燃料電池車は普及するのか? 入手可能な車種は? 水素ステーションはいくつある?
トヨタMIRAIの2代目が発表されたが、2020年12月時点で入手できるFCV(燃料電池自動車)は何車種あるのだろうか? また燃料である水素を供給してくれる水素ステーションは全国に何か所あるのだろうか?
入手できるFCVは3車種だが……
「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」。菅首相が10月26日に行った2050年カーボンニュートラル宣言は、日本の自動車業界にさまざまな波紋を投げかけている。そのなかでEV(電気自動車)とともに温室効果ガスの排出ゼロの車種として注目されるのが、FCV(燃料電池自動車)だ。ところで、日本市場で入手できるFCVは、何車種あるのだろうか? 2020年12月9日にフルモデルチェンジを行ったMIRAI、ホンダ クラリティFUEL CELLとメルセデス・ベンツGLC F-CELLの3車種である。ただしクラリティとGLCは販売ではなく、契約終了後は車両を返却するリース契約でしか手に入れることはできない。
日本全国にある水素ステーションは135か所
FCVの燃料を供給する水素ステーションの数は、全国で135か所(2020年10月現在。一般社団法人 次世代自動車振興センター調べ)。その内訳は北海道は2、東北地方に4、関東地方に52、中部地方に38、近畿地方に16、中国地方に5、四国地方に3、九州地方に13となっている。
なお水素ステーションには、ガソリンスタンドのような「定置式」と、大型トレーラーに水素供給設備を積んで移動が可能な「移動式」の2つがある。また定置式は、ステーション内で都市ガスやLPガスなどから水素を製造する「オンサイト式」と、外部で製造された水素を備蓄する「オフサイト式」の2種がある。
都道府県の水素ステーション整備状況
FCV+EVのハイブリッド
水素ステーションが全国に135か所に対して、EV(電気自動車)の充電スポットは、1万8270か所(2020年3月末。次世代自動車振興センター調べ)。電気は送電線などの供給インフラがすでに整備されていることも、このような差となっているようだ。
水素ステーションの設置数を踏まえてだろうか、メルセデス・ベンツGLC F-CELLは、FCVながらEV用の蓄電池も備えたハイブリッドとなっている。水素の残量が少なくなったら蓄電池からの電力でモーターを駆動させるEVへと切り替えて走行する。FCVとEVは、電気をその場で作るのか電池に貯めておくのかが違うだけで、電気でモーターを動かして駆動することは同じだからだ。もし今後も水素ステーションの数がEVの充電スポットほど設置されなかったら、FCVはEVとのハイブリッドというのが現実的な路線になるかもしれない。ハイブリッドなら、FCVの700kmにも及ぶ航続距離と、5分前後で済む燃料補給時間というメリット生かしながら、EVの航続距離や充電時間といったデメリットもカバーできるだろう。