ヤマトがクロネコマークのデザインを64年ぶりに刷新!原案は少女の落書きだった。
ヤマトホールディングス株式会社は、企業シンボルマークである「クロネコマーク」のデザインを4月1日にリニューアルする。現マークは1957年の制定以来使用されており、実に64年ぶりの刷新となる。自動車メーカーに広がるフラットデザインについても紹介。
ヤマトのクロネコマークがリニューアル!
ヤマトホールディングス株式会社は、企業シンボルマークである「クロネコマーク」のデザインを4月1日にリニューアルする。同社の傘下にあるヤマト運輸株式会社が同日、グループ子会社7社を吸収合併する形で1社に統合されことになっており、クロネコマークのリニューアルは、その新しいヤマトグループの生まれ変わりを象徴する取り組みだ。
新しいクロネコマークは、親ネコが子ネコを運ぶ現デザインを踏襲しつつ、顔や手足などのラインをシンプルに変更。バックの黄色い楕円形の縁取りを排除するなど、よりスマートで平面的なデザインとなる。
また、クロネコマークのリニューアルと同時に、「アドバンスマーク」を新設。親子のクロネコを頭部のシルエットのみで直線的に表現し、シンボリックにデザインされたマークとなる。このアドバンスマークは、新サービスや新事業において使用される方針だという。
このほか、コーポレートカラーとして、黒、黄、白、グレーの4色を制定。社名のロゴタイプもグループ統一のものを新たに制作した。
クロネコマークの刷新は64年ぶり
これまでのクロネコマークは1957年に制定され、64年間使用されてきた。ヤマトグループの創業100周年記念サイトによると、このマークの誕生のきっかけは、1957年に業務提携を結んだ米運輸会社「アライド・ヴァン・ラインズ」のネコマークにあるという。
アライド・ヴァン・ラインズ社では、「careful handling(丁寧な荷扱い)」の意味を込めて、親子ネコのシンボルマークが使用されていた。大和運輸(現ヤマト運輸)創業者の小倉康臣がその意味に共感し、アライド・ヴァン・ラインズ社から使用許可を得てマークを制作することになった。
クロネコマークのデザインを担当したのは大和運輸で広報を担当していた清水武。彼の娘(当時6歳)が画用紙にクレヨンで描いた親子ネコがヒントとなり、同年6月にネコマークのデザインが完成したのだという。
クルマ業界にも広がるフラットデザイン
ところで、今回の刷新でクロネコマークはよりシンプルで平面的なデザインとなったが、自動車メーカーのロゴマークも同様にシンプルな方向で変更されている。
多くの自動車メーカーでは2000年前後から、グラデーション(陰影)を多用した、立体的かつメタリックなロゴデザインが採用してきた。自動車のフロントグリルに設置される、物理的なエンブレムを彷彿とさせるデザインだ。
しかし近年、インターネットやスマートフォンなどの普及により、デジタル表示に最適化されたシンプルで平面的な「フラットデザイン(※)」が潮流となり、自動車メーカーのロゴデザインにも影響を及ぼしている。例えば、日産、トヨタ、フォルクスワーゲンなどの自動車メーカーが平面的なロゴへとデザインを変更している。
※フラットデザイン:できるだけ影やグラデーションなどの装飾を使わずに表現したシンプルで平面的なデザインのこと。特にスマートフォンの画面など小さなデバイス上で見やすい。画像データが小さく読み込みスピードが速いなどのメリットがある。
これは単にウェブサイト等で表示されやすくなるだけでなく、デジタルテクノロジーとクルマの融合を感じさせることができるデザインであるため。未来的なイメージを打ち出していくことにもつながるといわれている。
また、ロゴをシンプルで平面的にすることで、印刷などを行う際に必要とされるインクや素材を少なくすることができるため、環境に優しい「サスティナブル(※)」なブランドイメージを与えることもできる。
クロネコマークのリニューアルも、この時代の潮流に即しており、ヤマトグループの新たな出発とともに、インターネットなどを活用した未来的な企業イメージと、サスティナブルなブランドイメージを獲得するための取り組みであるといえよう。