あおり運転の加害者は男性が96%。その傾向や特徴を分析。
あおり運転を「妨害運転罪」として規定した改正道交法が6月30日に施行された。警察庁が昨年までの2年間に摘発したあおり運転133件を分析したところ、加害者の96%が男性で、78%は同乗者がいなかったことがわかった。また、加害者が挙げたあおり運転に至った理由のうち最多は「進行を邪魔された」で35%だった。
あおり運転が道交法で規定!
あおり運転を「妨害運転罪」として規定した改正道路交通法施行令が6月30日に施行された。車間距離不保持、急ブレーキ、割り込み運転、幅寄せや蛇行運転などの10類型があおり運転として定義され、摘発対象となる。違反した場合、免許取り消しとなり、最大で5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる(高速道路で著しい危険を生じさせた場合)。 飲酒運転の厳罰化の際、摘発件数が大きく減少した背景もあり、今回の改正があおり運転にとって大きな抑止力になることが期待されている。
【あおり運転の定義となる10類型】
・車間距離不保持
・急ブレーキ
・割り込み運転
・幅寄せや蛇行運転
・不必要なクラクション
・危険な車線変更
・パッシング
・最低速度未満での走行
・違法な駐停車
・対向車線からの接近
【高速道路で著しい危険を生じさせた場合】
・相手車両を停車させる
・衝突事故を発生させる など
あおり運転の加害者は男性が96%
しかし、ドライバー1人1人があおり運転について考えなくては、行為自体を無くすことはできない。あおり運転の加害者にならない、被害者として巻き込まれないためにはどうすればいいのだろうか。加害者の傾向や特徴についての分析を見てみよう。
警察庁が昨年までの2年間に摘発したあおり運転133件について分析したところ、加害者の96%は男性だったという。年齢層で最も多かったのは40代で27%。次いで、20代が22%。30代が20%となり、比較的若年層があおり運転をしていることがわかった。ちなみに加害者の78%に同乗者がいなかった。
【あおり運転の年齢層】
・20代 22%
・30代 20%
・40代 27%
・50代 17%
・その他 14%
一見すると40代があおり運転を起こしやすいように感じる。しかし警察庁によると、運転免許証の保有者数10万人当たりの加害者が最も多かったのは、10代だったという。また、10万人当たりの被害者も10代が最も多いそうだ。
あおり運転の理由は「進行の邪魔をされた」が最多
次に、あおり運転を行った理由を加害者に尋ねると以下のような結果となった。
【あおり運転の理由】
・進行の邪魔をされた 35%
(進行を譲らない、前車が急ブレーキ)
・割り込まれた、追い抜かれた 22%
・車間距離を詰められた 8%
・クラクションを鳴らされた 5%
・その他 22%
・特に理由はない 8%
最も多かったのは、「進行の邪魔をされた」で35%、次いで「割り込まれた、追い抜かされた」が22%、「車間距離を詰められた」が8%となった。このように、加害者から見ると被害者の行為をきっかけにあおり運転をしたのだという。しかし、警察庁の捜査によると、被害者側にそうした行為が確認できたのはこのうち約半数ほどで、残りの半数は加害者の一方的な思い込みだった。
あおり運転をしない、遭わないためには
このように、若い男性が単独で運転している場合に加害者になりやすく、多くの場合が一方的な思い込みによってあおり運転をしていることがわかった。ただし、加害者の年齢層は広く分布しているため、どの年齢層でも加害者になり得るとも言えるだろう。
加害者にならないためには、まず、ほとんどの場合は他車の運転には悪意がないということを意識し、寛大な心で他車の運転を受け止めるようにしたい。前車の急な割り込みや急ブレーキなどの多くに悪意はない。普段からゆずり合いの精神を持って運転することで、怒らずに対処できるようになるだろう。もちろん、いかなる場合においても、あおり運転は大変危険な行為であり、どんな理由があってもしてはならないということも肝に銘じておきたい。
一方、被害者にならないためには、後続車がいる場合は、十分に車間距離をとること、みだりに進路変更をしないこと、追い越し車線を走り続けないことなどを心がけたい。加害者を邪魔するつもりはなかったとしても、何かが誰かの気に障って被害に遭う可能性があるからだ。
しかしながら、特に理由もなくあおり運転をする人がいることも確かである。警察庁によると、検挙事例の約80%はドライブレコーダーや防犯カメラ、スマートフォンなどの映像が証拠になったという。不測の事態に備えて、ドライブレコーダーを設置して自らの運転に落ち度がなかったことを記録しておくことが、自分の身を守るための大きな力になるだろう。