはモダンのひと言だ。ボディサイズは全長4.6 × 全幅2.5 × 全高2.8mで、定員は16名(座席数10席)。最大時速は40kmで、航続距離は急速チャージを利用した場合、1回の充電で100km以上を確保している。オプションとしてワイヤレスチャージも可能だ。
GACHAが日本の郊外団地を救う!?
そんなGACHAの国内初の運航実証実験が、さる5月下旬に実施され、ついに日本の公道を走った。実験は10日間にわたって行われ、一般人の乗車定員を4名とし、時速19km以下で千葉県の花見川団地内を走行した。
今回の実験は、千葉市、UR都市機構、MUJI HOUSE、そして良品計画による連携協定の一環。民官連携による「花見川団地を拠点とした地域生活圏の活性化に関する協定」を5月に締結し、地域の活性化を進めるのが狙いだ。
「感じ良い暮らしと社会」の実現への貢献を企業理念として掲げる良品計画は、団地のリノベーションと自動運転バスへの取り組みで、地域の課題を解決することを目指しているという。
日本初の走行場所に選ばれた花見川団地は、その戸数7200を超える巨大団地。住民の高齢化が進んでおり、広大な敷地内の移動も一苦労なことからも、徒歩に代わる移動手段となるモビリティの整備は喫緊の課題だ。そしてこのような場所は日本にいくつも存在しており、ドライバー不足の問題も合わさって、自動運転バスの将来的な需要の高さをうかがわせる。
良品計画は、この実験で得られた知見を生かし、お年寄りの外出機会の創出やコミュニティ形成、地域の活性化に貢献したいとしている。同社では「GACHA」を利用した移動スーパーなど、さまざまな活用方法を検討しているようだ。
「GACHA」をはじめ、いま日本各地で運用計画が進められている自動運転バス。住民の足となり、新しいコミュニティを作る空間となる未来はそう遠くないはずだ。くるくらでは引き続き、実証実験の模様をレポートしていきたい。